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そして、神経生理学的反応と機械学習を組み合わせた「ほぼ完璧にヒット曲を特定できる」手法を開発したのです。
では、彼らがヒット曲分類の精度を97%にまで引き上げた手法とは、どのようなものだったのでしょうか?
研究者らは、33人の研究参加者に市販のウェアラブルデバイスを装着させ、音楽を聴いている間の心拍数データを収集しました。
参加者は、大ヒットした「ダンス・モンキー(Dance Money)」から、商業的に失敗した「デカリオ(Dekario)」まで、ロックやヒップポップなど24曲を聴かされました。
参加者の心拍数データは、アルゴリズムを使って「没入感(immersion)」という指標に変換されました。「没入感」とは、「音楽が引き起こす神経生理学的な反応を表す」指標で、ドーパミンとオキシトシンの量をアルゴリズムを用いて計算しています。
そして、この「没入感」指標とヒット曲との関係を、線形統計モデル(データの関係性を直線で表現するモデル)を用いて分析をしました。結果、ヒット曲は69%の精度で特定できました。
さらに、これらのデータを用いて訓練した機械学習モデルを適用すると、ヒット曲の特定率は97%にまで跳ね上がりました。
曲の最初の1分間だけでも、「没入感」指標に機械学習モデルを適用することで、ヒット曲を82%の成功率で正しく識別できたといいます。
研究者らはこのモデルの優位性は「少数のデータに基づいて曲のストリーミング数など、市場の結果を予測する」点にあると説明しています。
本研究では、従来のように大規模データを使用するのではなく、少数の神経生理学的データを使用して、より大きな集団の結果を予測するアプローチ(「ニューロフォーキャスティング」という)を利用しています。
そして、このモデルの有用性は、新しい曲を生み出すことではなく、膨大な数の既存の曲を効率的に選別することにあると述べています。
例えば、リスナーのプレイリストに、ヒットしそうな新曲をより推薦するような、より効率的なストリーミング・サービスを作ることができるというわけです。
研究者らは、「将来、ウェアラブル神経科学技術が一般的になれば、身体の反応に基づくレコメンデーションができるようになるかもしれません。
リスナーには、何百もの選択肢を提示されるのではなく、2つか3つの選択肢のみが提示されるということです。それにより、より簡単かつ迅速に、楽しめる音楽を選ぶことが可能となるでしょう」
さらに研究者たちは、彼らのアプローチがヒット曲の特定以外にも利用できる可能性が高いことを期待していると言います。
「このアプローチは、映画やテレビ番組など、他の多くのエンターテインメントのヒット予測にも使えるでしょう」
参考文献
Machine learning helps researchers identify h | EurekAlert! https://www.eurekalert.org/news-releases/992481?元論文
Frontiers | Accurately predicting hit songs using neurophysiology and machine learning https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/frai.2023.1154663/full