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「この度はご結婚、おめでとうございます!」
「ありがとうございます」
私はウエディングドレス担当。
この道10年のベテランよ。
「あの、このドレスってありますか?」
「こちらですね。はい、取り扱っております」
「あぁよかったー…」
「なあでもこのドレス、ぽっちゃりでも着られるの?
9号からって書いてあるけど」
「失礼ね。9号で大丈夫よ!
あの、試着ってできますか?」
「えぇ、大丈夫です。
サイズは9号からございますが…」
「大きいサイズにしておいたら?」
「だから9号で大丈夫だってば!
9号でお願いしますね?」
「…かしこまりました。
では、新婦様のみこちらへ」
さて、ここからが、
ドレス担当一番の腕の見せ所…
「早川部長。お茶が入りました。どうぞ」
「ああ、片瀬さん。ありがとう。
さっきメールしたけど、
今日は都合どう?」
「え、またですか?」
「そう、仕事終わりに、いつもの場所で」
「…はい」
「オッケー。楽しみにしてるよ。いつものあれもね」
「あの、部長。このこと、奥さんには…」
「大丈夫!ばれてないよ。こんなことしてるって
バレたら離婚ではすまないよ。会社もクビになるだろうし」
「そうですよね。そろそろやめた方がいいですよ、
ああいうこと」
「どうして?それは困るよ!」
「私ももう限界なんです。毎回持っていくの」
「ちゃんとお礼はしてるつもりなんだけど…
あれじゃ足りないかな。いくら欲しい?」
「そういうことじゃなくて。数に限りがあるんですよ。
正直もう限界なんです。このままじゃ、
私の生活がむちゃくちゃです」
「そうなのか…片瀬さんしかいないんだよ、
こんなこと頼めるの。ほら、僕たち相性ぴったりだろ?」
「もう…無理です」
「ねえ、洋子。お母さん、あなたに話したいことがあるの」
「え、何?あらたまっちゃって」
「あのね、母さんね、実はその…」
「何?私わけがあって機嫌悪いの。早くして」
「実はね、母さんあなたに紹介したい人がいるの」
「はっ!?何、再婚すんの?」
「…そうなの。実は結婚したいと
思ってる人がいるの」
「へー、そうなんだ。どんな人?」
「ちょっと若いけど、優しくて、いい人よ」
「へえ、よかったね。まあ、私が不幸な分、
お母さんが幸せでよかったよ」
「洋子、母さんの再婚、許してくれる?」
「もちろん。もう父さんが死んで
5年も経つんだもんね」
「ありがとう。
そう言ってもらえてよかったわ」
「そっかー。私に新しいお父さんができるのか」
「実は…今日、来てるの。紹介しようと思って…」
「ええー!?急だなあ、まあいいけど」
「島田君、入って」
「はじめまして…って、祥子!?」
「は、良太…?」
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