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ちなみに、同じネコ科でも、ヒョウ亜科に属するライオンやジャガー、ヒョウ、トラの「ゴロゴロ」は音がまったく違います。
ネコのそれが比較的穏やかな音色なのに対し、ヒョウ亜科のゴロゴロはほとんど「ガルルル!」に聞こえます。
原因は舌骨にあり、ネコの舌骨が硬く、完全に骨化しているのに比べ、ヒョウ亜科では柔軟で、骨化していません。
それによって声道が伸び、轟音のような咆哮が出せるのです。
では、ネコたちはなぜゴロゴロと鳴くのでしょうか?
この答えはいくつかあって一つに定まっていませんが、一般的には、満足感を示すためという説が有力です。
気分がいいときやお腹が満たされているときに、ゴロゴロと鳴くことはよくあります。
しかし、空腹や緊張時にもゴロゴロ鳴くことはあるので、一概にそうとは言えません。
これと別に、生体音響学者のエリザベス・フォン・ムゲンタラー(Elizabeth von Muggenthaler)氏は「ゴロゴロ音は自己治癒の一種である可能性が高い」と指摘します。
ゴロゴロの周波数は、平均して25〜150ヘルツです。
この周波数域は、骨の成長を促進し、痛みを軽減することが過去の研究で示されています(The Acoustical Society of America, 2001)。
ネコは座りっぱなしで過ごすことが多いので、ゴロゴロ音を日常的に取り入れることで、健康的で省エネな生活を送っていると見られます。
さらに、ネコの鳴き声は、その飼い主にもプラスの健康効果を与えてくれます。
実際、ゴロゴロと鳴いているネコを撫でる飼い主は、心的に癒されるだけでなく、血圧が下がり、心臓病のリスクが減るという相関関係も示されているのです(Orthopedics, 2018)。
ということで、今年の健康増進の一環として、子猫を迎え入れるのもありかもしれません。
参考文献
Okay… How Do Cats Purr?
https://www.earth.com/earthpedia-articles/okay-how-do-cats-purr/
ライター
大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。
編集者
ナゾロジー 編集部