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当時は、高貴な犬として、ハイソサエティーの人々にしか飼育されることが許されていませんでした。
19世紀後半に中国宮廷で絶大な力を持っていた西太后は、ことのほかシーズーを寵愛し、数千頭のシーズーを王宮内で飼育していたとも言われています。
さらに、中国で最も神聖な動物と考えられている「獅子」から名前が取られ、「獅子狗(シーズークヮ)」と名付けられていたことからも、シーズーがいかに大事にされ、尊ばれいたかがわかりますね。
その後19世紀後半に勃発したアロー戦争により、清王朝が占領され、悲しいことに多くのシーズーが惨殺されてしまいました。
そのように人間の歴史に翻弄され、絶滅の危機に遭遇しましたが、犬好きのイギリスリス人に保護され、なんとか生き残ることができました。
そして生き残ったシーズーを元にイギリスで交配と繁殖が繰り返され、頭数を増やすことに成功し、見た目もよりライオンに似せた形に改良されました。
1934年には英国ケンネルクラブに登録され、正式にシーズーという犬種が確立されました。
1958年にはアメリカにも輸入され、世界中でペットとして飼われるようになりましたが、日本には1963年頃に輸入され、人気犬種トップ10の常連になるほどの人気を確立しました。
これほどまでにシーズーが愛されるのは、ぬいぐるみのようなキュートなルックスだけで性格の良さットとしての性格の良さと、飼いやすさが大きく影響しています。
これから具体的な特質をご紹介します。
牧羊犬や狩猟犬として作られた犬種だと、その役割を果たすために、警戒心や勇ましさなどが残っていることが多いですが、シーズーは最初から愛玩犬と作られただけあって、非常に穏やかで落ち着いていて、攻撃性はありません。
宮廷で高貴な犬として愛されてきた歴史もあるので、がっついたところもなく、のんびりした気品漂う性格です。
ですから小さな子供とも安心して遊ばせられますし、お年寄りのゆっくりとした散歩の友にするのにも最適です。
少しプライドが高く、マイペースなところもありますが、協調性も持ち合わせているので、躾の基本を押さえておけば、手を焼くことはないでしょう。
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飼い主に深い愛情を抱くだけでなく、飼い主の家族や友達、散歩で会う知らない人や犬にもフレンドリーに接することができる、人懐っこさを持っています。
飼い主と一緒に遊ぶことも散歩も大好きですし、好奇心もあり快活な動きもしますが、基本的には穏やで、興奮しすぎることもない、まさに愛玩犬の鏡のような性格をしています。
ドッグランやカフェなどに出かけた時にも、その性格の良さと可愛い見た目から、みんなの人気者になれる犬種ですので、飼い主としては、手がかからず愛おしさがより増しますし、誇らしく感じることも多いでしょう。
神聖とされていた犬種の血を引いているせいか、もともと無駄吠えをしたり、噛み癖がある子は滅多にいません。さらに非常に賢く、物覚えが良いので、躾けをするのも楽です。
飼い主の目をよく見て、落ち着いて指示を聞くので、それほど怒る必要もなく、教えたことが上手にできたらとにかく褒めるようにすれば、自然と教えたことができるようになるでしょう。
子犬の時のあまりの可愛さに、飼い主がメロメロになりすぎて教えることを怠らない限りは、人に迷惑をかけたり、家を汚したり、危険行為をしてハラハラさせることはありません。
ビギナーでもちゃんと躾けることができるので、最初のペットにするのにも向いている犬種と言えます。
チャーミングでもあり、気品漂うエレガントな雰囲気も漂わせるシーズーの外見には、他の犬にはない特徴的なパーツがあります。
身体的な特徴を理解すると、トリミングのペースや日々のお手入れの仕方、日常生活で気をつけることなどが見えてきますので、飼う前にきちんと把握しておきましょう。
平均体高は20cm~28cm、平均体重が4kg~7kgの小型犬です。
細かく分けると、ヨーロッパ系体型とアメリカ系体型の2種類に分類されるそうですが、何れにしても骨太で筋肉質なので、抱き上げるど、見た目よりもずっしりとした印象を受けます。
日本で見かけるほとんどのシーズーは、「アメリカ系」で、小柄で可愛らしい雰囲気をしています。一方「ヨーロッパ系」はアメリカ系より骨太でガッチリしています。
フサフサの被毛で、実際の体格はわかりにくいですが、銅の幅が広く、足も短く太い、ずんぐりとしたスタイルをしています。
シーズーの体型をチェックする際には、肋骨のあたりを指で触ってください。骨を少し感じるくらいが理想の肉付きで、骨の感覚がしないなら肥満で、見た目にも骨がわかるなら痩せすぎです。
運動量が少なく、どちらかというと肥満になりやすい犬種なので、時々体型チェックをして餌の量などを調整するようにしてあげると、健康な状態を保ちやすくなります。
シーズーの一番の特徴である、大きくて黒くで、まん丸の目は本当に可愛らしいですが、目の間隔は少し離れていて、それによってコケティッシュな魅力がプラスされています。
大きな目も、決して出っ張っているわけではなく、シーズーの顔の作りは、凹凸がなく平面的です。横顔を他の犬種と比べると、違いが一目瞭然で、のっぺりしていることがわかります。
鼻筋も全くなく、大きく開いた鼻孔がポツンとついていて、口も唇も平らな作りになっています。通常、凹凸がないと良いルックスと言われませんが、シーズーの場合は、それぞれのパーツが絶妙のバランスで配置されており、独特の魅力で多くの人を魅了しています。
気温が低く、乾燥しているチベットが原産なので、寒さに強いダブルコートで、密度も高く、耳の先から尻尾の先までびっしりとした被毛が生えています。
ですから、日本の夏の暑さや湿度の高さに参ってしまう子も多く、室温の管理を徹底したり、サマーカットをするなどして快適に過ごせるように気をつけて上げなければなりません。
さらに上毛はお手入れ次第でいくらでも伸びます。絡まりやすいので、毎日のブラッシングは必須ですし、目や口に入ったりしないように、マメにカットしたり、リボンやクリップなどで可愛く整えてあげることも必要になります。
手はかかりますが、それだけ様々な表情やトリミングを楽しむことができるので、愛犬を可愛く仕上げるのが趣味の人や、スキンシップをいっぱいとりたい人には愛しいパートナーになってくれます。
さらにシーズーの被毛の特徴として、鼻の上の毛が様々な方向に飛び散るように生えていることも忘れてはいけません。それが菊の花のように見えることから「クリンサンセマム・ドッグ」と呼ばれることもあるほど、シーズーらしさを感じるポイントでもあります。
被毛の色は「ホワイト&ゴールド」や「ホワイト&ブラック」などが一般的ですが、「ソリッゾ」と呼ばれる単色のもの、珍しとされる「レバー」、白が入っていない「パーティーカラー」などバリエーションが豊富です。
さらに、成長によって被毛の色が少しずつ変化する非常に珍しいタイプの犬種です。ですから、血統書を決める組織でも、どんなカラーバリエーションでも公式とされている数少ない犬種で、お気に入りの色をオフィシャルに楽しむことができます。
シーズーの子犬には、「ショータイプ」と呼ばれる、血統がよく、被毛も好ましいとされるパターンで、顔や尻尾に白のコントラストがはっきり入っているようなものだと30万円ほどします。
これはドッグショーに出して、コンテストでの優勝や上位を狙うことを、飼育の目的とされている方にお勧めしたいタイプです。
しかし、コンテストなどを目指す気はなく、家庭でペットとして楽しみたい方には「ペットタイプ」のシーズーで十分可愛らしさを堪能できます。「ペットタイプ」の平均価格は15万円ほどです。