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中国内で波紋を広げる反習近平「墨汁革命」の壮絶さ…日本の自称”自由主義者”たちに見せたい真の抗議活動【孫向文】



こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。


今年の7月4日、上海の海航大楼の前で、董瑶琼という中国人女性が自分の実名を名乗り、街に展示している中国共産党のプロパガンダ街宣の習近平の肖像を損壊しました。


彼女はその行為をスマホで自撮りしながら、Twitterに投稿しました(*中国国内ではVPNを使用すると、Twitterにアクセス可能)。動画の中国語を翻訳すると次のようになります。


「Twitterのフォロワーのみなさん、おはようございます! 現在、2018年7月4日、朝6時40分、まだ通行人が少ない街ですが、私はアカウントで実名を名乗り、習近平の独裁の暴政に反対します! 中国共産党は私を洗脳して迫害しています! 習近平独裁政権を反対します! 私は習近平を恨みます! 見てください! これは私の行為です! (墨汁をかけながら)中共が私達(中国国民)を洗脳と迫害することに、国際組織が介入して調査してほしいのです! 習近平独裁の暴政を反対します! 私は逃げないわ! 習近平よ、私ここにいる、捕まえに来なさい!」


そして、彼女は抗議しながら、自らの手に持っている墨汁の瓶を習近平の肖像に墨汁をかけたのです。


【上海习近平像遭泼墨 女子已下落不明】7月4号,一名年轻女子在上海海航大楼前,向宣传海报上的习近平像泼墨,并将整个过程在海外社交媒体推特直播,引发广大推友的关注。这位女子在视频中说,“因中共脑控迫害我,我反对中共脑控压制我,!反对习近平独裁专制暴政!” 后来她的推特帐号被关,目前下落不明。 pic.twitter.com/Uc61zx6Sw0

— 自由亚洲电台新闻 (@RFA_Chinese) 2018年7月4日


その後、Twitter社は該当のアカウントを凍結しました。私はこの女性の勇気を称賛すると同時に、Twitter社がこのアカウントを凍結することに疑問を抱いています。もしかすると、Twitter社も中国共産党に忖度しているのかもしれません。当の女性こと董さんは、現行犯逮捕されてすぐに行方不明になっています。


英語による詳細報道は以下の通りです。


Shanghai Woman Missing, Believed Detained After Inking Poster of President
https://www.rfa.org/english/news/china/ink-07052018111115.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter


命を賭した、董さんの勇敢な行為に励まされ、中国内では小さな波紋を広がっています。7月5日12時には、広東省肇慶市の王文彬さんもプロパガンダの街宣に習近平の肖像に泥を投げました。その模様はSNSに投稿されたのですが、王さんは翌日から行方不明になっています。二人とも家族とは音信不通となり、公安から勾留のお知らせもありませんでした。まさに「中国共産党に消された」という事態です。


これだけにとどまらず、北京高等人民法院の看板にも墨汁がかけられ、壁に「腐敗」「闇」と書かれています。また相次いで、沢山の習近平肖像が損壊され、その様子がSNSにアップされています。最初の董さんが火付け役となり、「勇者」が続々と登場しています。







■安倍晋三を「独裁者」と罵る自称「自由主義者」たちに見せたい、これが真の抗議活動だ!


董瑶琼さんら、命がけのレジスタンス活動に比べれば、日本や韓国のデモや抗議はほんとうに幼稚な「反政権ごっこ」に思えます。表現の自由や政治信条の自由が保証された安全地帯から、毎日のように政権を批判、くだらないコラージュ写真をばら撒き、選挙ポスターの肖像を刃物で損壊・マジックで落書き…。いくら、このような行為を行っても逮捕されることはありません。中国の「墨汁革命」とは覚悟が違うのです。彼らは民主主義に胡坐をかいた、私から見れば、ただの「駄々っ子」のような主張です。


自民党・安倍晋三首相は毎日サンドバッグのように殴られ放題。この公明正大にして心優しきリーダーのどこが「独裁者」なのか。本当にヤバい独裁政権の元で育った私から見れば、独裁の「ド」の字もなく、言われ放題の安倍さんの存在自体が民主主義を体現しているように思えます。


私も及ばずながら、『中国のヤバい正体』(2013年・大洋図書)を発売して以来、翌年『中国のもっとヤバい正体』(同)、『中国人による反中共論』(青林堂)を発売し、日本で中国の実態を明かす「漫画」で中国政府への抗議を続けてきました。ともに中国共産党の実態を明かす著作を制作した漫画家仲間もいましたが、彼は日本を去り、残念ながら現在のところ、日本で新たな反中共の中国人作家は誕生していません。


私が安全な日本で中国の実態を明かす活動をしていることを嘲笑する人もいますし、今でも時折、ネットで五毛党に攻撃される事もあります。来日する前の丸一年間、『中国のヤバい正体』を制作する時に、私は実家の杭州で漫画を描き下ろしました。当時、私は毎日不安な日々を過ごしました。最悪の場合を想定して『中国のヤバい正体』を脱稿する前に逮捕されることも考えました。しかし、私は中国の奴隷のような生活に反抗することに命をかけました。なにより、第一歩を踏み出すのが大事だと考えたのです。


前述の墨汁をかける行為は簡単に見えますが、私の漫画作業より、ずっと処刑の覚悟が必要な行為です。この抗議は今後、中国人にとって意義あるモノになると思います。抗議の声が増えれば増えるほど、市民の声がネット上に広まり、政府に異を唱えるという健全な社会を作り出せるからです。


市民に物も言わせぬ共産党という「怪物」を作り出したのは、中国人自身です。皆が黙って政府の圧力に耐えれば、それが「YES」という意思表示とみなされ、国民の民意そのものと思われていたのです。その現状を打破するには、やはり中国人しかいないのです。


中国政府と立ち向かう勇敢な中国人が世界中にたくさん現れたら、その時にはじめて中国人の国際的なイメージがアップするのではないでしょうか。結果的には、それが一番の「愛国」行為となり得る気がします。


 

孫向文 <漫画家 / 評論家>

1983年生まれ、漫画家、評論家。中華人民共和国浙江省杭州市出身。『本当にあった愉快な話』(竹書房)にて「日本に潜む!!中国の危ない話」、 隔月刊『ジャパニズム』(青林堂)にて「大和撫子が行く」を連載中。近著『日本人に帰化したい!!』(青林堂)が好評発売中。そのほか『週刊文春』にて実録中国猛毒食品「僕らだって怖い!」を掲載し、TBSテレビ『新・情報7daysニュースキャスター』にて「中国超監視社会」に出演。

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