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そんなベンヌにはNASAの探査機が送られており、2023年9月24日には、採取したベンヌのサンプルが地球に到着する予定です。
その日を多くの人が注目して待っていますが、159年後の同じ日もまた気になるところです。
はたして、サンプルではなく、小惑星そのものが地球に降り立つことがあるのでしょうか。
ここでは、何かと話題を呼んでいる「小惑星ベンヌ」を紹介します。
目次
直径約500mのベンヌは、地球近傍小惑星(地球に接近する軌道を持つ小惑星)の1つであり、1999年に発見されました。
研究者たちによると、ベンヌは7~20億年前に巨大な小惑星から分離した可能性があるようです。
おそらく火星と木星の間の小惑星帯で形成され、何億年も太陽の周りを回っていました。
しかし他のほとんどの小惑星とは異なり、ベンヌの軌道は地球の軌道に非常に近く、地球を横切ることさえあります。
小惑星ベンヌは、6年ごとに地球に接近しているのです。
そして2021年8月、NASAは、ベンヌが2300年までに地球に衝突する確率は0.057%(1750分の1)だと報告しました。
加えて、最も衝突の可能性が高い日付も特定しており、それが2182年9月24日とのこと。
その日に衝突する確率は0.037%(2700分の1)です。
これは単純な確率としては非常に低い数値ですが、小惑星の地球衝突確率としては非常に高い数値です。
NASAは、「地球に衝突する可能性は非常に低いですが、ベンヌは依然として、太陽系で知られている最も危険な2つの小惑星(もう1つは1950 DA)のうちの1つです」と述べました。
もしベンヌが地球に衝突するなら、1200メガトンのエネルギー(最も強力な核兵器のエネルギーの24倍)が放出されるかもしれません。
このような意味で、ベンヌには多くの人々が関心を示してきました。
しかし最近、別の観点でベンヌに注目が集まっています。
それは「近いうちにベンヌのサンプルが地球に降り立つ」というニュースです。
科学者たちはベンヌに有機分子や天然資源が含まれるかもしれない、と考えています。
彼らはそこから生命の起源を探ったり、小惑星から天然資源を抽出する方法を見つけたりしたいのです。
またベンヌの軌道を理解し、地球に衝突しそうな小惑星を逸らすための有益な方法を発見できるかもしれません。
そこで2016年に探査機オサイリス・レックスが打ち上げられました。
この探査機は2018年12月に小惑星ベンヌの上空19kmに到着。
2020年10月にはベンヌ表面から60グラム以上のサンプルを採取し、2021年に地球へ向けて航行を開始しました。
そして2023年9月24日に、探査機オサイリス・レックスが収集したサンプルが地球に到着する予定なのです。
探査機が放出するカプセルはユタ州の砂漠に着陸すると予想されており、回収されることで、探査機オサイリス・レックスの7年間の壮大な旅が終了します。
これらの様子は、NASAのウェブサイトでライブ中継される予定であり、多くの人の関心を集めています。
では、159年後のちょうど同じ日に、今度は小惑星ベンヌ本体が地球に到達することがあるのでしょうか?
確率は非常に低いため、心配しすぎる必要はないでしょう。
仮に将来が不安だとしても、まずは回収されたサンプルの分析結果を待ちたいところです。
小惑星に対する理解が深まるなら、私たちの心配もいくらか和らぐかもしれません。
参考文献
NASA Finalizes Coverage for First US Asteroid Sample Landing