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ではそれぞれ具体的にみていきましょう。
一つ目の理由は「相手を威嚇するため」です。
自然界の弱肉強食の世界では、敵に遭遇した時に自分を大きく見せることで、自分は強いんだ!と威嚇をします。威嚇された方は大きな相手を目の前にし、戦意喪失し逃げていくことでしょう。
これは猫の場合も同じです。猫が威嚇するために手っ取り早く体を大きく見せる方法として、二足で立つことがあります。こうすることで実際よりも体を大きく見せることができます。後ろ足で立って前足を上に広げ、バタバタ動かして威嚇攻撃をします。二足で立っているため、その後も素早く反応することができるようです。
ほかにも毛を逆立てることで体を大きく見せる猫もいますね。背中を高く丸めて毛を逆立てる様子を見たことがあるのではないでしょうか?猫の威嚇方法の一つです。
猫は予想外の出来事に遭遇したり、急な大きな音や知らない動物に遭遇したりした時に、ビックリして思わず二足立ちをすることがあります。二足立ちの後は威嚇体勢に入ったり、そのまま逃げたりすることもあります。
私たち人間もびっくりしたとき体の筋肉が硬直することがありますね。猫もビックリしたときは筋肉が硬直し無意識に立つことがあるようです。
他にも、周囲の気配を察して警戒しているときに二足立ちをすることがあります。例えばちょっとした物音が聞こえたり、何かいつもと違う気配を感じたりした時、周囲を警戒するために二足立ちをして周りを見渡すことがあります。
二足立ちすれば普段よりも目線が高くなるため、周囲の様子がよく見えますし、音もよく聞こえやすくなるため、わずかな異変にも気付くことができるでしょう。
猫は何か興味深いものを見つけたとき、よく見たいという好奇心から二足立ちすることがあります。特に自分と興味があるものの間に障害物があると、視線を高くしてよく見るために立ち上がって見たくなるでしょう。
猫は一緒に遊んでほしい、おやつが欲しいなど何か要求があるときに、立ち上がってアピールすることがあります。中には二足立ちをしお祈りのようなポーズをとる猫もいます。
あまりのかわいらしさに飼い主さんも猫の要求を受け入れることでしょう。もしかしたら猫自身も知っていて、こんなかわいらしいポーズをとるのかもしれないですね。
おねだりと似ていますが、ただ単に甘えて二足立ちすることもあります。自分の可愛いポーズを知っており、かわいいアピールのために二足立ちをするのでしょう。
前に二足立ちをしたら構ってもらえたという経験があると、それを覚えていて甘えたい時に二足立ちすることを覚えた可能性もあります。
猫が二足立ちするのは背伸びしているのかもしれません。私たちも棚の上など高いところにあるものを取るときは背伸びして取りますよね。猫も同じかもしれません。
例えばお気に入りのおもちゃがテーブルの上にあった場合、おもちゃをとろうと思って背伸びをすることがあるでしょう。体を伸ばせばおもちゃに届くと思っているのでしょう。かわいいですね。
中にはトイレでうんちをするために二足立ちする猫もいるようです。私たちもトイレに行って用を足すとき踏ん張ることがありますが、トイレで踏ん張るのは人間だけではなく動物みんな同じです。
猫も例外ではありません。猫もトイレで踏ん張るとき、力が入ると二足立ちになることがあります。猫の中にはトイレのふちに前足をかけて踏ん張る猫もいます。踏ん張りすぎて後ろ足が上がり逆立ち状態になる猫もいます。
ここまで猫が二足立ちする理由についてみてきましたが、もう一つ猫が二足立ちする理由があります。それはもしかしたら「てんかん」という病気が原因かもしれません。てんかんとは脳の中の神経に異常が生じるために発作が起こって、体のコントロールを失う病気です。
てんかんの症状としては、口から泡を吹いたり、けいれんを起こしたり硬直したりします。四肢が硬直して二足立ちするような状態になることがあります。猫にはまれにしか見られませんが、突然症状が現れるため飼い主はその状況にびっくりしてパニックになるかもしれません。
万が一、愛猫にてんかん症状が出ても慌てないでください。症状が出ている最中の猫に触ろうとすると、意識のない猫に攻撃をされる可能性があるので、症状が落ち着くまで近寄らず、発作が止まるのを待ちます。症状が落ち着いたらすぐに病院に連れていきましょう。
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ここまで猫が二足立ちする理由についてみてきました。いろいろな理由があり大変興味深いですね。
しかし、本来四足歩行の猫が二足立ちをすることは体に負担にならないのでしょうか?足腰に負担がかかって痛くないのかな?って思いますよね。
結論から言って「大きな負担にはならない」ようです。ではどうして猫は二足立ちしても大丈夫なのでしょうか?
・猫の後ろ足は発達している
一つ目の理由は「猫の後ろ足は発達しているから」ということをあげることができます。獣医師によると、猫の後ろ足は発達していて力があるため、猫にとって二足立ちは無理な姿勢ではないようです。
猫は非常にしなやかな動きをする動物です。膝を曲げ伸ばしし高いところからも難なくジャンプしますが、これら猫の動作にすべて後ろ脚やお尻の筋肉が関わっています。
そのため猫はビックリしたときや緊張している時などに力が入って体がこわばることがありますが、筋肉が緊張することは猫にとってなんてことないのです。ですから二足立ちも猫にとっては無理な姿勢ではないようです。
・猫はバランス感覚が良い
二つ目の理由は「バランス感覚が良い」という点です。猫は三半規管が発達しているため、体のバランスを動きに合わせることができています。それで他の動物に比べてバランス感覚が良く、高いところから落ちてもきちんと着地ができます。これは猫の大きな特徴ですよね。
こうしたバランス感覚のおかげで、後ろ足で立ってもバランスを調整し立っていることができるようです。
とはいえ全く体に負担がないか?といったらそういうわけではありません。やはり猫も本来は四足走行する動物ですので、いつもいつも二足立ちしていたらやはり足腰に負担はかかることでしょう。
ですから猫が自ら二足立ちする以外に、飼い主がただ単に二足立ちが見たいからといった理由だけでむやみに立たせることは避けたいですね。
若いうちは良いかもしれませんが、シニア期に入ると骨が変形したり、関節のクッション部分である軟骨が減ったりすることで痛みが生じて、動きに制限が出て二足立ちできなくなるかもしれません。また肥満になると、足腰や関節への負担が大きくなるため立てなくなることでしょう。
立つことは猫の本能による行動でもあります。ですから立てなくなることは猫にとってもストレスとなりかねません。それで飼い主のエゴで無理に立たせて足腰に余計な負担をかけたり、太りすぎたりしないように食生活にも気を配りましょう。