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「やっぱり、観に来たお客様にしかわからない「感動」や「質感」というのは、舞台ならではです。そうした観劇で得るインパクトは、映画では絶対に出せないし、そこがすごく、キャストやスタッフ一同、自信を持ってお届けできているところかなって思います」
―――そう語るのは、2022年7月から東京・TBS赤坂ACTシアターで絶賛ロングラン上演中の舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』で、この7月から新ハリー・ポッター役を務める俳優・平方元基。
総観客数100万人を突破し、3年目新キャストたちによる舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』が幕を開けた直後の平方元基に、この舞台にかける想い、観客に伝えたいこと、を聞いた。
ロングラン上演中の舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』は、小説「ハリー・ポッター」シリーズの作者 J.K.ローリングが、ジョン・ティファニー、ジャック・ソーンとともに、舞台のために書き下ろした「ハリー・ポッター」シリーズ8作目の物語。
小説最終巻から19年後、父親になった37歳のハリー・ポッターと、その息子・アルバスの関係を軸に描かれる新たな冒険物語で、世界中の演劇賞を複数獲得するなど好評を博している。
日本国内でも第30回読売演劇大賞の選考委員特別賞、第48回菊田一夫演劇大賞を受賞するなど、高く評価された作品のひとつ。この東京公演はアジア初、世界では7番目の上演となる。
―――いよいよロングラン公演が走り出しました。
舞台稽古から公演まで、意外とあっという間でした。もう(このインタビュー時点で)10回以上、演じてきたんですけど、どの公演も1回として同じ公演がないので、毎日、新鮮に演じることができて、ありがたい気持ちです。
稽古中は、吉沢悠(よしざわひさし)くんとほとんどずっと2人でいっしょにいて、いろんな話をしたんですね。
稽古の朝、楽屋に行くと、悠くんがビタミンC の顆粒とかいろんなものを置いといてくれて、すっごくいろんな気遣いしてくれるんですよ。ほんとに優しくて。
本番が始まるともう、同じ時間にいないんでまったく会えないんです。公演中のいまは、稽古場からずっと支えてくれた悠くんがいっしょにいないこと、それがいまちょっとさびしいことかな。
―――舞台公演中のいまはどんな一日ですか?
12時の公演の場合は、朝7時に起きて、外に出て散歩します。
劇場に入っちゃうと日を浴びないから、30分ぐらい散歩しながらセリフを一通りすべて確認して、家に帰ってシャワーを浴びて、ご飯を食べて、劇場に向かいます。
そして劇場でまた稽古して、それから自分の支度をしたらもうすぐ本番って感じです。
割と早起きだなって自分で思うんですけど、でもずっと続いてます。それもなんか楽しいですよね。
―――プレッシャーはありますか。
プレッシャーは感じたことないです。逆に、プレッシャーを感じるほど自分に自信を持ったことがないんです。
ただもう普段通りに「ハリー・ポッターをやるために生きてる平方です」っていうだけです。「今日も魔法使いになる」みたいな(笑)。
―――総観客数100万人突破し、夏休みに入ってからお子さん連れやファミリーの観客も増えてるようです。
夏休みに入る前から、学生の団体さんとか、学校で貸切りで観劇するような日があって、それはそれでまた雰囲気が全然違うんです。
最初はみんな、演じてる側以上に堅くて静かなんですけど、演者が一生懸命やると、笑いどころでちゃんと笑ってくれたり、少しずつほぐれてくるんですよね。
そういうのを目の当たりにすると、ただ静かにみるだけじゃなく、面白いところを面白いって感じて笑ってくれたり、自由に心を動かしてみてもらえるっていうのは、観劇する学生たちからもすごく元気をいただいてるなって感じます。
―――ハリー・ポッターの映画を初めて見る子どもや、これから小説を読むという人も、今回の舞台は楽しめますか。
この舞台を観るにあたっては、“演劇”として楽しめるのはもちろんなんですけど、ここではハリー・ポッターが父親になっていて、その次男・アルバスとの確執などがメインで描かれています。
もし、“予習”する時間があれば、この夏休みの時間に小説や映画で物語を体感しておくことをおすすめします。
ハリー・ポッターのストーリーを知ってたほうが、絶対この舞台はおもしろい。その世界観を表すセリフや固有名詞が出てくると、ワクワクするし、舞台上だけで解決しない“伏線”もたくさんあるんですよ。
だから、ストーリーを共有しておけば、もっともっと感動できるし、楽しさ・うれしさ・衝撃がもっと増えると思います。ぜひ僕は小説や舞台とリンクさせて観てほしいなと思います。
そして舞台は“生もの”ですから、そこで観て感じるものは、観客それぞれで違ってくると思うんです。そこもまたおもしろいところです。
この舞台を観たあと、観客たちがそれぞれに「楽しかったな」とか「つらかったな」とか、感想を話し合ってくれると、ぼくたちもやりがいがあるなって思います。
やっぱり、観に来たお客様にしかわからない「感動」や「質感」というのは、舞台ならではです。そうした観劇で得るインパクトは、映画では絶対に出せないし、そこがすごく、キャストやスタッフ一同、自信を持ってお届けできているところかなって思います。
この舞台、観れば観るほど、作品やキャラクターに対して、思いを乗せて観てもらえると思ってます。3時間40分という時間のどこかに、自分のバイブルになるような言葉がある―――そんなことも演じて実感しています。
―――今回の観どころ、「ここが面白い」というポイントはどこですか?
これはもう、全部。すべてなんですけど、物語が複雑に絡んでいるので、「観どころはここです」とはいえないです。ぼくがやってるハリー・ポッターに関していうと、やっぱりハリーの“孤独さ”などは、この舞台で感じるはずです。
そして息子との確執。それは自分の歩んできた人生の中で起きてきたトラウマだったり、そういうものに向き合ってこなかったとか、「いいことばかりじゃないよ人生は」というのがしっかり描かれてるんですよ。
だから子どもがこの舞台を観て「面白かったです」っていうものだけじゃなくて、ちゃんと大人が観てもいろいろ想いをめぐらせられる、考えることができる作品になっています。大人も子どもも、心を揺さぶられる作品になってると思います。
この舞台は、親の視点で観ても、子どもの視点で観ても、いろいろな角度から感じるものがいっぱいあります。すべてのキャラクターが、それぞれに人生を背負ってる舞台なので、観ている人は登場キャラクターの誰かしらに、自身を重ね合わせることができる、“ハマる“と思うんですよ。
舞台を観る日の気持ちやテンションによっても、重ね合わせるキャラクターが違ってくると思います。心を寄せるキャラクターがいろいろたくさんいる。そんな舞台なんてなかなかないと。
もちろん、ハリー・ポッターですから、魔法がたくさん出てくるので、それはそれでもちろん楽しいんですけど、そこだけじゃなくその裏に本当にびっちり埋められている人間模様やキャラクター模様があって、すべて紐解こうと思うとこれはまたこれで大変なんです。
―――そう平方元基が語る、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』は、11月以降の公演延長も決定。
2024年11月~2025年2月公演のチケットは、ホリプロステージで好評販売中↓↓↓
https://horipro-stage.jp/stage/harrypotter/
◆舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』
日程:ロングラン上演中
会場:TBS赤坂ACTシアター
上演時間:3時間40分 ※2幕、途中休憩あり
主催:TBS/ホリプロ/ATG Entertainment
特別協賛:Sky株式会社/With thanks to TOHO In association with John Gore Organization
◆キャスト
ハリー・ポッター:平方元基/吉沢 悠
ハーマイオニー・グレンジャー:木村花代/豊田エリー
ロン・ウィーズリー:石垣佑磨/ひょっこりはん/矢崎 広
ドラコ・マルフォイ:内田朝陽/永井 大/姜 暢雄
ジニー・ポッター:白羽ゆり/大沢あかね
アルバス・ポッター:佐藤知恩/渡邉 蒼
スコーピウス・マルフォイ:西野 遼/浅見和哉/久保和支
嘆きのマートル:出口稚子
ローズ・グレンジャー・ウィーズリー:飛香まい
デルフィー:鈴木結里/乃村美絵/高山璃子
組分け帽子:尾尻征大
エイモス・ディゴリー:間宮啓行
マクゴナガル校長:榊原郁恵/高橋ひとみ
秋山和慶/安藤美桜/安楽信顕/荒澤恵里奈/チョウヨンホ/半澤友美/隼海 惺/久道成光/星 郁也/伊藤優佑/亀井陵市/柏村龍星/北代祐太/小結湊仁/倉澤雅美/黒田 陸/松尾 樹/馬屋原涼子/仲本詩菜/小川 希/扇 けい/岡 直樹/織詠/大竹 尚/篠原正志/髙橋英希/手打隆盛/上野聖太/薬丸夏子/横山千穂
ルード・バグマンの声 吉田鋼太郎