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その危険な存在に真っ先に気付いたのはアーサーでした。
アーサーは家の子供たちを守るために果敢に戦いを挑み、苦闘の末、なんとかヘビを裏庭から追い払いました。
ところが直後、アーサーは力なくその場に倒れ込んでしまいます。
ヘビは戦いに敗れたものの、アーサーに一太刀の毒牙を喰らわせていたのです。
裏庭の異変に気づいた飼い主がすぐにアーサーを自宅に入れて看病しました。
このときアーサーは一時的に病状が回復し、飼い主も一安心したといいます。(またこの時点では、飼い主もアーサーがヘビに噛まれたことは知らなかったという)
しかし翌朝、アーサーの容体が急変し再び倒れ込んでしまいます。
急いで動物救急センターのAnimal Emergency Serviceに搬送されましたが、治療の甲斐なく、アーサーは命を落としてしまったのです。
この話は同センターの獣医師が公式のFacebookでシェアしたことで、人々に大きな話題と感動を呼びました。
また獣医師によると、アーサーに見られた一時的な回復は、毒ヘビに噛まれた後によく見られる一般的な症状だといいます。
飼い主はこのことを知らず、回復後に病院に連れて行かなかったことを強く後悔しましたが、自分の子供たちの身代わりとなってくれたアーサーに深く感謝しています。
先のFacebookには「アーサーの家族は、当然のことながら打ちのめされていますが、今では彼を懐かしく思い出し、子供たちの命を救ってくれたことに感謝している」と書かれています。
しかしこの事件に対しては「飼い主の家族を守ったというよりも、彼らの本能的な行動ではないか?」とする意見もあります。
確かにネコは生まれもってのハンターであり、安易に外に出しておくと小鳥やネズミを食べるためだけでなく、遊びの一環として際限なく獲物を狩り続けます。
しかしだからといって、アーサーの行動が遊びの一つだったとは言えません。
先行研究(Nature, 2019)では、ネコが飼い主とちゃんと心で繋がっていることが示されています。
この研究では、子ネコ70匹と大人のネコ38匹をそれぞれの飼い主から引き離し、慣れない環境で過ごしてもらった後、飼い主に再会させるという実験が行われました。
その結果、64.3%のネコが飼い主の元に走り寄って、顔を擦り付けたり撫でたりしたのです。
これは人の子供が親と再会したときと同じ行動で、ネコが飼い主に対して絆や友情を持っていることを示しています。
その証拠に、アーサーの他にもネコが飼い主を救った事例はいくつも報告があります。
たとえば2012年2月、プリン(Pudding)というネコは、飼い主の女性が寝ている間に糖尿病を原因とする意識不明の状態に陥ったとき、いち早く気づいて彼女の上に飛び乗り、目が覚めるまで体を揺すり続けました。
さらに同居していた彼女の息子を部屋まで呼びに行き、これによって母親の異変に気づいた彼が救急車を呼んで、無事に一命を取り留めたのです。
また2014年5月には、タラ(Tara)というネコが飼い主の4歳の男の子を襲っていた野良犬を撃退するというニュースが話題となりました。
こうした事例からも、ネコがちゃんと飼い主やその家族に愛情を感じていることが分かります。
皆さんの中にも、飼いネコの愛情や絆を感じた瞬間は多々あるでしょう。
やはりネコはイヌと並んで、私たち人間の最良のパートナーなのです。
参考文献
Cat Dies Defending Family from One of Australia’s Most Venomous Snakes https://interestingengineering.com/culture/cat-dies-defending-family-from-australias-most-poisonous-snake 3 Ways in Which Some Cats Are Protecting Humans https://www.petful.com/behaviors/cats-protect-people/