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同じ猫科でも他のライオンやトラなどは行わず、飼い猫に見られる動作です。飼い猫でもクラッキングを行う猫と行わない猫がいます。
猫が「ケケケ」と鳴くときに歯を打ち鳴らすという意味から「クラッキング」と言うのは、日本特有の表現のようです。
機械的にカタカタ打ち鳴らす音を「クラッキング・ノイズ(clacking noise)」とは言いますが、生物の意志的な鳴く動作には「チャター(chatter)」を使います。「チャットする」と同じく、猫が「しゃべっている」と考えるわけですね。歯を慣らすのはチャタリング(chattering teeth)です。
日本サイトでは「クラッキング(clacking)」あるいは「クリッキング(clicking)」、英語サイトでは「チャタリング(cat chattering teeth, cat chatter)」で検索できます。
Oksana Kuzmina/shutterstock.com
猫が窓から鳥や虫を見てクラッキングする意味は、狩猟本能から獲物を見て気持ちが興奮しているという説があります。飼い猫の場合、実物の虫でなくてもレーザーポインターなどの遊具でも興奮すると、カカカと鳴くことがあります。
野生の狩猟動物は、獲物を見つけたときに「鳴く」のは居場所を報せる意味になるので厳禁です。だからライオンやトラ、野生環境にいる猫はクラッキングしません。カカカと鳴くのは、狩猟の実戦経験が少ない一部の飼い猫や幼猫に見られる、興奮した気持ちを抑えられない動作を意味するとされます。
窓から獲物を見てクラッキングするのは、獲物を捕らえる動作の代替行為という気持ちから鳴く、という説明もあります。窓ガラスで隔てられているので、実際に捕まえることができないため、歯を噛み合わせて気持ちがバーチャルなゲーム世界に没入している、というわけです。ゲームに没頭している人間がコントローラを揺さぶったり、擬音を口から無意識に発したりするのと同じ気持ちでしょうか。
窓から外を見て鳴く猫は切ない感じですが、実際は縄張りの境界監視で欲求不満の意味ではない、という説もあります。でも本当の猫の気持ちはわからないですよね。
アマゾンで野生動物の研究者による、山猫が獲物となる猿の鳴く声を擬態したとの報告例があります。少しばかりうがった見方ですが、クラッキングは鳥のさえずりに波長が合っているので、擬態行動を意味するのではないかというのです。
多くの支持を集めているとは言いがたいですが、面白い説ではあります。
猫は犬に比べて表情は乏しくポーカーフェイスのようですが、鳴き声は多様です。
クラッキング以外にも、声を使い分けて気持ちを表現しています。
リラックスしたときの喉のゴロゴロ、警戒音のウ~ッ、威嚇音のシャーッはよくわかると思いますが、子猫を呼ぶ母猫の独特な声などは話しかけているように聞こえます。
動画サイトにある変わった鳴き声です。