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実は同じルーメン・フィールドで人為的な地震が起きたのは、これが初めてではありません。
2011年にNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)の試合で、地元のシアトル・シーホークスが劇的なタッチダウンを決めた瞬間にサポーターが熱狂し、M2.0の地震が観測されました。
これはタッチダウンを決めた選手のニックネームにちなんで「ビースト地震(Beast Quake)」と呼ばれています。
アウエルバッハ氏は、今回のスウィフト地震とこのビースト地震を比較してみました。
こちらはアウエルバッハ氏が発表した2つの地震波の違いです。
I guess I should show the data. Swifties >Seahawks fans.
(except data from the concert may not be caused by the fans–it may be the sound system, so not really a fair comparison). pic.twitter.com/szwowOYQFi
— Jackie Caplan-Auerbach
(@geophysichick) July 27, 2023
マグニチュードでいうとスウィフト地震の方がわずかに0.3ほど大きいだけですが、「実際の揺れの強さはビースト地震の2倍に当たる」とのこと。
もう一つ大きな違いは揺れの持続時間にあり、タッチダウン後の熱狂は数秒〜数分しか続かないので、地震波の観測はかなり散発的なものでした。
しかしスウィフト地震では、ライブの長さ、音響のビート、スピーカー、ファンの熱狂など、フットーボールの試合より遥かに長く続くので、強い揺れが持続的かつ周期的に繰り返されています。
まさに大地を揺るがすライブですが、人間の活動によって生じる地震は、過去にどのくらい報告されているものなのでしょうか?
英ダラム大学の研究(Seismological Research Letters, 2017)によると、過去150年間で人間の活動が地震を引き起こした場所は約730カ所あるといいます。
このように人為的な活動によって発生するものを「人工地震」と呼びます。
ダラム大学の研究によると、人工地震の発生原因はほとんどが「鉱業」です。
ここには、石炭や金属を採取するための掘削作業、石油や天然ガスのフラッキング(水圧破砕法:地下の岩体に超高圧の水を注入して亀裂を生じさせる採取方法)などが含まれます。
他にダム建設なども人工地震の原因となります。
それから特に震度が大きくなるのは、地下核実験に伴う爆発です。
驚くべきことに、アメリカが1971年にアラスカ州・アムチトカ島で実施した地下核実験ではM7.0の巨大な人工地震が記録されています。
地震学者らは、世界各地で人工地震が増加傾向にあることを懸念していますが、一方でそれが人々の安全と環境にどんな影響を及ぼすかは明らかにされていません。
ただスウィフト地震くらいなら害悪はないと思われます。
スウィフトの全米ツアーは8月9日で幕を閉じ、同月24日から海外ツアーがスタートする予定です。
日本では2024年2月7〜10日の4日連続で東京ドーム開催されるとのこと。
今後、テイラー・スウィフトのいる場所が震源地となって、スウィフト地震が観測され続けるかもしれません。
参考文献
When Taylor Swift performed Shake It Off in Seattle, Swifties literally shook the Earth, seismologists say https://www.cbc.ca/news/science/taylor-swift-seattle-concert-seismology-1.6921705 Taylor Swift Fans Trigger 2.3 Magnitude Earthquake During Concert Tour in Seattle;How Often Do Man-Made Quakes Occur? https://www.sciencetimes.com/articles/45138/20230729/swift-quake-shakes-seattle-enthusiastic-swifties-trigger-earthquake-lumen-field.htm How Humans Are Causing Deadly Earthquakes https://www.nationalgeographic.com/science/article/human-induced-earthquakes-fracking-mining-video-spd