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「一体どういうことなんだ…」
「あなた、どうしたの?」
「この前の家族旅行、親父から借りたフィルム式のカメラを使っただろ?」
「ああ、現像終わったの?今日、取りに行ったんでしょ?」
「それがな、写真屋さんが言うには全部真っ黒だったって言うんだよ」
「真っ黒ってどういうこと?失敗したの?」
「それがわからないんだ…」
「あっ…そういえば私、子供のころにこんな噂を聞いたことがあるの」
「噂?」
「フィルムに写っちゃいけないものが写っていたら、写真屋さんのほうで破棄することがあるって」
「そんなまさか!」
「ううん…実はね、今日の朝刊に…」
「ん?」
『遺跡発見、古代の集合墓地か』
「これって…僕たちが写真を撮った公園じゃないか…」
「やだ、怖い!」
「写真屋さんは嘘をついてくれたんだ。僕たちを怖がらせないように…」
「ママ今日ね、すっごく珍しいお肉を買ってきたの!」
「?なんのお肉なの?」
「ふふ…なんと…ペンギンのお肉なの!」
「ええ、うっそだー!」
「ほんとよ~?これ入れて美味しいオムレツ作ってあげるからね」
……
「わ、すごい!ペンギンのお肉って、やっぱり白と黒なんだね」
「そうなの。美味しいから食べてみて?」
「…ほんとだ美味しい!ボクこんなに美味しいお肉、はじめて食べた!」
「おい田中!焼きそばパン買ってこい!3分以内だぞ」
また佐々木から命令された。
なんで大学生にもなって、
パシリやらなきゃいけないんだよ。
佐々木のバカが!一度、見返してやりたい!
心の中ではそう思ってもホントは怖くてたまらない。
殴り返されたら痛いに決まってるし。
だから焼きそばパンを買ってきた。
「おい、5分ももかかってるぞ。これじゃ金なんて払わないからな」
もうイヤだ。
いつまでもこんな自分でいたくない。
この夏休みがチャンスなんだ。
休み中に自分を鍛えて鍛えぬく。
強くなりたい!
トレーニングして、
あいつを見返すんだ!
ボクは日々のトレーニングを頑張った。
くじけそうになっても、
佐々木の憎々しげな顔を浮かべで
投げ出さずに頑張った。
休みが明けたら
佐々木は驚くだろう。
いままで散々、
バカにしてきたボクの実力に。
僕は生まれ変わったんだ。
新学期がはじまると、
向こうから佐々木がやってきた。
「おい田中!焼きそばパン買ってこい!3分以内だぞ」
よし、今こそ、
トレーニングの成果を発揮するんだ!
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