- 週間ランキング
結果、最も人気だったのは恋愛やロマンスをテーマにしたポルノであり、異性愛の男性の83.06%と女性の56.97%がよく視聴するジャンルだと回答しました。
このタイプのコンテンツには通常、親密さ、相互の喜び、感情的なつながりを描いたシナリオが含まれており、ポジティブな性的価値観や期待とより共鳴する可能性があります。
また、複数パートナー(3Pなど4P)のジャンルは、異性愛の男性(78.07%)と女性(45.41%)で視聴されており、男女の差が開きました。
さらに忌避あるいは禁止された行為(近親相関、寝取られ、獣姦など)は、異性愛の男性 (84.05%) に最も好まれていた一方、異性愛の女性 (31.47%) による利用はかなり低いことが示されています。
暴力、支配(レイプなど)をテーマにしたジャンルは中程度の人気があり、異性愛の男性 (39.20%)、女性 (29.28%) でした。
興味深いことに他の分野に比べて暴力、支配(レイプなど)をテーマにしたジャンルにおける男女差は最も小さくなっていました。
伝統的に女性はこの手のジャンルを好まないとする考えが主流でしたが、実際には男性に近い割合で女性も暴力や支配のジャンルを利用していることが示されました。
研究者もこの点に注目して驚きを述べています。
しかしより重要だったのは、好みのジャンルが現実世界の性事情と相関している点にありました。
特に、恋愛やロマンスをテーマにしたポルノを好む人々は、現実の性的な関係においても高い満足度を報告しています。
これは、これらのジャンルが合意に基づいた快楽を重視し、現実の健全な性的関係と一致しているためと考えられます。
恋愛やロマンスを好む人々が性機能に問題が少ないという事実は、パートナーとの安定した感情的結びつきが性的健康に良い影響を与えることを示唆しています。
一方で、暴力や支配(レイプなど)をテーマにしたジャンルを好む異性愛の男性は、現実の性生活において性的満足度が低く、性機能の低下とも相関していました。
好みのポルノジャンルが現実世界の性的満足度や性機能と密接に関連していることを示すこの結果は、非常に興味深い発見です。
ただ今回の研究は相関関係を示したものの、因果関係までは特定できませんでした。
これはたとえば、レイプものばかり視聴しているから現実で性的満足度が低いのか、現実での性的満足度が低いからレイプものばかりみているのかは断言できないということを示しています。
とはいえ、攻撃的または強制的な性的コンテンツの消費は、性的期待を歪め、通常の性行為に対する感情的反応を鈍らせる可能性があります。
これはパートナーがいる人の場合、セックス中に性的興奮や満足感を得ることを困難にするでしょう。
そのため、どちらが要因っであるにせよ、あまり「SM、レイプ、寝取られ」のような、現実世界で同じシチュエーションを楽しむことが困難なジャンルばかり視聴することは、控えたほうがいいのかもしれません。
研究者たちは今後、被験者たちの心理的特徴を分析することで、好みのポルノジャンルとの関連性をより詳細に調べていきたいと述べています。
参考文献
New study untangles the links between pornography genres and sexual wellbeing in young adults
https://www.psypost.org/new-study-untangles-the-links-between-pornography-genres-and-sexual-wellbeing-in-young-adults/
元論文
Associations Between Contents of Pornography and Sexual Satisfaction and Function Among Young Adults
https://doi.org/10.1080/00224499.2024.2311874
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。