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まず、オスピナ氏ら研究チームは、調査の対象とするリーダーシップのスタイルを大きく3つに分けました。
1つ目は従業員の自主性や独立性を重視する「自律的リーダー」、2つ目は従業員の幸福に気を配り、思いやりを持ちつつ保護的な役割を果たす「父権的リーダー」、そして3つ目は組織内の権威と統制を重視し、部下には自分の意見や方針に従うよう指示する「権威主義的リーダー」です。
調査はオンラインのアンケートプラットフォーム通じて行なわれ、イギリス、アメリカ、オーストラリア、カナダの合計501人の参加者からのデータを収集しました。
2022年6月に開始されたこの調査では、パートタイムもしくはフルタイムの仕事を持つ、主に英語を話す参加者を対象としています。
まず、参加者は4つのフェイクニュースの見出しを見て、その正確性を評価しました。
このテストの結果では、権威主義的なリーダーの下で働く従業員は、他のタイプのリーダーの下で働く従業員よりも、フェイクニュースを正確なニュースとして評価してしまう傾向がありました。
しかし、父権的なリーダーを持つ従業員と自律的なリーダーを持つ従業員の間には、フェイクニュースの評価に大きな差は認められませんでした。
次に、参加者らは自分の上司がSNSでこれらのフェイクニュースの1つをシェアし、そのニュースに対する意見を上司から求められた場合に同意するかどうかを想像して評価しました。
その結果、特に権威主義的リーダーの下で働く人々は、自律的リーダーのもとで働く人々よりもフェイクニュースを鵜呑みにしてしまう傾向があることがわかりました。
また、この傾向は、父権的リーダーの下でも同様に見られました。
父権的リーダーの下で働く人々のほうが、自律的リーダーのもとで働く人々よりもフェイクニュースを鵜呑みにしてしまう傾向があったのです。
調査の結果、リーダーシップのスタイルがフェイクニュースに対する認識に影響を与えることが明らかとなりました。
また、この研究では、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアと、それぞれの国の文化や政治的背景に違いがあるにも関わらず、同様の結果が確認されています。
つまり、文化や政治的な背景に関係なく、権威主義的な上司の下で働く人々は、フェイクニュースを真実として受け入れる傾向が高いということです。
他の要因、例えばリーダーの知覚能力や人口統計学、政治的イデオロギーなどを考慮しても、結果は変わりませんでした。
しかし、この研究が実験ではなく横断的な調査であるため、権威主義的なリーダーがこのような影響を持っていると断定することは難しいとも指摘されているため、オスピナ氏ら研究チームは、このリーダーシップ理論の研究をさらに深めていくと述べています。
日々SNSを眺めていると、一目でフェイクニュースやデマだとわかる情報が拡散されていたりしますが、それを信じている人が多数いることもまた事実です。
もしかするとその人たちの上司は権威的主義なのかもしれません。
参考文献
Employees under authoritarian leaders are more likely to agree with misinformation, study finds https://www.psypost.org/2023/09/employees-under-authoritarian-leaders-are-more-likely-to-agree-with-misinformation-study-finds-184212元論文
The relation between authoritarian leadership and belief in fake news https://www.nature.com/articles/s41598-023-39807-x