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調査にあたっては、養豚場で飼育されている84頭の子豚を3つの異なるグループに分けられました。
そして1つ目のグループには1日3回、10分間ラベンダーエッセンシャルオイルが含まれたスプレーが吹きかけられました。第2のグループには同じ頻度で無臭のスプレーが使用され、最後のグループには何も施されませんでした。
この作業は72日間に渡り続けられました。
結果、ラベンダーの香りを吸い込んだ子豚たちは、他の2つのグループと比較して顕著な違いを示しました。
ラベンダーを吸い込んだ豚たちは攻撃性が顕著に減少し、尻尾を噛む行動も少なくなり、一日の大部分をリラックスして横になって過ごすようになりました。
さらに研究ではエッセンシャルオイル、特にラベンダーオイルが、豚の鼻内の微生物叢、つまり鼻に存在する微生物のコミュニティに大きな変化を起こすことが示されています。
具体的には、ラベンダーオイルの影響を受けた豚の鼻の微生物叢の多様性が減少し、通常の豚の鼻では少数勢力である特定の細菌属(テリスポロバクター、ツリシバクター、エアロコッカスなど)を増やすことがわかりました。
この研究の結果は、単にエッセンシャルオイルが心地よい香りを提供するだけでなく、動物の鼻内環境においても重要な役割を果たしていることを示しています。
微生物叢の変化が具体的にどのような影響を動物の健康に与えるかは今後の研究課題ですが、エッセンシャルオイルが微生物叢に及ぼす影響を理解することは、動物福祉や疾病管理の新たな手法を開発する上での一歩となるでしょう。
元論文
Can environmental nebulization of lavender essential oil (L. angustifolia) improve welfare and modulate nasal microbiota of growing pigs?
https://doi.org/10.1016/j.rvsc.2024.105251
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部