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まず、目が高い位置についているのは、身を隠せる場所が少ない平坦な砂漠や平原で生きていたので、低い岩陰に隠れた時に、目だけを出して、相手に気づかれないように獲物を狙うためだと言われています。
そのような理由で、通常のネコよりも目が高い位置についているので、額が高く、耳が離れてついているように見えるという、それに付随したぶさかわ現象も生まれています。
大きな目と同時に、三角形のピンと立った耳がトレードマークにもなっているネコだけに、丸くて横向きの耳が、下の方について見えるマルヌネコは、ネコなのにネコっぽくない不思議な雰囲気になるのも無理もないかもしれません。
さらに、一般的にネコの目は、瞳孔が縦長になりますが、マヌルネコはまん丸のままです。
また、他のネコ科の動物と比べて歯の数が少なく、顎も小さいです。
このように、私たちがイメージするネコ科の動物とは、スタイルやシルエット、細かい点がちょっとずつ異なるマヌルネコですので、唯一無二の神秘的な存在感があるのでしょう。
生息地域については、中央アジアの高知と先ほどちらりと触れましたが、具体的には三種類のグループに分かれています。
モンゴル・ロシア・中国で生息している種と、イラン・トルクメニスタン・カザフスタン・ウズベキスタン・アフガニスタン・パキスタンなどの種、さらに、カシミール地方・チベット・ネパールなどに生息している種がいるそうです。
何れにしても、標高5,000メートルほどの高知に生息していて、岩穴や岩の割れ目などに潜んでいることが多いそうですが、キツネやマーモットが掘った穴に潜んでいることもあります。
ただ、絶滅危惧種に指定されだけあり、個体数が非常に少なく、警戒心も強いので、野生のマヌルネコを人が見かけることはごく稀です。
マヌルネコ同士が会うことも稀で、群れを作って生活していることはほとんど無く、繁殖期以外は単独で狩りをして生活しています。
夜行性で、早朝や夕暮れ時に活発に活動します。狩りの仕方は、岩陰に隠れて待ち伏せをして仕留めるか、気付かれないように後をつけて捕獲します。主に、ウサギやネズミ、リスやトリなどの小動物を食料としています。
レッドリストに入るほど個体数が少ないということで、繁殖行動が気になりますが、残念ながら、野生のマヌルネコの繁殖行動については詳しいことがわかっていません。
現段階で観察されていることは、出産時期は4月や5月が多く、妊娠期間は65日~75日ほどで、2頭~4頭ほどを一度に出産するということくらいです。
マヌルネコの生態で特徴的な他の点は、威嚇行動です。
威嚇行動とは、実際の攻撃では無く、自らの身を守るために、自分の力を誇示するような行為をして、相手をひるませようとすることです。
一般的なネコの威嚇行動は、身体中の被毛をブワっと逆立てて、シャーと唸ることが多いですが、マヌルネコの場合は、片方の唇を釣り上げて震わせて、大きな犬歯をむき出しにします。
この威嚇するときの表情は、本当にいかつく、悪い目の表情と合間って、怖いというか気味が悪いというか、なんとも言えない不気味さがあります。きっと、直近でこれをされた小動物は、背筋の凍る思いがするでしょう。
本人からしたら、身を守るための真剣な行動とは言え、私たちから見たら、その邪悪な感じが漂うインパクトがある表情は、ブサイク具合を強調する思わずぷっと吹き出してしまうような絵面です。