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相手を脅かしているのですが、このときの犬の気持ちは決して怒っているとは限りません。唸っている犬自身が恐怖を感じて、相手にその場から立ち去って欲しいと願いながらも威嚇していることが多いのです。
犬が唸っていても不用意に叱らず、状況を見て犬の気持ちを探ってあげましょう。
犬自身が正直なところ、怖いという気持ちを抱いているときは安心させてあげるのがいいのですが、「飼い主の意思で」その場から連れ去ることも良い方法です。
犬が自分の意思で怖い相手の前から退散したのではなく、飼い主さんの都合で立ち去らざるを得なかった、という形で事態を収束させるのは犬への優しさでもあります。
仮に犬が唸って相手を怖がらせ退散させることに成功したとしても、飼い主は「うちの子は強い!」などと喜んでいる場合ではありません。
犬は一度うまく行ったことは学習しますので、次第に唸ることで解決しようとするようになります。
その結果、犬の能力を超えたトラブルに巻き込まれるかもしれませんし、飼い主に対しても唸るようになるかもしれません。
犬は楽しい気持ちが高ぶって来ても興奮して唸ります。
このときの唸る行為は問題ではありません。稀に激しい苦痛に襲われたとき唸ることもあります。
ふだんは飼い主に対して唸る癖がない犬が唸って攻撃してくるときは相当大きな痛み、すぐに動物病院に連れて行かなければならないような病気やケガがあるシグナルです。
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犬が唸ったり吠えたりする行動は人間からすると悪い行動だと思われがちですが、犬にとっては原因の題を解決する過程で非常に重要な行動であり対策なのです。
唸り声は威嚇を表しています。
例えば相性の悪い犬同士が鉢合わせてしまった場合、唸り声を上げることで「これ以上近づくなら攻撃するぞ!!」と警告します。
相手がこの威嚇にひるんでしまい立ち去るようなら、無駄な争いをせずに済みます。
逆に相手も唸り声をあげて両者共に退かなければ攻撃に移り、実力でどちらが上かを決めるのです。
唸り声を上げる原因は、少なくとも対象に対して勝算があることを意味しています。
犬同士の権力争いは犬同士の問題なので人間がその順位を決めるようなことはしてはいけませんが、飼い犬が飼い主に対して唸り声を上げているということは、飼育する上でとても問題です。
犬が飼い主より立場が上になってしまう、権勢症候群となっている場合が考えられます。
そういった場合は、唸り声だけでなく様々な問題行動が起こっているはずです。
飼い主に対して唸るとき、権勢症候群によるものかどうかを見極める方として、犬が食事をしているときに食器に触ってみる方法があります。権勢症候群の犬は飼い主が食事中の食器に触ることを許しません。
無理に触ろうとすると噛まれるおそれもあります。
飼い主との関係が良好な犬は、飼い主が食事中の食器の中に手を入れても怒りません。おいしいものを入れてくれるのかも…と期待しているのです。
一方で飼い主の手を寄せ付けないのは食事を横取りされるのではないかと疑っていますので、権勢症候群にまで至っていなくても「食事は飼い主さんが与えてくれるもの」ということを理解させることが必要です。
早急にしつけのし直しをするなどの対策をしましょう。
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人に対して唸り声を上げることは良くありません。
犬は、家族の中でも常に一番下の順位にいなければいけません。
これは犬は自分が認めたリーダーの指示にしか従わない習性があるからで、自分の方が順位が上だと認識した人物の指示には従わず、逆に自分の方が上だと唸り声を上げて威嚇・攻撃してくる恐れがあります。
このような場合の対策としてはしつけのやり直しをするとともに、原因である飼い主の態度を改める対策が必要です。
しつけのやり直しとは基本のしつけ項目ができるできないにかかわらず、しつけのトレーニングで養われる信頼関係と服従心を養うことが目的です。
飼い主がリーダーになるというのは、厳しく接したり力で押さえつけることばかりではありません。
小柄な女性でも、大型犬をコントロールできている事実がたくさん存在することを忘れないでください。
犬は飼い主に「この人の言うことをきいていれば安心だ」と思わせる堂々とした態度や、いつもブレない一貫した行動を期待しているのです。
飼い主も、しつけのひとつひとつの指示の出し方を見直すことで、普段の接し方を改めることができます。
対策として一番重要なのは、唸り声に対して決してひるまないことです。
飼い主が唸り声にひるむと、犬はますます調子に乗り逆転した立場を維持し続けます。
対策として犬のわがままには屈しないようにし、飼い主がきちんとしたリーダーシップを取りながらしつけのやり直しをしましょう。
有効な方法として、毎回の食事は食器で出すことを止め、すべて1粒ずつ飼い主の手で犬の口に持って行ってやるということがあります。
とても時間がかかることですが、いずれにしても一度壊れてしまった信頼関係を築き直すことは気が遠くなるようなことです。
フードを犬が勝手に取ることができないペットボトルの中に入れて、飼い主の手に1粒取り出しては犬の口に入れてやるようにすれば、権勢症候群の犬であっても襲い掛かって奪ってしまうような暴挙には出ることはありません。
また、普段世話やしつけに関わることが少ない家族が標的になりやすいので家族の中の特定の人物に唸るといった場合には、一番犬をコントロールできる飼い主が中心となってしつけを行いましょう。
対策として、犬と人が対立するような原因はあらかじめ取り除いておきましょう。
どういったときに唸り声を上げるのかで原因がわかり対策が取れます。
おもちゃや居場所の奪い合いや、家族の愛情の奪い合いが原因になることがあります。
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原因が興奮性の場合もあります。おもちゃの引っ張りっこなどの遊びの中で興奮し唸り声を上げることもあります。
権勢症候群ではなく単に興奮した状態の唸り声ならさほど気にすることはありませんが、しつけ上は飼い主が綱引きに勝った上でお座りなどをさせて落ち着かせるなどの対策をしましょう。
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未知のものに対する警戒心が原因で唸り声を上げることもありますが、危険がない限りは見守ってあげましょう。
ただし、散歩中など他の犬や人などに対して唸り声を上げる場合は、飼い主がリーダーシップをとって危険ではないことを教えて犬を落ち着かせる必要があります。
飼い主のリーダーシップが取れていれば、犬はむやみに他の犬や人に唸ることはありません。
また、母性本能による攻撃性は唸り声などの威嚇なしに攻撃してきます。犬が何に対してどのような気持ちを持っているのかを汲み取ってあげることが、飼い主の務めです。
飼い主が犬にとって頼れるリーダーであれば、犬は自分の身の安全を飼い主に預けているので、警戒して唸ることはありません。