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猫の被毛はある種のセンサーであり、皮膚感覚が人間の皮膚のように感覚が鋭いので、狭い場所を体をくねらせて通り抜けることができます。
センサーに汚れや異物が付着していると有効な働きができなくなってしまうので、猫は被毛を清潔にすることで常に感覚を鋭敏に保っています。
また、フケなどの汚れを取り除くことで皮膚炎の予防にもなり、同時に血流を促進させる効果もあります。
また暑いときなどは、被毛を舐めることで少しだけ気化熱で体温を下げる意味もあります。
夏場はそういう意味では、やや過剰にやる場合は気温が高いということでしょう。
研究によると猫の体からの熱放散のうち、グルーミングの時の唾液の蒸発が3分の1をしめているとされています。
逆に冬場はグルーミングして被毛をふわふわに保ち、間に空気を入れる事で保温効果を高めているとの説もあります。
また猫は野生動物の頃の習性を、現代でも色濃く残す動物なので、体をグルーミングするのは他の体臭が染みついたらそれを舐めて消しているんだそうです。意外にその意味は単純に消臭なんですね。
猫の過剰なグルーミングは、飼い主さんのニオイを消している意味もあります。
飼い主さんにとってみれば、ちょっとショックなことかもしれませんが、決して飼い主さんを嫌っているのではなく、自分の体臭によって縄張りの本能の現れというのが、猫が自分でグルーミングする最大の理由ということができるでしょう。
また肉食動物である猫はネズミやウサギなどの小動物をつかまえて生活していました。獲物に気づかれないために、体についた飼い主さんや食べ物の匂いを消す、という側面もあります。
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猫のグルーミングには2つの種類があり、一つは自分の舌や歯で行うオーラルグルーミングと、後ろ足で行うスクラッチグルーミングがあります。それぞれ過剰にやるかでその意味は異なります。
これは「転移行動」の一つと言われ、よく「見られて恥ずかしいから、誤魔化しているんだ。」と周囲の人に理解されていますが、意味はそれに近いものです。
やや過剰に、必死になってグルーミングしているのはそのせいなんですね。
椅子から思わず落ちたり、飛び上がって高いところに移動して失敗した時など、「よし!やるぞ!」という猫の気持ちが高ぶった状態なので、それを自分で気持ちをしずめるために行います。
これも結構過剰にやる場合は、恐らく猫にとって一番見られたくないといった意味かもしれませんね。
毛を逆立てて喧嘩をしていた猫同士が、いきなり毛づくろいをする事があり、これも不安や緊張などをおさえるためと考えられています。
猫は生まれてまもない頃から母親に舐められて育ちます。その頃の記憶からグルーミングにはリラックス効果があり、猫が自分の気持ちを落ち着かせる方法として行うとされています。
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猫には単独で行う「セルフグルーミング」と、複数の猫仲間同士で行う「アログルーミング」があります。
猫の飼い主さんならば、猫が自分で被毛のお手入れをしている最中に、手を差し出すとついでに舐めてくれる行動に覚えがあると思います。
この行動は、Allogrooming:アログルーミングと呼ばれ、親しい心の通った猫の仲間同士で見られる、猫族独特のグルーミングです。
面白いことにこのグルーミングは、「異性」にも行うことが多いのです。
ただしあんまり過剰に行わないのが特徴です。要は意味としては、仲間の確認の意味があるということですね。
つまり男性がメス猫を飼ってる場合、あるいは女性がオス猫を飼っている場合に行ってくれる可能性が高いのです。飼い猫にとっての飼い主さんの意味は、あくまでも自分の仲間という意味合いが大きいですからね。
アログルーミングで猫同士が舐める場所は、猫が自分では届かない、頭や首回りなどが多いです。
ですので飼い主さんは「仲間」として舐めてもらったら、お返しに同様の場所を撫でたり優しくかいてあげると、猫も「グルーミングしてもらった」と思ってくれるでしょう。
またブラシなどグルーミング用品をつかってお手入れしてあげてもいいですね。
グルーミング用品には用途に応じた様々な種類があり、トリミングコームやピンブラシなどが発売されています。
お店でのトリミングが必要な長毛種もいますが、日々のお手入れは猫とコミュニケーションをはかる機会でもあり、病気の早期発見にもつながるでしょう。
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猫が一匹で行うセルフグルーミングは、過剰に行っている場合は要注意です。
皮膚炎やノミやダニなどの寄生虫の可能性や、内臓関係の疾患の影響で、皮膚に何らかの異常がある場合が考えられます。
主な病気として舐め続けた被毛が抜けてはげたりする舐性皮膚炎があります。はげるだけではなく悪化すると皮がめくれてしまう事もあるので、猫が同じ場所を執拗に舐めている時は注意が必要です。
特に、セルフで行うグルーミングは、顔と首がメインで、他は股の部分や後ろ足や手足の先です。
順番や方法としては前足を舐めて湿り気をつけてから顔を拭き、背中の毛を整え、肛門回りや足先を綺麗にする、といった形が一般的とされています。
猫のグルーミングが順番通りに行われず特定の部分だけに限定される場合、たとえば背中などを頻繁に過剰にグルーミングしている場合は要注意で、検査や治療のきっかけの意味ということですね。