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そんな緩やかなバードウォッチングに役立つのが、アメリカのコーネル大学鳥類学研究所(Cornell Lab of Ornithology)が開発した鳥の識別アプリ「Merlin」です。
数年前にリリースされて以来、世界中の鳥好きに利用されており、現在では「世界中のほぼすべての鳥の種類を識別できる」ほど拡大しています。
識別可能な鳥は、なんと1万300種以上です。
目次
コーネル大学鳥類学研究所に所属するプロジェクト・マネージャーのジェシー・バリー氏は、Merlinを開発するに至った経緯を次のように説明しています。
「Merlinの最初のアイデアは、『あの鳥はいったい何だろう?』という疑問を素早く簡単に解決することでした」
実際、多くの人が同様の疑問を抱いたことがあるはずです。
「姿は見えないけど、いつも聞こえてくるこの鳴き声の正体は何だろう?」
「引っ越してくる前には見たことのなかった、あの可愛らしい鳥の名前は何だろう? この地域に生息している鳥だろうか?」
「以前から気になっていたあの野鳥は、どこに行けば会えるのだろうか? この近くに生息地はあるだろうか?」
それでも、これらの疑問を解決するために、ネットを漁ったり分厚い専門書を開いたりする人は少ないでしょう。
世界中の野鳥観察コミュニティ(日本野鳥の会を含む)の協力のもと様々なデータが収集された「Merlin」であれば、瞬時にスマホだけでそれらの疑問を解決できます。
現時点では、合計1万315種の鳥が登録されており、世界の鳥のほぼすべてを識別できると言われています。
では、どのように鳥を識別できるのでしょうか?
Merlinには、合計5万5000枚以上の写真と2万6000件の音声録音、種類ごとの説明文が含まれており、それらの情報を元に、該当する鳥を探すことができます。
例えば、今聞こえている鳥の鳴き声を録音して、Merlinで該当する種を検索することができます。
瞬時に候補となる鳥のプロフィールや鳴き声が提示されるため、録音した鳴き声と比較しながら、該当する種を探せます。
また、今まさに観察している鳥を撮影したり、過去の写真を読み取らせたりして、リストの中から該当する種を検索することもできます。
音声検索と同様、画像でも比較できるため、すぐに正確な鳥の名称や生態を知ることができるでしょう。
さらにデータリストから、地域ごとの情報を取得できるため、「今度トレッキングで訪れる地域では、どんな鳥と出会えるだろうか?」と事前に調べて、バードウォッチングの楽しみを増し加えることもできるでしょう。
このアプリは、App StoreやGoogle Playで日本語バージョンを無料でダウンロードできます。(ダウンロードはこちらから)
ただし現段階では、解説を日本語で読めるものの、鳥の名前に和名が含まれておらず、日本人にはいくらか使いづらいかもしれません。例えば、カモ科マガン属の「ハクガン」であれば、英名で「Snow goose」と記載されています。
それでも世界中の鳥を識別できるアプリは貴重であり、鳥や自然が好きな人であれば、ダウンロードしておいて損はないでしょう。
開発者チームは、次の目標として、世界中の鳥の鳴き声のほぼすべてをカバーできるよう取り組んでいます。
参考文献
Merlin milestone: App now helps ID birds worldwide