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BMW・1Series M135i xDrive


1シリーズが、ついにFWDモデルとして生まれ変わった。FWD化に伴い、快適性がアップした室内が魅力だ。強敵ひしめくライバルを迎え撃つ実力はあるか?




REPORT◉吉田 拓生(YOSHIDA Takuo)


PHOTO◉神村 聖(KAMIMURA Satoshi)




※本記事は『GENROQ』2020年2月号の記事を再編集・再構成したものです。

BMW 118i

 第3世代となるBMW1シリーズがデビューを果たした。今回のトピックは何といってもエンジンの搭載方向が横置きになり、基本の駆動レイアウトがFFベースとなったことである。




 総じてクルマ好きはエンジンの搭載方向にうるさいものだ。横より縦がエラいというヒエラルキーが変わったことなどないのでは? 中でもBMWといえば直6、FRで決まり、と思っている方が多いのでは? しかもBMW1シリーズは並み居るFFのライバルに唯一FRで対抗してきた旗手だったはずでは? なーんて思っているひとりが僕自身なのだが、ここはひとつ偏見を排し、ニュートラルな心で挑んでみたい。




 新1シリーズの第1弾として今回デビューしたのは、フラッグシップのM135ixドライブと、ベーシ


ックな118i(グレード違いで3種あり)という2モデルだ。




 いきなりハイパワー4駆のM135iを前面に押し出してきたあたりに、FF化の事実から視線をそらすためのプロパガンダ的な臭いを感じずにいられない。1シリーズすべてをカバーするはずのカタログも、全編ミサノ・ブルーのテーマカラーが眩しいM135i推しに徹しているあたりにも強いバイアスを感じる。まあ実際にそういう狙いなのだろうけれど、ここはひとつニュートラルに行くと決めたんだった。




 もちろんクルマは移動手段ではなく刺激物だ! と捉えたい本誌としても、気になるのはM135iの方である。ちなみに118iは140㎰を発生する1.5ℓ直3ターボ+7速DCTだが、Mの方は2.0ℓ直4ターボ+8速ATで最高出力なんと306㎰なので、気持ち的には4WDが欲しくなって当然である。ちなみにこの306㎰という数値はメルセデスAMGのA 35 4マティックのそれと一緒。つまり今後、最高峰のA45と対戦するためのコマも用意しているのだろう。



5.1インチのメーターディスプレイと10.25インチのディスプレイ(オプション)を採用。FF化により後席足元の前後スペースが先代よりも約40㎜広くなっている。

 駆動方式がFFとそれに紐づいた4WDになって、いよいよVWゴルフやメルセデスAクラスと真っ向勝負の構え。まずはメルセデスAMGに宣戦布告しつつ、ゴルフRを待つといった状況になっているようだ。




 新型1シリーズのスタイリングはゴルフよりAクラスのそれに近い。リヤドア後ろ端のホフマイスターキンクが黒く塗りつぶされているとはいえ、BMWらしいスピード感を漂わせ、久々いい仕事をしている。あと車格に対して大きすぎに見えるキドニーグリルも迫力がある。




 ヴィッツとフィットではないけれど、カテゴリーの細分化が進むと、ライバル同士の寸法が似るというのはよくある話だ。新型1シリーズはAクラスより全長が10㎝、ホイールベースが6㎝短いだけで、あとは誤差の範囲といえる。




 M135iの走りは、まぁー速い。というか速いとヒトに感じさせるのが上手い。前輪か後輪かと言えばやはり前輪主体なのだが、グググッという衝撃を伴って加速していく。そのグググッの原因がDSCなのか、日本初導入のARB(タイヤスリップコントロール)なのか、ただ前輪が暴れているだけなのかわからない。けれどターボラグを覚さとらせず、矢のように突き進んでいく。




 コーナリングも同様で、少しオーバースピード気味に入って早めにスロットルを開けるようなことをしても、何がどう働いたのかはわからないがクイックな走りができてしまう。そういった点ではM135iのキャパシティはとっても奥深いのだが、しかし似たようなスペックを持ったライバルで、底の浅いヤツがいないのも正直なところだ。

ラインナップの頂点に君臨するのが、最高出力306㎰、最大トルク450Nmを発生する2.0ℓ直4ターボを搭載するAWDモデルのM135i xドライブだ。

通常時380ℓ、後席を倒すと1200ℓまで拡大するラゲッジルーム。

 縦方向の加速や減速、横方向のコーナリングといった荷重変化を精査し、キレイにドライブしようとしても、最後は情報が濁って結果オーライになってしまう。「裏方仕事は全部やっておくので細かいことは聞かないでください」とクルマが言っているようにも聞こえる。それが助かるという人もいるが、僕自身はこういう感覚が好きではない。




 対ライバルではなく、対118iで考えた場合、M135iの630万円という価格は118iの2倍に近い。だから目が覚めるくらい速くないと困るという見方もある。




 一方、M135iを味わった後のベーシックな118iは、当然のことながら薄味に感じられたが、ドライバビリティに関してはBMWらしいクセのないモデルだと思った。




 今回試乗した118iは「Play」というグレードだったのだが、ナビやAI音声会話、ACCといった「2020年的なクルマ」であることが感じられる装備の多くがオプション扱いになっているのが気になった。新型1シリーズの真価は、やはり新型のVWゴルフの登場を待たないと判断がつかないのかもしれない。

〈SPECIFICATIONS〉M135i xドライブ〈118iPlay〉


■ボディサイズ:全長4355〈4335〉×全幅1800×全高1465㎜ 


ホイールベース:2670㎜ 


■車両重量:1580〈1390〉㎏ 


■エンジン:直列4気筒DOHCツインターボ〈直列3気筒DOHCターボ〉 


総排気量:1998〈1499〉㏄ 


最高出力:225kW(306㎰)/5000~6200rpm〈103kW(140㎰)/4600~6500rpm〉 


最大トルク:450Nm(45.9㎏m)/1750~4500rpm〈220Nm(22.4㎏m)/1480~4200rpm〉 


■トランスミッション:8速AT〈7速DCT〉 


■駆動方式:AWD〈FWD〉 


■サスペンション形式:Ⓕマクファーソンストラット Ⓡマルチリンク 


■ブレーキ:Ⓕベンチレーテッドディスク Ⓡディスク 


■タイヤサイズ:Ⓕ&Ⓡ225/40R18〈205/55R16〉 


■燃料消費率(WLTCモード):12〈13.7〉㎞/ℓ 


■車両本体価格:630〈375〉万円
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