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400キロ乗って1,300円!? ドイツで格安列車が登場【さかいもとみの旅力養成講座】



ローコスト列車・Flixtrain、フランクフルトでは中央駅でなくやや郊外の南駅に乗り入れ(筆者撮影)



こんにちは、トラベルライターのさかいもとみです。この春休みにもたくさんの卒業旅行の学生さんが欧州へ渡航しました。ところが、ほとんどの学生さんが周遊型のパッケージツアーだったり、航空券+ホテル+送迎を組み合せたプランを利用されているようで、いわゆる「バックパッカー」的な骨太旅行にトライする若い人がイマイチ少ないのが残念なように思います。治安の問題とか、言葉の不安、そして就職を控えた期間に「あまり無茶はできない」ということなのかもしれませんね。



さて、今回はドイツで本格的な「格安列車」が旗揚げする、という話題をご紹介しましょう。格安航空会社(LCC)は日本でもそれなりにポピュラーなものになりましたが、LCCの鉄道版は今のところ生まれる兆しが見えません。



欧州ではこれまで鉄道運行会社が事前購入を条件とした割安切符をオファーする動きはありますが、列車をLCCのように走らす例はそんなに多くありませんでした。


格安バス会社が列車運行業に進出



Flixの名は、欧州で格安バスとして広く知られる(写真:同社提供)


LCCならぬ、いわばLCT(ローコストトレイン)の運行を手がけるのは、ドイツに拠点を持つFlixBusという長距離バス会社です。列車を走らすのに当たって、さすがに商標で「バス」とは言えないと見え、FlixTrainの名で登場することになりました。



同社の格安列車は、HKXという名称でドイツ鉄道(DB)ではないオペレーターが運行していたものを、2017年からFlixTrainが営業協力する形で運行を開始。3月からはバスと同様の緑の塗装の列車で運行を始めました。4月にはシュツットガルト〜ベルリン間にもお目見えしています。



もともとドイツには、鉄道が都市間交通の役割を担うべきという観点から「都市を結ぶ長距離バスを走らせてはいけない」という規定がありました。ところが、21世紀に入ってようやく規制緩和で長距離バスが誕生し、中でもFlixBusはドイツはもとより、欧州最大の国際路線を走るバス会社としてのし上がって来ました。今では27カ国に路線を展開、創業以来の5年間で1億人を運んだ実績があります。つまり、FlixBusとしてはこれまで「バスを使って鉄道のお客を奪う」という形で、国内長距離輸送で寡占状態にあるドイツ鉄道(DB)と戦って来たわけですが、これが「いよいよ列車でガチンコ勝負」を挑むことになった、というワケです。


欧州で「LCT」を走らせられるワケ



3月下旬にドイツに登場した格安列車・FlixTrain(写真:同社提供)


日本の鉄道では、大都市圏で「相互乗り入れ」という形態は取っているところがあるとはいえ、基本的に「ある区間を走る列車に対する運賃は単一の鉄道会社にお金を支払う」という格好となっています。



一方、欧州など多くの国々では、鉄道運営について「上下分離」という形態を取っています。これを簡単に説明すると「上=列車」を走らす会社は、「下=線路」の使用料を支払うことで列車が運行できるといったものです。



飛行機では同じ区間をいくつかの航空会社が競合して飛んでいますよね。「上下分離」では列車が飛行機と同じような格好で運営されているといえばよりわかりやすいでしょうか。



LCCが新たなビジネスモデルを用いて格安サービスを行っているのと同様、格安列車も企業努力や新たな集客方法などを使ってより安い運賃を提供するというワケなのです。


格安列車の気になる運賃は?



購入時期によるものの、9.99ユーロは魅力的な価格だ。(ウェブサイトのキャプチャー)


FlixTrainでは、路線にかかわらず最低運賃は9.99ユーロ(約1,300円)という値段を打ち出しています。ハンブルク〜ケルン間は約4時間、同じ区間をDBに乗ると40ユーロ以上しますから、時間帯さえ合えばFlexTrainはずいぶんとお得、というワケです。



ちなみにこの2都市間は400キロちょっと離れています。東京から新幹線に乗ると名古屋より遠い距離ですから、そもそもDBの40ユーロでも日本の水準と比べるとずいぶん安いとはいえ、FlixTrainはもはや驚異的としか言いようがありません。ただ、格安列車については「当面、ドイツ国内のみで勝負する(同社関係者)」としており、バスのように欧州各地にネットワークを広げる方針にないのが残念です。


欧州では列車の旅を格安に楽しめる



ユーレイルパスの人気も高い。(ウェブサイトのキャプチャー)


日本にもこういった「超格安の優等列車」が登場すると良いのですが、安く旅をしようとすると「青春18きっぷ」が登場するシーズンを待たないといけない(しかも普通列車にしか乗れない)というのは残念な話です。



ところで「欧州での鉄道の旅」といえば、古くからユーレイルパスに代表される鉄道周遊券を使って巡るもの、と捉えられがちです。ところが近年では、高速列車の多くは包括運賃と呼ばれる「1区間いくら」といった形で売られており、せっかく周遊券を持っていても追加料金を払わないと乗れない格好になっています。さらに早めに旅の計画を立てれば、高速列車だけでなくあらゆる区間が「早期割引料金」で乗れますから周遊券の旨味が減ってきています。



そんな状況の中、欧州では格安列車があちこちで誕生の兆し、という時代がやって来たというワケです。



日本とは著しく状況が異なり、しかも(上手に買えば)お財布にも優しい欧州の鉄道の旅。より費用対効果の高い旅行ができると良いですね!

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