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しかし、時が経つうちに、現実でも様々なパワードスーツが登場し、軍事や工場、農業、また介護の現場でも使用され始めています。
ただし、それらパワードスーツの多くは体全体を覆うものであり、気軽に装着したり使用したりはできません。
そこでアメリカのサンフランシスコを拠点とする企業「Skip」は、一般的なカーゴパンツに限りなく近づけた「パワードパンツ」を開発しました。
コンパクトで着用も簡単でありながら、脚力を最大40%強化し、階段や山での上り下りが楽になるといいます。
目次
Skip社が開発するパワードパンツ「MO/GO」は、従来のパワードスーツとは大きく異なり、どこにでも販売しているカーゴパンツのような見た目です。
いくらか異なるのは、そのカーゴパンツの太ももからふくらはぎにかけて、コンパクトな外部装置が備わっていることです。
また外側からは分かりませんが、カーゴパンツの内側には、太ももとふくらはぎにぴったりとフィットするバンドが備わっています。
使用時には、このバンドと外部装置を連結させ、モーターを作動させることで、膝を中心に歩行時の動きを強化してくれます。
Skip社は、このパワードパンツを「電動自転車のようだ」と説明しています。
装着者は、電動自転車をこぐ時のように自分の力で歩こうとしなければいけませんが、歩くために必要な力や足にかかる負担を軽減してくれるのです。
パワードパンツは、強力なモーターにより、太ももとふくらはぎの筋肉を補助し、膝関節の負担を軽減してくれます。
これにより、脚力を最大40%も強化できます。
さらに装着者は、体重が13.6kgも軽くなったように感じるとのこと。
2リットルのペットボトル6本(1ケース)が約12kgであることを考えると、パワードパンツを装着することで、体の負担が大きく軽減されることが分かりますね。
では、このパワードパンツは現実のどのような場面で役立つのでしょうか。
新しいパワードパンツ「MO/GO」は、従来のパワードスーツよりもコンパクトなので、様々な場面で活躍します。
例えば登山にはピッタリでしょう。
登山に必要な道具やバックパックがパワードパンツの動きを阻むことはありません。
急な上り坂でも、パワードパンツのアシストにより、楽に登れます。
アシストを最大にすると1回の充電で3時間以上連続稼働させることが可能で、その間に約10kmの距離を歩いたり登ったりできるでしょう。
傾斜が小さい場合にはアシストのパワーを弱めることで、より長時間のサポートを受けることができます。
また膝に大きな負担がかかる下り坂では、電気自動車がブレーキをする時のように、膝を支えながら充電することもできます。
そしてこのパワードパンツは、私たちの歩き方に適応するよう設計されており、私たちが歩けば歩くほど、その歩き方の好みを学習し、よりスムーズな動きを提供してくれるのだとか。
さらに登山だけでなく、散歩などのより日常的な活動にも利用できます。
階段の上り下りや長距離の歩行を難しく感じる高齢者が外出するのを助けることもできるでしょう。
Skip社は将来的に、雪の中を歩くためのスキーパンツも提供する予定です。
一方で、このパワードパンツは医療機器ではないことがはっきりと伝えられています。
パワードパンツ「MO/GO」は、現在予約注文が可能であり、2025年に出荷予定です。
参考文献
Skip up a mountain in powered pants from Google’s X Labs
https://newatlas.com/technology/skip-arcteryx-powered-pants/
Wearable Tech For More Spring In Your Step
https://www.skipwithjoy.com/
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
ナゾロジー 編集部