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さらに来園者の前で行われる公開の食事量も増え、より活動的になっていました。
加えて、同じ場所を何度も歩き回るなどの「繰り返し行動」の数が減っています。
繰り返し行動とは動物が退屈していることを示す行動とされます。
そのため、ゾウは人が来てくれることで元気になり、心身の健康にプラスの影響を受けていると考えられるのです。
ゾウ以外にも来園者の存在がプラスに働いている動物たちがいました。
例えばオウムは、来園者が多い日ほどケージの近くに寄ってきて、人前で過ごす時間が増え、仲間との社会的行動も増加させています。
それから肯定的な影響は、ペンギンやジャガー、グリズリー、ホッキョクグマ、チーター、ウシ科のバンテン、リス科のプレーリードッグなどに少なからず見られました。
反対に、来園者の存在が悪影響になっていたのは、主にダチョウやカンガルー、ハリネズミ、キリン、サイなどでした。
これらの動物では来園者が多いほど、活動量や食事量が減り、孤独時間や繰り返し行動が増える傾向があったとのことです。
またこれまでの研究では、もともと森林などの閉鎖的な環境にいた被食者(天敵に狙われる動物)や、人と遭遇しにくい夜行性の被食者ほど、人に対して恐怖心を抱く可能性が高いことが示されています。
それから今回のメタ分析では、上記以外のほとんどの種で、来園者の影響はプラスにもマイナスにも作用しない中立なものであることが確認されました。
HAUの動物学者であるエレン・ウィリアムズ(Ellen Williams)氏は「動物たちが受ける影響は種によって様々であり、それを種ごとに明らかにすることは動物福祉を向上させる上でとても重要です」と述べています。
ゾウやオウムは非常に知能が高く、他の動物に比べて人間とのコミュニケーションにも優れた動物です。
そうした人への慣れもあって、私たちの来園を喜んでくれているのかもしれません。
参考文献
Elephants particularly enjoy presence of zoo visitors, study shows https://www.ntu.ac.uk/about-us/news/news-articles/2023/05/elephants-enjoy-presence-of-zoo-visitors,-study-shows元論文
The Impact of Visitors on Non-Primate Species in Zoos: A Quantitative Review https://www.mdpi.com/2076-2615/13/7/1178