ヒート中の犬の散歩で注意すべきこととは?避妊手術のメリットデメリットも解説!
犬の「ヒート中」とは何のこと?
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犬のヒート中とは何のことを言うのでしょうか?それはメスのワンちゃんの発情期のことです。メスのワンちゃんは生後10ヶ月程度に最初の発情期がやってきます。その後は6ヶ月に一度、発情期がくるサイクルになります。しかし個体差があり、なかなか発情期が訪れない子もいます。
ヒートの時期と期間
時期的には通常であれば3月から5月までの春、9月から11月までの秋のシーズンになると考えられてきました。しかし最近では、季節に関係なく発情期があることが分かっています。これが研究結果によるものなのか、最近の気候の変動のせいなのかは分かりません。
ヒート中には生理になります。その期間は短い子では8日前後、長い子では2週間から3週間ほど続くことがあります。もし1ヶ月を過ぎても出血がおさまらないという場合には、子宮などの病気の可能性もありますので、すぐに動物病院に受診しましょう。
出血量が少なかったり、ワンちゃんが自分で舐めてしまったりして飼い主さんが気づかないという場合もありますので、しっかり観察してあげてください。
ヒートのサイクル
ワンちゃんの生理のサイクルについて飼い主さんは理解しておく必要があります。人間は月経期が来てその後、増殖期つまり卵胞期になります。そして排卵期、分泌期と繋がっていきますが、ワンちゃんの場合は少し違います。
まず発情前期という約5日から10日に起こるものがあります。発情前期は妊娠するために体が変化する時期です。出血も始まります。お尻を気にして舐める、排尿の回数が増える、元気がなくなる、食欲が低下するというような症状が見られるワンちゃんもいます。
その後、発情期になります。9日から14日間続きます。ここで出血のピークを迎えて、ここから少しずつ出血量が減っていきます。落ち着きがなくなり反抗するそぶりを見せたり、逆にいつもよりも甘えてきたりする事もあります。いつもはオスのワンちゃんに興味がなくても、この時期だけは興味を示すような子もいます。
発情後期になると体は元に戻り、出血もなくなります。いつものように落ち着いたワンちゃんに戻ります。そしてその後4ヶ月から6ヶ月くらいは無発情期で、出血もなくホルモンの分泌もないため、発情しない時期となります。
ワンちゃんが妊娠しやすい時期は発情期の5日から6日ごろです。しかしワンちゃんの精子の受精可能期間が長いので、この時期よりも前に交尾をしても妊娠する可能性があるようです。
ですから、ワンちゃんが妊娠しやすい期間は発情期が始まってからの7日間です。発情期の始まりのタイミングが飼い主さんではなかなか判断しにくいため、この7日間だけを気をつけていればよいというわけではありませんので、場合によっては注意が必要です。
一方オスは発情期があるというわけではなく、ヒート中のメスに反応してオスが発情するという形になります。その時期に散歩をしても大丈夫なのでしょうか?散歩する際に気をつけるべき点などを考えていきましょう。
ヒート中のお散歩について
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ヒート中のメスを散歩させるかどうかは飼い主さんが判断することです。しかし、ヒート中に散歩させる危険や他のワンちゃんとのことなど、注意点を知っておくことは大切といえます。
オスの犬に会わないようにする
ヒート中のメスを散歩に連れ出すという決定をしたならば気をつけて欲しい点として、できるだけオスのワンちゃんに会わないようにする必要があります。オスのワンちゃんに付きまとわれるとか、危険な目や怖い目に遭うかもしれません。
例えば、多くの人が散歩している朝や夕方の時間ではなく、昼間に散歩の時間をずらすとか、いつもの長い散歩コースではなく自宅の庭だけ、自宅の周辺だけでさっと終わらせるなどのほうが良いかもしれません。
いつもよりは不便に、また注意が必要となってきますが、ヒート中のメスは私たちが思っている以上に強い匂いを発していますので、トラブルを回避する為にも細心の注意を払ってください。
ある調査では、ヒート中に発するフェロモンは2mも先のワンちゃんまで届くという結果もあるようです。もちろん、ヒート中はドックランやドックカフェなど利用するのはやめましょう。
オムツをして散歩をする
生理中にオムツをして散歩するのも良いかもしれません。ワンちゃんは匂いに敏感なので、オムツをしていようがいまいがあまり関係ありませんが、オスのワンちゃんを連れている飼い主さんに、自分のワンちゃんが生理中とアピールすることにもなるでしょう。
一方ヒート中のワンちゃんに出会ってしまった場合には、オスの飼い主さんはさっと離れるようにしましょう。あまりにも近づきすぎたり立ち話をしていたりすると、トラブルになりかねません。
ヒート中のワンちゃんが散歩に行きたがらないということもあると思います。そういった時には無理に外出させないようにしましょう。行きたくない時に無理やり散歩に行ってしまうと、ストレスになりかねません。行きたくなさそうな時は、排泄は庭や家の中にペットシーツを用意してあげて、そこでできるようにしましょう。
ヒート中に注意すべき点
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オムツを履かせる場合の注意点
散歩の時や家の中のソファー、カーペットなどを汚さない為にマナーパンツ、つまりオムツなどを履かせるようにする飼い主さんもいるでしょう。便利なものではありますが、オムツはかぶれなどが生じてしまい、細菌性膀胱炎になってしまう可能性もありますし、皮膚炎になってかゆみが生じることもあります。
つけっ放しにしたり、濡れているのに取り替えなかったりすると不快な症状が起こりやすくなりますから、こまめにワンちゃんの様子をみながら清潔を保ちましょう。
また、オムツが歩く時にカサカサという音がしてそれがストレスになったり、不快な為または慣れていない為に外そうと力を入れて噛みちぎろうとしたりすることもあります。その時に誤って自分の体を傷つけてしまったり、噛みちぎった破片を飲み込んでしまったりする危険もあります。
オムツを付けると判断した場合、人間の赤ちゃん用のオムツですと吸収性も高く通気性もあり、ワンちゃん用のオムツよりもリーズナブルですからおススメです。大型犬だとサイズの関係で難しいかもしれませんが、中型犬や小型犬であればしっぽの部分の穴を開けてセットしてあげれば良いです。
食欲不振への対策
食欲がなく元気がなくなる子もいますから、飼い主さんは心配ですよね。その時にはいつもあげているドライフードをお湯でふやかしてあげたり温めてあげましょう。美味しそうな香りにつられて食べるかもしれません。
それでも食べないようであれば、ワンちゃんが好むもの、例えば鳥のササミやウエットフード、ふりかけなどを少し混ぜてあげてもいいかもしれませんね。しかしあまりに豪華なものをあげてしまうと、その後でいつものドライフードに戻した時に食べなくなってしまう可能性もありますので、ほどほどの量にしましょう。
シャンプーやトリミングは行っても良いが注意点もある
結論から言うと、シャンプーやトリミングをしても構いませんし、その期間中でも受け入れてくれるサロンがほとんどだと思います。体の免疫力が下がっている時に細菌感染をしない為にも、汚れた体と陰部を清潔に保つことは大切です。
しかしワンちゃんがデリケートになっていて、いつも行っているシャンプーやトリミングをストレスに感じる場合もありますので、ワンちゃんの様子を見ながらにしてくださいね。
このようなヒート中の不便さや大変さを考えると、繁殖させる考えがないのならば早いうちに避妊手術を検討してもいいかもしれません。中にはかわいそうだから避妊手術はさせたくないと考える飼い主さんもいることでしょう。
まとめ
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ワンちゃんのヒートについて知ることができましたね。特にデリケートな時期ですから、散歩に連れ出す時には細心の注意が必要ですし、他の人に配慮した散歩ができるように心がけましょう。
また、気をつけたい点もいくつかありましたからそうした点を踏まえて、不快なヒート中であっても少しでも快適に過ごせるように、飼い主さんがワンちゃんをよく観察しながらサポートしてあげてくださいね。