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「日本の家族葬のパイオニア」と、「エンディングハウス」という新葬儀を始動した葬儀社が手を組み、日本の葬送文化に新たな価値を創出する時代へ―――。
燦ホールディングス(東京都港区・大阪市北区)と きずなホールディングス(東京都港区)が、経営統合。
「全国どこでも安心安全で後悔のないお葬式ができる世の中をめざす」という。
―――動き出した葬儀社の再編。燦ホールディングス と きずなホールディングス は経営藤堂しどんな戦略で打って出るか。
燦ホールディングス 播島聡 代表取締役社長、きずなホールディングス 中道康彰 代表取締役社長 兼グループCEO、両社を結び付けたアドバンテッジパートナーズ(東京都港区)笹沼泰助 共同代表パートナーが語った。
まずは、燦ホールディングス播島代表が、ライフエンディング業界の現状とユーザー動向について。
「ライフエンディング業界のなかでも、とくに葬儀業界は昨今、同業者だけではなく異業種からの新規参入が非常に相次いでいる業界です。
いっぽうで家族経営の零細事業者が多く、全国で事業者間での競争が激化しM&Aの動きが非常に活発化し、私たちの事業を取り巻く環境も著しく変化しています。
コロナ禍を経てお客様のお葬式に対する考え方や価値観が大きく変化しているなかで、事業者側と消費者側の情報の非対称性が非常に大きいという問題も抱えております。
ライフエンディングに関連する商品やサービスは多岐にわたりますが、多くの消費者にとってそれらを比較、検討する基準が「安い」「高い」など見た目の表示価格に偏っていることが大きな原因のひとつと考えます。
お葬式をはじめとするライフエンディングに関連するサービスは日常的に利用するものではないため、「試しに使ってみよう」ができません。
人生にとって、とても大切な選択であるにもかかわらず、十分な情報が行きわたってません。
それゆえに、ご自身でインターネット検索をして葬儀会社を探し、問い合わせをすることになります。
あいまいな理解で情報を取捨選択しながら、「この会社で大丈夫なのか」と目利きをしなければならないという問題に多くの消費者が直面しています。
過去に、弊社が喪主経験者1,000名を対象に「第5回 ライフエンディングに関する意識調査」を実施したところ、「誰に・何を・いつ相談したらよいかわからない」「どこの会社に相談したらよいかわからない」といった回答が多くありました。
このような調査結果もあわせて、葬儀業者をはじめ、ライフエンディングサービスを提供する会社にいま最も求められているのは、提供されるサービスの「品質」「安心」「信頼」ではないでしょうか。
私たちはこのような業界の問題や課題を変えていきたいと考えています。
今回の経営統合の大きな目的は、葬儀業界を取り巻く事業環境や消費者のお葬式に対する考え方、価値観が大きく変化しているなかで、日本人が大切にしてきた葬送・供養の文化、家族や祖先、人とのつながりを大切にする文化をこれからも守りながら、葬儀事業会社、ライフエンディングサポート事業会社として、両社が質の高いサービスを提供することによって日本の葬送文化に新たな価値を創出し、超高齢化社会における課題・問題解決を行い、社会に貢献していくことです」(燦ホールディングス播島代表)
こうしたライフエンディング業界の課題とユーザー動向をふまえ、両者のアドバンテージと親和性について燦ホールディングス播島代表がこう話す。
「きずなホールディングスは、「葬儀再生は、日本再生。」という経営理念のもと、価値観が多様化する現代社会において、家族葬を通してご家族や人との絆をつなぎ、生活者目線で葬送文化を再生することが、日本再生にもつながっていく、という志で、高い品質のサービスを提供されています。
燦ホールディングスは、「人生に潤いと豊かさを。より良く生きる喜びを。」という経営理念のもと、日本の葬送文化の伝統を守りながら、ご家族や人とのきずなを守って人生に豊かさや喜びを感じてもらえるような、高い品質のサービス提供に取り組んでいます。
両社が社会に提供していこうとする価値観には、非常に高い親和性があると考え、両社が一体になることで、家族や人との絆を大切に守りながら日本の葬送文化に、新たな価値や高い付加価値を創出できると確信しています。
またライフエンディング業界を取り巻く課題や問題解決にも資するものだと考えます。
さらに、両社とも上場企業であるため、ガバナンスが効いた会社経営によってコンプライアンス順守のもと事業が行われています。
今回の統合によって日本全国で多くの安心と信頼のサービス提供が可能になると考え、両社の葬儀取扱い件数はおよそ30,000件、お葬式を行う会館数は242会館になり、事業展開エリアは北海道から九州まで15都道府県に広がり、日本で一番大きな葬儀事業の専業会社になります」(燦ホールディングス播島代表)
また、アドバンテッジパートナーズ 束原パートナーは、経営統合の経緯についてこう伝えた。
「2015年にきずなホールディングスの中核事業会社「家族葬のファミーユ」の前身であるエポック・ジャパンとご縁があり、ごいっしょすることとなりました。
同社は創業者の高見氏が「参列者の対応に追われ、身内の方々が故人に対して時間を割けない」という当時の一般的な葬儀のあり方への問題意識を胸に、2001年に「家族葬のファミーユ」ブランドを立ち上げた企業でした。
2015年の経営体制変更後も、「ご家族やごく親しい方が故人と最期の時間をゆっくりと過ごす」という新しい葬儀のあり方をひとつの選択肢として世に広めてきました。
上場直後にコロナ禍となり、人が集まることが難しい状況下でも、経営理念を柱に成長の軌道を担保できるように努め、いまや業界最大規模の店舗数を誇る、名実ともに家族葬のナンバーワン企業としての地位を確固たるものとしています。
そんな同社とのご縁の今後を考えたときに、「共通の価値観を有する会社がいっしょになるのが最良である」と考え、今回の経営統合につなげる子ミュニケーションに至りました。
きずなホールディングス中道代表は、葬儀の質と価格のバランスが崩れていることを指摘し、経営統合にむけたビジョンについてこう語る。
「わたしたちの経営理念は「葬儀再生は、日本再生。」です。
ご葬儀というものは、人と人との絆を結びなおす機会であると考え、遺された方々が孤独に陥ることなく、時間とともに悲しみを乗り越え、その先の人生を力強く生きていけるようになるための大切な時間であると考えています。
また、それは同時に亡くなられた故人の願いでもあるのではないかと思っています。
これからの日本はさらに高齢者比率が高くなるため、ライフエンディングのステージに立つ方がどんどん増えていきます。
そのなかで「どういったご葬儀をするのか」は非常に大きな問題と考え、故人とそのご家族に応じたオーダーメイド型のご葬儀プランで唯一無二の「家族葬」を提供することに取り組んでいます。
しかし、残念ながら昨今においてはご葬儀が持つ意味合いが徐々に薄れつつあるように感じています。
どういうご葬儀をしていくのかという「質」と、いくらでできるのかという「価格」のバランスが崩れ、「価格」の方に重きが置かれつつあります。
このようなバランスを正していきたいという志を持ち、経営統合をする運びとなりました」(きずなホールディングス中道代表)
そして燦ホールディングス播島代表は、両者が統合することで創出できるシナジーについて、こう語る。
「定量的な側面では、国内における出店エリアの補完作用が非常に大きいです。
燦ホールディングスの出店は2024年6月末時点で、首都圏(東京・神奈川・千葉)に21会館、近畿圏(大阪・奈良・兵庫)に57会館、山陰地域に14会館、計92会館を出店しています。
いっぽう、きずなホールディングスは11道府県に計150会館を出店されております。
とくに燦ホールディングスが出店していない、北海道や愛知、埼玉、京都、岡山、熊本、宮崎に出店し、一部エリアが重複している千葉、神奈川、大阪、奈良においても、その重なりは軽微であり、相互に国内出店地域の補完が期待できます。
定性的な側面では、きずなホールディングスは日本における家族葬においてパイオニアです。
また、非常に高いプレゼンスを有し、優れたノウハウをお持ちです。
燦ホールディングスは2023年より家族葬に特化した新葬儀ブランド「エンディングハウス」を立ち上げているので、両社の協業により家族葬のサービスやオペレーションのノウハウ、人材を活用することで、さらなる成長を遂げることが可能であり、お客様それぞれの価値観に合った家族葬、高い付加価値のサービスを提供することができるものと想定しています。
昨今の人材が不足している状況のなかで、「いかに優秀な人材を確保しながら、管理業務の事業インフラを共有することによって定常業務の効率化を進めるか」はわたしたちのサービス事業にとって非常に重要な課題です。
当社は、亡くなられた方を生前の元気なお姿に戻す衛生保全処置技術「エンバーミングサービス」、あるいは、大切な人を亡くして悲しんでおられる方の心をケアする「グリーフケア」の活動を行っています。
このような面でも高い付加価値のあるサービスの導入や拡大をすることで、両社の収益機会の向上を図っていけると考えています」(燦ホールディングス播島代表)
―――燦ホールディングス と きずなホールディングス が経営統合し、日本最大の葬儀専業会社が「葬儀再生」をめざして動き出す。
燦ホールディングス播島代表は「亡くなられた方だけではなく、その後を紡いでいかれるご家族に対しても、さまざまなサポートサービスを切れ目なく提供していくことで、これからの日本の超高齢化社会の課題・問題の解決に貢献していきたい」とも話していた。