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ステキな生き方をしている様々なジャンルの女性を紹介する、AbemaTV『AbemaPrime』の金曜特集「スゴ女図鑑」に、9月30日、国際レーシングドライバー・井原慶子(いはら・けいこ)さんが出演した。



井原さんはレースクイーンとしてサーキットに通っていたが、一念発起し、普通自動車免許すら持っていなかった状態から、国際レーサーへと転身した女性。2014年にル・マン24時間耐久レースで日本人女性ドライバーとして初完走。さらに同年、富士スピードウェイで、ルマンシリーズ史上初、女性の総合優勝を果たした。数々の戦績をおさめ、名実ともに世界トップクラスの国際レーサーだ。




■井原慶子さんの経歴


国際レーサー 井原慶子(43歳)


1998年 25歳でレーシングドライバーとして“遅咲き”デビュー


2000年 イギリスへ単身武者修行


2002年 FIA(国際自動車連盟)公認レースで女性ドライバー世界初優勝


マカオGP・AF2000でも大会史上初の女性ドライバー表彰台獲得(3位)


2012年 ル・マン世界耐久選手権


史上初の女性ドライバー初入賞


2014年 ル・マン世界耐久選手権


世界初、女性ドライバーとしてフル参戦&表彰台獲得



——そもそも『国際レーサー』というのは?


井原) 世界を転戦して、男性ばかりの中、世界選手権で戦います。世界選手権では、女性は私ひとりです。(男性と同等に)世界選手権の車を時速330キロで走らせるには、大体朝20kmランニングして、100 kmサイクリングして、2時間半くらい筋トレして、最後25mプールを50回から70回泳ぐようなトレーニングをします。


例えば3月のレースに出るときは、その前の3か月くらい(トレーニング)します。たとえばカーブを時速280キロのスピードで回ろうとすると、ものすごい遠心力がかかるんです。それを支えるためには、筋力がいるんですね。無いとスピンします。



■レースクイーン時代は、車に全く興味がなかった


——レースクイーンからレーサーに転身された理由は何だったんですか?


井原)サーキットに行ったときに「これは私のほうが速く走れるわ」って(笑)。もともと普通自動車免許も持っていないくらい車に興味がなかったんですが、(そう思った)翌日教習所に申し込みました。


——心理的なハードルはなかった?


井原)無知すぎて、勢いでやっちゃいました(笑) でも、(教習所で運転の)実施をやることになって、エンジンのかけ方がわからず、まごまごしてかけたら怒られて、「発進して!」「クラッチつなぐんだよ!」っていわれて、ウインカーを作動させてしまったことがあって。それに対して教官に大爆笑されて、怒りと恥ずかしいのとで、その日は帰ってしまったことも……。



■初出場で表彰台、コツは「感情のコントロール」


——周囲に反対されなかったのでしょうか?


井原)100人中、99人はバカにしてきました。「女にできるわけない」とか、「免許をとったばかり」でできるわけないとか。意地悪なものが多かったですね。


——それでも続けたのは?


井原)就職を一日でやめてしまったんですね。レーサーになりたいと思って。それで、親にもすごく怒られて、「あなたは何の職業についても生きていけない」といわれて、反省して。じゃあ、一回、本当に自分の好きなことを突き詰めるまでやってようと思って、なんとかモチベーションを(保ってきました)。


——初出場のレースで、いきなり表彰台に上がりました。


井原)無我夢中で走っていました。走る前にトイレに行ったんですが、緊張し過ぎて必死でドアの開け方がわからなくなるくらい。


——それでも表彰台。(勝つ)コツってあるのですか?


井原)運転のコツっていうよりは、感情のコントロールのコツですね。メンタルが響きます。その後、フランスのスポーツ科学研究所に住み込んだりしたんですけど、例えば食べ物、糖質の量や質で感情のコントロールもできるんです。例えば糖質のなかでも「もち米」が消化が良いとか、怒りにくいとか。



■今年3月、アメリカ最高峰レース「セブリング12時間耐久レース」で8位入賞


今年3月、井原さんが出場したのは、アメリカで最高峰のレース「セブリング12時間耐久レース」。悪天候に見舞われた過酷なレースとなったが、井原さんは新しいエンジンを積んだマツダのマシンで見事8位に入賞した。


番組レギュラーのお笑い芸人・石井てる美(33)が「追いかけていた男とかいたんですか?絶対そういうのがないと、モチベーションが……」と恐る恐る尋ねると、井原さんは「ありましたね(笑)。外国の選手かっこ良いんですよ(笑)」とあっけらかん。そう笑う一方で、男性だらけの現場で、女性ひとりで、世界と戦う秘訣について「女性としての能力を最大限駆使する」というポイントがあるという。


それは、第一にコミュニケーション。「社長でもチームオーナーでもリーダーでもないけれど、自分が中心に、いろんな部門の人、エンジニアとかメカの人とかとコミュニケーションをとっていると、いろんな情報が集まってくるんですよ。数百人いますので、一つのチームに」(井原さん)



そんな井原さんは、現在、女性たちの活躍の場を広げようと、様々な活動をしている。三重県鈴鹿サーキットで行われた、働く女性たちのためのサミットでは、最先端科学・技術領域で活躍する女性の代表として参加した。また後進の女性ドライバー育成にも力を注いでいる。


井原「(練習は)厳しいです!超厳しいです! 安全が関わってるから、厳しくないといけない。厳しくしないと、『女性だから駄目だよね』と(思われてしまう)。一回でチャンスが終わるとやっぱりダメじゃんって放り出されちゃう。チャンスを与え続けないと経験ができないので、活躍するところまでいかないですから、長期的にチャンスをどんどん与えていけるようにしたいと思います」



井原さんによると、自動車に携わって仕事をしたい、生きていきたい人という条件で募集したところ、18歳から68歳、500人以上の応募があったとのこと。選考を重ねて数十人を選び、結果として、希望者は全員レースデビュー。いわく、「皆さん(参加するなかで)すごく生き生きとしてきました。(これまで)結婚、出産、子育て終わったなどいろんなフェーズで、会社や家族の反対があって“好きなこと”ができなかったので。結構、表彰台にも乗っています」という。


今後は、自動車産業だけでなく、ほかの技術・科学、基幹産業でも女性が活躍できる場を波及させていきたいと語る井原さん。番組恒例「スゴ女格言」は「まぜねば危険!」というもの。




「今の時代、立場とか多様な視点を混ぜないと新しいイノベーションも起きないし、それがないと経済や企業も成長がないということで。いろんな立場、価値観を混ぜていこうということで」(井原さん)


MCの池澤あやか、ハヤカワ五味、そして石井は口を揃えて「カッコいい」と感嘆。行動力と先入観を捨てた努力、そして実績のある井原さんだからこそ、説得力をもつ言葉だ。


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情報提供元: CuRAZY