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このデバイスは、数分もしくは数十分ごとに自動的に測定が行われ、装着した人の日常生活中の血糖値を継続的に評価することができます。
なお、このCGMデバイスで得られた測定値は血糖値を推定する指標として使われていますが、厳密には、CGMデバイスは細胞と細胞の間に存在する間質液中のグルコース濃度を測定しています。
今回、ルイス准教授らは、午後もしくは夜に身体活動を増やすことが、24時間や日中、夜間のグルコース濃度の低さに繋がるのか、CGMデバイスを用いることで、詳しく調べました。
研究の対象者は、30~60歳、BMI(体格指数)が25~40で、少なくとも1つの代謝障害(例えば、血圧が高め)を持つ186人の男女でした。
対象者には、14日間にわたり身体活動のデータを記録するための加速度計と、グルコース濃度を記録するためのCGMデバイスを装着した状態で過ごしてもらいました。
運動のメイン時間帯を、朝(6~12時)、昼(12~18時)、夜(18~24時)に分けて調査しました。特定の時間に集中して行われていない場合は「混合」とされました。
なお、ここでいう運動とは、ジョギングやランニングといった本格的な活動はもちろん、自転車を漕ぐ、散歩といった軽い活動も含まれます。
そういった分類をした上で分析された結果を見ると、運動しなかった場合に比べて、夜に体を動かした場合には、24時間を通したグルコース濃度、起きている時間帯のグルコース濃度、夜間のグルコース濃度が明らかに低くなっていました。
また、昼(12~18時)に体を動かした場合でも、24時間を通したグルコース濃度、夜間のグルコース濃度が低くなっていました。
一方、朝もしくは混合と評価された場合、運動しなかった場合とあまり違いがありませんでした。
また、こういった関係は、空腹時血糖値が高めの人など、血糖コントロールに問題を抱えている人でより著しいことや、男性と女性で傾向が同じだったことも分かりました。
この結果を踏まえ、ルイス准教授らは、血糖をコントロールするという観点から見ると、身体活動の量(合計の時間)だけではなく、体を動かすタイミングも重要なことが示されたと述べています。
今回、研究で運動として定義されているのは安静時のエネルギー消費量の3倍以上の身体活動とされていて、これは先ほど述べた通り、自転車に乗る、散歩といった軽い生活活動でも良いとされています。
また今回調査された対象者の「夜」の運動時間は1日当たり約30分程度だったため、その程度の軽い身体活動と時間でも十分効果が見られるようです。
この結果は、因果関係などが明確に説明されているものではありませんが、夜に軽く身体を動かすだけで血糖値を下げられるというのは、運動のモチベーションもあがり、社会人には嬉しい情報です。
これからの暑い季節、太陽が沈んだ後の夜散歩を楽しんでみるのはいかがでしょうか?
参考文献
Evening workouts are best for blood sugar control
https://www.earth.com/news/evening-workouts-are-best-for-blood-sugar-control/
改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』/(独)国立健康・栄養研究所
https://www.nibiohn.go.jp/files/2011mets.pdf
元論文
Impact of lifestyle moderate-to-vigorous physical activity timing on glycemic control in sedentary adults with overweight/obesity and metabolic impairments
https://doi.org/10.1002/oby.24063
ライター
髙山史徳: 大学では健康行動科学、大学院では体育学・体育科学を専攻。持久系スポーツの研究者として約10年間活動。 ナゾロジーでは、スポーツや健康に関係する記事を執筆していきます。 価値観の多様性を重視し、多くの人が前向きになれる文章を目指しています。
編集者
海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。