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万華鏡は円筒の中に鏡が三角形になるように組み上げ、多彩な対称性を持つ模様を楽しむおもちゃです。
万華鏡の歴史は古く、約200年前にスコットランドの物理学者ブリュースターが発見したと言われています。
ブリュースターは光がどのように反射するのか研究をしていた人で、光の偏光角と屈折率の関係(ブリュースターの法則)や、光は(赤、緑、青)の3色か作られるという光の三原色を発見しました。
反射を繰り返した鏡像が、通常では見られない美しい映像を作り出す万華鏡は、その後世界中に広まり愛されています。
万華鏡の仕組みは円筒の中に合わせ鏡を作ることにより、映像の反射を繰り返すというものです。
一般的な万華鏡は円筒の中に長方形の鏡を三角形に組み合わせて作成します。
しかし、万華鏡の規則正しい美しい映像を楽しむためには、鏡でつくる三角形は、正三角形、直角二等辺三角形、直角三角形(30度、60度、90度)の3種類しかないことはご存知でしょうか?
万華鏡がなぜ人々を魅了する美しい映像になるかというと、画像が隙間なく並べられるからです。
鏡は線対称で画像をうつし合いますが、そのときに下図のようにズレが生じてはいけません。
ズレの部分で鏡像が重なり、美しい絵柄になはならないからです。
また、反射する鏡の枚数は偶数枚でないといけません。
奇数枚になってしまうと、鏡像が重なってしまいブレてしまうからです。
こういった状況では、画像が折り重なりブレたぼやけた世界になってしまいます。
鏡像が奇数枚になると、上記のように向きが違う像が重なり合うからです。
さまざまな柄を敷き詰めた万華鏡では全体的にズレた画像が並ぶことから、上記よりももっとブレて美しくない鏡像となってしまいます。
例えるならば、乱視の人が見ているような映像になりがちです。
はっきりと美しい鏡像を楽しむためには、線対称の図形が敷き詰められている状態にしなければなりません。
そのためには、万華鏡を構成する三角形の角度が重要となるのです。
先程説明した鏡像が重なり合わなずに、線対称で反射しあってもピッタリ重なり合うためには、万華鏡内の鏡で作る三角形の角度を調整することが必要です。
まず、その三角形をぐるりと円形に並べてもずれないためには、三角形の角度すべてが360度で割り切れなければなりません。
そうしないと、下図のようにズレが生じます。
また、鏡像が折り重ならないためには、三角形を並べたときに三角形が偶数枚になることが必要です。
そうしないと、下図のように線対称に並んだ鏡像が重なり合いブレが生じます。
これを防ぐためには、360度を三角形の角度で割ったとき、三角形のすべての角度において偶数にならなければなりません。
この2つの条件を満たす角度を探していきましょう。
この条件を満たす三角形を絞っていくと、三角形の種類は以下の3種類だけとなります。
つまり、正三角形、直角二等辺三角形、直角三角形(30度、60度)であれば、ズレが生じることなくキレイに鏡像を重ねることができるのです。
このように、鏡にうつすように回転させていっても画像の向きや方向が変わらないような性質を、回転対称性があるといいます。
同じく回転対称性がある図形には、上記3種類の三角形に加え長方形や正方形も該当します。
そのため、鏡を4枚用意し長方形や正方形にする方法でも、鏡像にズレもブレも生じさせないようにできます。
ただ、そうすると下図のように、鏡像が格子状に並んでいる単調なものになってしまいます。
万華鏡独特の美しさを味わうためには、三角形にしたほうがより幻想的で美しいものになるのです。
参考文献
課題学習の指導 万華鏡の世界 https://www.shinko-keirin.co.jp/keirinkan/j-kadaimath/9810/index.htm