名前に「ジャパニーズ」とついていると、我々日本人としては、それだけで興味が湧きますよね。食品・工芸品・洋服・など色々な商品に、ジャパニーズ〇〇という名前がついていますが、猫種の名前にもジャパニーズとついているものがあります。

それは「ジャパニーズボブテイル」ですが、皆様ご存知でしょうか。日本にいる多くの猫に姿は似ているが、実は「ジャパニーズボブテイル」自体は、ほとんど日本には存在していない珍しい猫種です。

ではこれから、どうしてジャパニーズという名前がついたのか、またどうして日本にはいないのかを含め、外見や性格など、ジャパニーズボブテイルの特徴を見ていきましょう。

ジャパニーズボブテイルのルーツ

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「Japanese Bobtail」と英語では書きますが、Bobtailは”短い尻尾”という意味ですので、続けると”日本にいる尻尾の短い猫”というネーミングになっています。

なぜ日本には尻尾の短い猫が多いのかは、後ほど改めて説明しますが、ジャパニーズボブテイルの始まりは、1960年代に日本に滞在していた、ジュディー・クロフォードというアメリカ人女性が、尻尾の短い日本猫に魅了されたことから始まります。

日本ではごくごく一般的で、見向きもされないような尻尾ですが、アメリカをはじめ欧米諸国では、猫の尻尾の長いものばかりで、ボンボンのような形をした短い尻尾を持つ猫種はとても珍しく、クロフォードはぜひアメリカにも連れて帰りたいと考えました。

まず、アメリカに住んでいる友人であるエリザベス・フリーレットに、日本猫のオスとメスを一匹づつ送り届けました。そして、自分が帰国する時にも、尻尾の短い日本猫を数頭連れて帰り、友人と一緒に繁殖活動に取り組みました。

元々は、短毛の猫ばかりを持ち帰ってブリードしていましたが、その中に長毛の遺伝子を持つ猫が混じっていたので、1970年代には長毛の遺伝子の固定もなされるようになりました。

その結果、1976年に短毛のジャパニーズボブテイルが、1992年には長毛のジャパニーズボブテイルが、アメリカの血統書登録団体であるTICAに認められました。(イギリスの血統登録団体では未だに短毛のみが公認です)

ルーツを見ると、ジャパニーズボブテイルの原産国は日本ですが、アメリカで一つの種として確立された猫種であることがわかりましたね。

ただ、日本猫と呼べるかというと、専門家の間では意見が分かれているそうです。日本猫と呼ぶ人もいますが、厳密にいうと、欧米人の思い描く日本猫の姿を目指して作られた猫という位置付けになり、日本猫には該当しないという意見もあります。

ジャパニーズボブテイルは、日本猫を原型としているし、短尾や三毛など、日本猫の要素は存分に持ってはいるが、人為的に作り出された猫種であるというのがその理由となっています。

純粋な日本猫は、交雑によってほとんど姿を消してしまっていますが、欧米諸国で、一つの種として手厚く保護されてきたジャパニーズボブテイルの方が、より日本猫の雰囲気が漂っているという意見も多いです。

なぜ日本には尻尾の短い猫が多いのか

ジャパニーズボブテイルのような、尻尾の短い猫は、古くから日本に生息していました。1,000年以上前にも存在していたという記録も残っています。

尻尾の短い猫はアジア特有で、インドネシアやマレーシアなどの東南アジアが原産地とされています。ただ、日本は島国で海に囲まれているので、どんなに近くても、陸上動物が自然と生息するようになることはありません。

しかし、鎖国中の江戸時代にも特別に交易が許されていた会社の支店が、インドネシアにあり、長崎に入船を許可されていたのです。

航海中に大事な荷物をネズミにかじられないように、長距離船には必ず現地から猫を乗せてくるようにという決まりまであったそうで、インドネシア原産の尻尾の短い猫がたくさん日本に連れてこられ、そのまま住みついたと言われています。

しかも日本では、尻尾の短い猫を可愛がり大事にする風習がありました。なぜなら、尻尾の長い猫は、老猫になると”猫又”という、人に化けたり、しまいには人に襲いかかる恐ろしい妖怪になってしまうと考えられ、倦厭されていたのです。

ですから、尻尾の短い猫だけを意識的に繁殖させたり、自宅に住まわせたりして、長いものを排除していったので、自然に尻尾の短い遺伝子を持つものだけが頭数を増やしていったのです。

時代の流れとともに、”猫又”妖怪などの都市伝説も風化していき、明治以降は尻尾の長い猫も可愛がれ、むしろ好まれるようにもなっていきました。

今では、尻尾の短い猫も、長い猫もどちらもよく見かけますし、それぞれの美しさを感じますよね。

ジャパニーズボブテイルの身体的特徴

ここからは「ジャパニーズボブテイル」の身体的特徴を見ていきましょう。尻尾が短い猫であることは既に明らかですが、どれくらいの短さなのか、また他にはどんな特徴があるのか詳しくご紹介したいと思います。

サイズ

生猫の平均体重は、

・オスの場合:3.5〜5.0kg
・メスの場合:3.0〜4.0kg

と言われているので、中型もしくは、少し小柄なサイズです。


ボディタイプは、胴が真っ直ぐで長く、すらりとしているフォーリンタイプで、脚も長くて細いですが、華奢というよりは、スリムながらも筋肉がしっかりついている感じです。実際、丈夫な猫種のようです。

後脚の方が前脚よりも少し長いのですが、それほど差はないですし、頭も小さく、尻尾も短いので、横から見ると長方形に見えるとも言われています。

尻尾

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ジャパニーズボブテイル最大の特徴である尻尾ですが、少しカールしている場合が多く、ウサギの尻尾のような、ボンボンのような、とてもキュートな見た目をしています

座っていると、お尻の下に丸く巻き込まれるので、全く見えなくなってしまい、生えていないように感じてしまうことさえありますが、歩いている時にチョコンとついている尻尾が愛らしいですね。

ただ全ての尻尾がカールしているわけでもなく、真っ直ぐ伸びたままの尻尾を持っている個体もいますし、形はそれぞれです。形状はそれぞれでも短いことは確かです。

短いといっても、何センチくらいなのでしょうか?一般的に、ジャパニーズボブテイルの尻尾の長さは、5cm〜7cmと言われています。伸ばしても7.5cmまでのことが多いようです。時に10cmほどの長い尻尾を持つ個体もいないわけではありませんが、ごく稀です。

ジャパニーズボブテイルの尻尾には柔軟性はなく、カールしている場合も関節で固まって曲がっているそうです。

このジャパニーズボブテイル特有の短い尻尾は、劣性遺伝によって発現するそうです。ですから、両親ともに短尾の遺伝子を持っていない限り、短い尻尾の子猫は生まれないのです。

ジャパニーズボブテイルのように、短尾の遺伝子を持つ猫は、「アメリカンボブテイル」「クリルアイランドボブテイル」「マンクス」などがいます。

尻尾が短いと、事故や喧嘩で切れちゃったのかと心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、大抵の場合は生まれつき短尾であることがほとんどです。

さらに、猫の尻尾には、体のバランスをとったり、マーキングをする際に使用したり、寒さ対策に体に巻きつけたり、様々な役割があります。

犬ほどではありませんが、猫も感情を尻尾で表現することもあり、嬉しかったり甘えている時には尻尾をピンと立てたり、尾の毛を逆立てて怒りや興奮を表したり、足の間に挟んで服従や敗北を表すこともあります。

ですから、ジャパニーズボブテイルのように短いと、不自由がないのかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、もともとの作りでそうなっていますので、多少できないことはあるとしても、彼らが困ることはありませんのでご安心ください。

フェイス

日本原産の猫種だけあり、顔立ちは和の雰囲気漂っています。顔自体は小さいのですが、頬骨が高く、鼻は長めで丸い輪郭をしているので、シャープというより、可愛らしい感じでしょうか?

目は、楕円形で大きく、被毛の色によって瞳の色が異なります。被毛が白い場合は、左右の瞳の色が異なるオッドアイの個体も多く見られます。

耳は、大きく直立していますが、先端は丸みを帯びているので、丸い顔、丸い目など目立つパーツが全て曲線になり、和風な雰囲気になっているのかもしれません。

被毛

まず、自然発生した短毛種と、突然変異によって登場した長毛種の2種類がいます。どちらも絹のように柔らかく、抜けにくい毛質だと言われています。

短毛種の場合は、ミディアムショートヘアで、わずかなアンダーコートがあります。長毛種の場合は、ミディアムロングヘアで、化粧用パフのように放射線状に広がった尾毛をしています。

ロングでもショートでも、お手入れはそれほど手間がかからず、週に1回か2回程度のブラッシングで大丈夫でしょう。

毛色は、実に様々で、ブラック・ホワイト・レッド・ブルー・クリームなど、たくさんのカラーが認められています。

柄も、ソリッド・タビー・キャリコ&バイカラーなどバリエーションが豊富ですが、特に人気があるのは、顔と尻尾の部分だけに模様が入っている三毛猫です。「ミケ」はアメリカでも通用する模様で、日本猫っぽさが出るのでやはり人気なのでしょう。





情報提供元: mofmo
記事名:「 ジャパニーズボブテイルの基礎知識!オススメキャットフードのご紹介