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中国共産党「新・国家情報法」で海外在住の全中国人が”工作員化”?する?日本はいまこそスパイ防止法を検討せよ!【孫向文】



こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。


以前、日本の保守言論人の間で一時話題となった中華人民共和国の「国民動員法」という法律がありました。これは端的に言うと、「万が一、居住している国が中国と紛争になった際には、海外在住の中国人は中国政府の命令に従い、その国を攻撃する工作活動を行わなければならない」という、中国人をリモートコントロールする悪法なのです。


例えば、尖閣諸島問題で日中が戦争になったら、在日中国人が中国政府の命令により、蜂起して日本の要所を爆破するテロ活動を行うこともありえるわけです。しかし、現実的に在日中国人が中国政府の命令に従ってテロ活動をやる可能性は非常に低いと思います。


個々の中国人は損得勘定・合理主義の国民性を持っています。テロ活動を行えば間違いなく強制送還されてしまうと考えるとメリットがありません。例を挙げるとすれば、池袋で中華料理屋を経営している中国人の店長が、自分が一生懸命、築きあげた日本での料理事業を中国政府の命令で放棄するでしょうか? 損得勘定や合理主義の国民性から考えれば、自分の幸福と財産を放棄するのは、ほぼあり得ないと考えます。


ただし、これは話が大きい場合に限ります。テロ活動に及ばないような、逮捕されない範囲の活動なら十分、可能性があります。例えば、どこかの小さなアパートでこそこそと、日本政府や防衛省、銀行に対してサイバー攻撃を発動することもあり得るわけです。


実際の事件はこちらです。


シェアハウスに違法サーバー設置 容疑の中国人留学生逮捕
https://www.sankei.com/affairs/news/170519/afr1705190026-n1.html
産経新聞 2017年5月19日配信


【図解・社会】サイバー犯罪に悪用される中継サーバーの仕組み(2015年11月)
https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_soc_network20151105j-04-w340


日本では、裁判所の令状がなければ、警察が勝手に家宅捜索できません。何も疑わしいことがない一般人であれば、そうそう警察官に自宅に侵入される機会もないでしょう。その安心感を中国人が悪用した場合、サイバー攻撃のアジトを作る可能性が高いと考えられます。いざ日中で紛争が起こった際に、国民動員法で在日中国人のハッカーが「自分の祖国を守る大義名分」により、日本で蜂起して「サイバー・テロ」を起こすことも可能になるのです。


■スパイ活動を中共が徹底サポート!? ヤバすぎる「国家情報法」


今回、紹介するのは、国民動員法とセットになっている悪法、「国家情報法」です、


百度、中国語、「国家情報法」
https://baike.baidu.com/item/中华人民共和国国家情报法/20805680?fromtitle=国家情报法&fromid=21504336&fr=aladdin


2017年6月27日、中国全国人民代表大会常委会が「中華人民共和国国家情報法」を可決し、翌日の28日に習近平主席が主席令を発令し、即日実施されました。


抜粋ですが、内容を要約すると


第9条
「国家は情報工作に貢献のある工作員に表彰と奨励を行います」


第14条
「中国の国益と情報工作を強めるために、中国国民、及び組織、市民団体、企業は中国政府の命令に従い、情報を収集し、中国政府に送信する義務があります」


第18条
「国家情報工作員は工作に必要な道具を所持することに、出国する際に海関による特別扱いの安全検査を免じる」


という、内容です。


わかりやすく言えば、在日中国人は、中国政府の命令で日本の機密情報を収集して中国に送信する義務があります。工作活動に必要なスパイウェアの所持に関しては、日本に出国する際に保安検査で優先的に通過させられます。


さらに、2018年4月27日、この悪法に追加修正がありました。


第23条
「個人と組織、市民団体、企業は情報を収集する途中で人身安全が脅かされると、中国政府は全力で保護、助けに行きます。」


第24条
「個人と組織、市民団体、企業は情報を収集する貢献に、中国政府は奨励します」


第25条
「個人と組織、市民団体、企業は情報を収集する途中で、もし工作員が大怪我による障害、死亡した場合は、国家が親族遺族に補償を支払います。また、工作途中に経済的な損失を負う場合は、中国政府が補償します」


これらの追記を解釈すると、たとえば、在日中国人が日本の商業技術機密や自衛隊の機密情報を収集する活動により逮捕される際に、中国政府は日本政府に抗議し、中国国民を助けるということです。また、中国国民が日本の警察に反抗したことによる銃撃戦で死亡した場合、中国政府が遺族に賠償するという荒唐無稽な悪法です。


これに対し、中国人の民主派の弁護士は「中国政府の好き勝手な国家情報法は他国の国家安全法を干渉しており、実際、海外在住の中国人が海外の法律を犯すと、その国の法律により罰せられ、中国政府は情報工作員を助けることができません。」と法律の無効性を言及しています。


上記の解釈は間違っておらず、仮に在日中国人の工作員が自衛隊の機密情報を収集する際に日本で現行犯逮捕された場合、日本の法律が適用され、中国の「新・国家情報法」は無効です。中国外交部が日本政府に工作員を釈放することを強引に求めたとすれば、中華人民共和国は日本の国家司法及び日本の主権を侵害する行為にもなります。


しかし、実際にこの荒唐無稽な悪法「新・国家情報法」は先日、出番を迎えそうになりました。12月6日の出来事ですが、米国の要請で、カナダ当局が中国の通信機器大手「華為技術」(ファーウェイ/Huawei)の最高財務責任者(CFO)孟晩舟氏を拘束した際に、中国外交部報道官は孟氏について記者会見で「身柄を拘束した理由を明らかにしてないまま中国国民を拘束するのは人権侵害だ」さらに「ただちに釈放すること」と、米国に抗議しました。


中国外務次官、米大使に抗議 ファーウェイ副会長の逮捕状撤回要求「さらなる対応も」
https://www.sankei.com/world/news/181210/wor1812100003-n1.html
産経新聞 2018年12月10日配信


これは、まさに「新・国家情報法」に当てはまる事例といえるでしょう。しかしながら、中国政府が米国に抗議して孟晩舟氏を助けるという茶番劇になり、最終的にはカナダの法律が適用されるため、孟晩舟氏の釈放要求に関しては、「新・国家情報法」はただのガラクタ同然の法律になっていました。


皆さま、日本の現行法では、中国の「新・国家情報法」と対抗するために「スキあり」があるかもしれない、と警戒してください。習近平政権は相手の盲点をとことん突こうとする強敵と考え、万が一の備えを万全にして、スキを見せないように強く構えられる姿勢をもっておいても損はないはずです。


日本政府は、改めて「新・国家情報安全法」や「新・スパイ防止法」を検討するべきではないでしょうか。


 

孫向文 <漫画家 / 評論家>

1983年生まれ、漫画家、評論家。中華人民共和国浙江省杭州市出身。『本当にあった愉快な話』(竹書房)にて「日本に潜む!!中国の危ない話」、 隔月刊『ジャパニズム』(青林堂)にて「大和撫子が行く」を連載中。近著『日本人に帰化したい!!』(青林堂)が好評発売中。そのほか『週刊文春』にて実録中国猛毒食品「僕らだって怖い!」を掲載し、TBSテレビ『新・情報7daysニュースキャスター』にて「中国超監視社会」に出演。

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