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最近では、非常に恐ろしいロボットが、米国市場に姿を現しました。
アメリカのオハイオ州を拠点とする火炎放射器メーカー「Throwflame」が、火炎放射器を背中に搭載したロボット犬の販売を開始したのです。
遠くまで勢いよく炎を放つそのロボット犬は、「山火事の制御」や「氷の除去」に使用できると言われていますが、きっと多くの人は「戦場をかける姿」を想像してしまうに違いありません。
目次
火炎放射器メーカー「Throwflame」が販売を開始したのは、火炎放射器を装備したロボット犬「サーモネーター(Thermonator)」です。
私たちの想像どおり、このロボット犬は、様々な地形を軽快に歩き回き、背中の火炎放射器で周囲を焼き払うことができます。
デモンストレーション動画では、サーモネーターが森の中を歩き、同社が販売する火炎放射器「ARC Flamethrower」によって炎を噴射している姿が映し出されています。
このARC Flamethrower は30フィート(約9m)先まで炎を届かせることができるため、遠くから対象物を燃やすことができます。
またサーモネーターには、様々なカメラやセンサーが備わっており、周囲を自律的に移動したり、ターゲットを見つけたりできます
1度の充電で最大1時間の稼働が可能であり、移動しながら広範囲を燃やし尽くすことができると考えられます。
またサーモネーターはオペレーターが遠隔操作することも可能であり、スマホを使って、まるでゲームをするかのようにサーモネーターを動かすことができます。
この危険なロボット犬が、「既に市場に登場しており、多くの人が購入できる状態にある」というのは驚きでしょう。
しかし、実際にアメリカでは、火炎放射器は連邦政府の規制を受けておらず、銃器にも該当しません。
火炎放射器の所持や販売、使用を取り締まる法律はないため、誰もが、身元調査の必要もなく購入できるのです。
(メリーランド州やカリフォルニア州などの一部の州では、火炎放射器が禁止されていたり、所持に許可が必要だったりします)
では、非常に危険な存在に思えるロボット犬「サーモネーター」の主な使用目的とは何でしょうか。
Throwflame社は、サーモネーターによって、山火事の制御と予防が可能だと主張しています。
確かに大規模火災において、通常の消火方法が難しいと判断された場合には、「火災進行方向にある可燃物を事前に焼却する」という消火方法が取られることがあります。
そのような場合、着火する消防隊員には、炎により命を失うリスクが伴います。
この危険な作業をロボット犬が肩代わりすることで、誰の命も危険にさらすことなく、消火活動を行えるというわけです。
またサーモネーターの別の用途としては、雪や氷の除去、農場の管理、エンターテイメントなどが挙げられています。
とはいえ、サーモネーターのYouTube動画のコメント欄には、「カリフォルニアの山火事の原因が分かりました」というコメントや、サーモネーターの存在を危険視するコメントがあふれています。
確かに私たちがサーモネーターを見て、最初に思い浮かべる用途とは、「サーモネーターを攻撃に使用する」ことでしょう。
仮にアメリカで軍事転用されないとしても、他の国でサーモネーターが使用されるかもしれません。
また「ドローンを用いた戦争が激化していく時に、遠くから周囲を焼き払うことができるサーモネーターが重宝される」ことなど、容易に想像がつきます。
現在、サーモネーターは1体9420ドル(約146万円)で販売されています。
将来サーモネーターを取り巻く状況がどうなるか分かりません。
しかし、少なくとも今の日本では、火炎放射器が出した炎が近隣の建物などに燃え移った場合、放火罪に問われる恐れがあります。
道具がたとえどのようなものであったとしても、(マッチやライターであれ、火炎放射器を装備したロボット犬であれ)安易に火を扱うべきではないのです。
参考文献
Meet the Thermonator: First ever flamethrowing robot dog that shoots jets of fire up to 30 feet hits US market
https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-13341171/Meet-Thermonator-flamethrowing-robot-dog-shoots-flames-30-feet-hits-market.html
Thermonator
https://throwflame.com/products/thermonator-robodog/
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。