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<スナック キズツキ(テレビ東京系)> 第3話(2021年10月23日未明)は、サラリーマンの佐藤悟志(塚地武雅)だ。広告代理店の社員で出世に恵まれず、後輩にも馬鹿にされているうだつの上がらない男である。就職祝い以来、誰からもお祝いしてもらってないことに傷ついている。この佐藤さんは、第2話で登場した安達さんが、バスに乗ったときに、隣で脚を開いてどっかり座っていたその人だ。
トウコママ(原田知世)が出迎える「いらっしゃい」は、3度目だが今回もとても心地が良い。これといって特別ではないし、「どうぞどうぞ」と招かれるわけでもない。扉を開いた人のペースを崩さないまま受け入れる程度がよいのだろうか。あるがままってことか。
トウコママがフィンランドを訪れたときの話になると、佐藤さんは海外旅行の経験がなく、全国を電車で旅をする「乗り鉄」であると告白。するとパソコンを開いたトウコさん。ストリートビューで2人のフィンランド旅行が始まった。「なるほど今回は傷ついた鉄男の遠吠えかな?」と単純に想像するやいなやカセットデッキの再生ボタンが押される。
トウコママのエアギターが始まって「嘘でしょ?」。そして「言いたいことがある~♪」と歌が始まっちゃった。ギターも歌も突っ走ってマイクは佐藤さんに渡される。「人生の成功ってなんだ?誰に見張られているんだろう?♪」と歌いだしたら止まらないんだけど、キンキンノリノリのギターに日本語の歌詞が笑っちゃうぐらい合わない。
ところが2人のエアギターが最高にうまい。どんどんヒートアップする佐藤さんとトウコママ。会社のデスクの上を歩きながらギターを弾くシーンは、現実だとしたらこの世のサラリーマンはさぞ心地が良いだろう。キュイーンと唸るギターと佐藤さんの顔があまりにリアルでまるでライブ。「塚地武雅のエアギターがうめぇ」「知世さんと塚地さんのエアギターギター、最高でした!」「原田知世さんと塚地武雅さんのエアギター、あれぞ心の叫び!」などの反響も。トウコさんのお決まりの「合いの手」もばっちり決まった。ただ一つ注文するならトウコママのシャウトしたエクスタシーな顔が見たかったかな。
日頃のうっぷんを歌ってすっきりした佐藤さん。大汗かいている演出も見逃せない。サンダルのままテーブルに乗っちゃうほどの大興奮はうらやましい。こんなスナックどこかにないだろうか。
すっかり自信を取り戻した佐藤さんの帰り際、忘れ物だといってエアーギターを渡すトウコさんは粋だった。佐藤さん常連になっちゃうだろうな。
(Y・U)