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<スナック キズツキ(テレビ東京系)> 今回(11月13日未明、2021年)のお客さんは、エアギターで大汗をかいた広告代理店の独身男性、佐藤さんの妹、香保さん(西田尚美)。タワーマンションの高層階で暮らす「奥さま」で息子が京大合格した。外から見ると上流階級の恵まれた生活ではある。しかしスナックキズツキへと導かれた。
「何が不満なんだろう」と思う反面、これまでずっと息子に尽くす人生で、自分の人生を生きていない虚しさを感じたのかな。はるか青春を振りかえると精一杯生きていた自分がいたということだ。でもそこにはもう戻れない。
トウコさん(原田知世)の提案はユーロビート。80年代を日本の音楽シーンを席巻し、どこもかしこもこのビートで溢れかえっていた。当時若者だった世代は、聞けば踊り出すまではいかないにしても青春時代の熱い頃がよみがえる。「私ら世代の話だ。高校生の頃に戻りたいってよく思うからわかる」など懐かしいという声がたくさん。
若さゆえに「無敵」だった時は誰にでもある。地球は自分中心に回っていると大きな勘違いをしているのだが無償に心地よかった。青春というのはそういうものかも。ユーロビートで踊る2人が当時のようにキレッキレではないのが、大人のガス抜きっぽくてかえって共感できた。「ユーロビートでもパラパラでもなく、私の高校時代はAKBだな」という声もあり、世代間で「無敵の音楽」に違いがあり妙に納得。
「もう真夜中に走って会いに行くようなそんな恋もできないっていうのに〜」という香保さんの歌にグサリと刺さった世代は、その後「お母さんより知らないことはない」と言い切った息子に、「一人暮らししたらお母さんより知らないことは大盛りにあるぞ」と思ったんじゃないかな。
このドラマは誰もが身に染みて感じていることをわざわざ掘り起こして浄化してくれる。浄化の仕方って案外わからないものだから。
(Y・U)