- 週間ランキング
その一方で、カップルや夫婦など、異性のパートナー同士が日頃のアダルトコンテンツ利用についてどの程度コミュニケーションをとっているかは知られていません。
一般的に考えてみると、「アダルトビデオを毎日見てる」とか「最近、官能小説にどハマりしてる」といったことは、パートナーと積極的に話したい話題ではありませんよね。
そこで研究チームは今回、男性と女性がパートナーとの会話で、性的コンテンツの話題を他の話題に比べてどれだけ避けたがるかを調べてみました。
チームはまず、過去の文献をレビューして、パートナー間の衝突につながる可能性があることから、カップル同士が避けることの多い話題のリストを作成しました。
そこでは「家事を手伝わない」「貯金額はどれくらいか」「一緒に過ごす時間が少ない」「お酒の飲み方が悪い」などの計8つが挙げられています。
この中に「アダルトコンテンツ利用の習慣や頻度」も含まれています。
このリストをもとにチームは、人々がアダルトコンテンツの話題を他の7つと比べて、どれだけ避けたがるかを調査しました。
そのためにチームは、Amazonウェブサービスの一つである「アマゾンメカニカルターク(Mturk)」を通じて、異性との恋愛あるいは夫婦関係にある一般成人191名を集めています。
参加者の平均年齢は35歳で、異性パートナーとの交際年数は平均9年でした。
参加者には専用の質問票に応じて、パートナーとの関係満足度、性的満足度、アダルトコンテンツの利用頻度、および回避したい話題について評価してもらっています。
その結果、全体の傾向として、誰もがパートナーとは衝突を生む可能性のある話題を避けたがることが見出されました。
ところがその中でも男性は、家事分担の相談や貯金額、飲酒量、一緒に過ごす時間の少なさについて話すよりも、アダルトコンテンツの話題を特に避けたがることがわかったのです。
加えて、日常的な性的関係の満足度が低い男性ほど、アダルトコンテンツの話題をより強く避けたがる傾向がありました。
その一方で、この傾向は女性には見られませんでした。
女性も全体としてパートナーとアダルトコンテンツを話題にすることは回避する傾向がありましたが、それでも他の話題に比べて特に避けたがることはありませんでした。
研究者はこの結果を受けて、「男性も女性も性的コンテンツの話題を避ける傾向があったが、これは特に男性で顕著に見られた」と結論づけています。
研究者らはその原因について確かな回答をまだ得ていませんが、現時点で次のような推測をしています。
1つは、アダルトコンテンツ利用の話題がパートナーとの関係性にネガティブな影響を与えてしまうのを避けたいという心理的な動機。
もう1つは、自身のポルノ利用がパートナーから批判されたり、否定的に受け取られることを恐れている可能性があることです。
誰もが見ているのが当たり前とは言っても、アダルトコンテンツの利用がバレると社会的評価は大きく下がるのが現実です。
男性は特に社会的立場を気にする傾向が強いため、パートナーに対してもアダルトコンテンツの利用状況は知られたくないという心理が働いてしまうのかもしれません。
また自分の隠している性癖を知られたくない、という理由もあるかもしれません。
なんにせよアダルトコンテンツは男性にとって、自分だけの秘めごとにしておきたいものなのかもしれません。
参考文献
Men’s reluctance to talk about porn use tied to lower sexual satisfaction
https://www.psypost.org/mens-reluctance-to-talk-about-porn-use-tied-to-lower-sexual-satisfaction/
元論文
“Let’s not talk about it”: examining the interpersonal context of pornography use by investigating patterns of communicative avoidance
https://doi.org/10.1080/19419899.2024.2331499
ライター
大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。
編集者
ナゾロジー 編集部