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地球の内部構造は、大きく分けて「地殻」「マントル」「核(コア)」で構成されています。
マントルの主成分は岩石であり、核の主成分は鉄とニッケルだと考えられています。
そして地球の核は、液体の外核と固体の内核で構成されていることがわかっています。
では、月の内部構造はどのようになっているのでしょうか?
天体の内部組成を調べるには、地震データを使用するのが最も効果的です。
地震波はその天体の内部を通ってきたものであり、振動の伝播の仕方を解析することで天体内部を構成する物質や構造を推定できるからです。
月の場合、アポロ計画の際に収集された月の地震データがあります。
そのため科学者たちは、以前から月の地震データを用いた分析を行っており、20年前には月の内部に液体状の核があることが明らかになっていました。
しかし当時の技術では、核の内部まで解明することはできませんでした。
月も、地球と同じように液体の外核と固体の内核に分かれているのか、核すべてが液体状で構成されているのか分からないのです。
そして2011年には、NASAの惑星科学者レニー・ウェバー氏が、月の地震データを再分析した研究で、月には半径240km、密度8000kg/m3の固体内核があると推測しました。
この結果は、果たして正しいのでしょうか?
今回、ブリオー氏ら研究チームは、地震データを用いた従来の分析とは異なる方法で、月の内部を解き明かそうとしました。
研究チームは、様々な宇宙ミッションや月レーザー距離実験から、月の質量や密度、月の自転の仕方、潮汐による月の変形の仕方、地球と月の距離の変化の仕方など、月の物理的特性データを収集。
次に、様々な核タイプの月をモデル化し、観測データと最も近いモデルを探しました。
その結果、液体の外核と固体の内核を持つ月の内部構造モデルが、最も観測データに近いと判明しました。
つまり月の核は地球と似たような構造であり、これまで知られていた液体の外核の内部に、固体の内核が隠れていたのです。
このモデルによると、月の外核の半径は約362kmであり、内核の半径は約258kmとのこと。
この内核のサイズは、月の全半径の約15%です。
研究チームは、「内核のサイズが非常に小さいため、これまで検出されなかった」と述べています。
また内核の密度は、7822kg/m3だと推定されており、これは鉄の密度に非常に近い数値でした。
このことから、月の核は地球と同じく鉄でできている可能性が高いと言えます。
これらの数値は2011年のウェバー氏が報告した数値と似ており、両方の研究が月の内部構造を真に解き明かしていることを示唆しています。
さらに今回のモデルは、月で「マントルオーバーターン(mantle overturn)」が生じたという仮説を支持するものとなりました。
マントルオーバーターンとは、核とマントルや地殻の物質が入れ替わる現象のことです。
月の内部にある密度の低い物質は地表まで上昇し、最終的に地殻を構成する火山岩になり、同時に、密度の大きい物質は時間経過と共に核に引き寄せられたというのです。
この仮説は、月の火山地域で見つかったいくつかの元素が、どのようにしてそこに到達したのかを説明するものとなるようです。
今回の研究により、これまで議論されてきた月の核の詳細が明らかになりました。
今晩、美しく輝く月を見ることができたなら、ぜひその内側にも思いを向けてみてください。
月の内部構造は徐々に解明されつつあり、その中心部には、地球と同じく鉄の塊が潜んでいるのです。
参考文献
The Moon’s heart revealed for the first time https://www.cnrs.fr/en/moons-heart-revealed-first-time More evidence found showing the moon’s inner core is solid, like Earth’s https://phys.org/news/2023-05-evidence-moon-core-solid-earth.html Scientists Finally Confirm What’s Inside The Moon https://www.sciencealert.com/scientists-finally-confirm-whats-inside-the-moon元論文
The lunar solid inner core and the mantle overturn https://www.nature.com/articles/s41586-023-05935-7