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内燃機関超基礎講座 | 直噴がターボ過給と相性がいい理由


「直噴ターボ」とひとつにくくられることが多い近年のエンジン。もちろんポートターボもあり、直噴NAもあるのだが、これらはそのように愛称として呼ばれることは少ない。なぜ筒内直接燃料噴射とターボチャージャーはセットにするのか。


TEXT:牧野茂雄(MAKINO Shigeo)

 エンジン排気量をダウンサイジングし過給で出力/トルクを得るという方法には、燃料消費の点でメリットがある。しかし、S/C(スーパーチャージャー)やT/C(ターボチャージャー)をつかう場合にも、圧縮比を下げれば燃費向上は見込めない。従来のT/C利用では、ノッキングを嫌って圧縮比を低く抑える傾向があった。圧縮比を下げれば膨張比が下がってしまい、吸気量に合わせて燃料を増量した分が、出力増加の恩恵となって戻って来ない。




 これを解決する手段が、近年になって発達した。燃料を筒内に直接投入するガソリン直噴である。従来のポート噴射では、吸気ポート内でガソリンが蒸気化するため、それをシリンダーに取り込んだ場合には空気量の2%に相当する。つまり、空気は98%しか吸い込んでいないことになる。いっぽう、直噴にして噴射制御を行なうと、ガソリンがシリンダー内で蒸気化するときには、理論空燃比(ストイキオメトリー)の状態で約24°Cの温度下降を得られる。蒸発潜熱である。これは、インタークーラーをつかって吸気温度を24°Cさげたのと同じ効果になる。




 吸気総量で見ると、直噴の場合は吸気温度低下に伴う給気密度の増加によって、約8%の吸気増となる。そのうえ温度が24°C下がっているので、圧縮上死点では50°C以上の温度低下になる。これだけ吸気温度が下がればノッキングの心配はほとんどない。しかも、圧縮比を下げる必要がないから、膨張比は維持される。さらに、インタークーラーがラジエーターの前というもっとも冷却効率が高い位置に配置されるようになったことも圧縮比の向上にひと役買っている。

(ILLUST:GM)

 では、直噴過給ですべて問題は解決されるのかと言えば、まだ「応答遅れ」の問題が残る。いわゆるターボラグだ。残念ながら、現状のT/Cは大きな応答遅れが避けられない。S/Cにもわずかな応答遅れがある。最近ではかなりの改善を見たが、本質的な問題は変わっていない。どのようなレスポンスをつくり込むかが過給エンジンの大きな課題である。

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