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例えば「メガネザル」という、哺乳類の中でも体格に比べて目の割合が非常に大きい猿の仲間がいます。メガネザルが持つ脳と比べてみると、両目の眼球それぞれが脳とほぼ同じサイズということですから、非常に大きいといえますね。人間で考えるとだいたいグレープフルーツくらいの大きさです。
メガネザルは目が大きいことにより、光の量を調整する瞳孔も大きくなるので、暗闇の中でも可能な限りたくさんの光を取り入れることができるようになっています。
・ヒキガエル
「ヒキガエル」も視力が優れています。ヒキガエルは取り込んだ光の情報が脳に伝わるスピードを遅くすることによって、私たち人間よりもはるかに多くの光を集めることができるようになっています。その速度というのは、人間の25倍の遅さのようです。約4秒間の光を溜め込んでから脳に情報として送るために、暗闇でも見えるようになっているようです。しかし、集めた光が4秒ごとに送られて来るために、受け取った情報をイメージして更新していくには時間がかかり、それだけ反応も多少遅くなります。そのため、夜行性のヒキガエルは動きの遅い獲物を狙うようになっています。
・蛾
夜行性の「蛾」は小さな目がたくさん集まっている複眼を持っていて、光を外に反射せず一つ一つの目で光を何度も屈折させることで、わずかな光を効率よく取り入れているようです。そのように、夜行性の蛾の目には光を取り入れるために有利な構造をしていますが、物質の詳細を把握するには適してはいないので、脳に送られる情報のイメージ画像は荒くなってしまうようです。
ワンちゃんやネコちゃん以外にも夜行性の動物には暗闇でも見通せる能力があることが分かりましたね。また、ワンちゃんネコちゃんの目が暗闇の中で光る原因も良く分かったと思います。
さてワンちゃんやネコちゃんの目の構造については注意するべき点があります。その点を次に考えてみましょう。
Javier Brosch/shutterstock.com
タペタムという機能により、暗闇でも見えることが分かりましたが、この構造によって注意すべき点があります。それは、写真を撮る際にフラッシュを使っての撮影をすることです。暗い場所で光を増幅させて獲物を見つけるわけですから、フラッシュを浴びてしまうとその光が強すぎることがあります。
また、私たち人間はフラッシュを浴びることを想定して瞳孔を素早く閉じて眩しさを軽減させるという動作が可能なのですが、ワンちゃんやネコちゃんはフラッシュがいつ来るかわからないので、瞳孔を急に調節することができず、フラッシュでの撮影によって強い光が入りすぎて目を傷つけてしまうという可能性もあります。特に子犬の場合には目の機能が未発達ですので、写真撮影の際はフラッシュは使わないように気をつけてください。
急激に大量の光が網膜に入ってしまうと、刺激が大きすぎるため網膜の炎症や剥離、最悪の場合には失明やひきつけ、痙攣などを引き起こすという可能性もあります。そのような事態にはならないとしても、ワンちゃんやネコちゃんにとっては大きなストレスになる為、結果としてカメラ嫌いになってしまう子もいます。
では、どうしたらうまく撮れるでしょうか?
まずは、電気をつけたりしてその場を明るくしてあげましょう。それが無理な場合にはシャッタースピードを遅くするかISOの感度を上げてください。それも難しいようならば、写真を撮った後に編集するか、または暗いとこでの撮影は控えて明るい時間に撮るようにしてください。なによりも大切なのは、ワンちゃんやネコちゃんのストレスにならずに写真を撮ることです。このことを忘れないようにしましょう。
それでは、赤目軽減機能は使ってもいいのでしょうか?
赤目軽減機能とは、赤目にならないように撮影前に何度かフラッシュをプリ発行させることです。前もって瞳孔を開かせてから撮影します。この機能を使えばワンちゃんやネコちゃんの目がフラッシュで光ってしまうということはなくなります。しかし、この機能も結局はフラッシュが光っていますから、ワンちゃん、ネコちゃんのストレスを考えるとおススメはしません!
ところでフラッシュで撮影した時に、ワンちゃんやネコちゃんの目はなぜ赤色や緑色、青色などに光るのでしょうか?
赤色に光る場合ですが、網膜と網膜の後ろ側には脈絡膜という部位があります。その脈絡膜には多くの毛細血管があり、その毛細血管の赤い部分が反射して見えています。緑色や青色になる時はどうでしょうか?それは、先ほど出てきたタペタムで反射するとその色素の色が反射して見えているときです。まれに白内障や緑内障を患っているワンちゃんやネコちゃんの場合にはフラッシュを使わず明るい場所で写真撮影をした時に目が青っぽく写るということもあるようです。
タペタムを持たないハスキーなどの犬種は目が青いので、フラッシュ撮影をしても目が光るということはありません。しかし、光らないから大丈夫ということではなく、目が光らないとしてもフラッシュにはストレスを感じますので控えてください。