マツダ・デミオ改め、グローバルネームのMAZDA2を名乗ることになったマツダのエントリーモデル。エントリーモデルといっても、いまのマツダは手を抜かない。いま載せられる最新テクノロジーを詰め込んでいる。1.5ℓガソリンエンジン(SKYACTIV-G1.5)を搭載する上級グレード15S Lパッケージ(FF・6AT)モデルを、週末静岡県清水港まで走らせた。

MAZDA2で400km、走ってみた

ブレーキはFベンチレーテッドディスク/Rドラム

 今回、MAZDA2で向かった先は、静岡県の清水港だ。目的は、JAMSTEC(国立研究開発法人海洋研究開発機構)所属の地球深部探査船「ちきゅう」の一般公開に合わせて取材したかったのと、私が担当したムック「JAMSTEC最前線」を現地で販売するお手伝いをするためだ。

 デミオからMAZDA2に変わって、マツダのエントリーモデルがどうなったのか、少し長い距離を走って確かめるにはちょうどいい距離である。

 

 MAZDA2のオーナーが日常的にロングドライブするという機会はそう多くないだろう。だからこそ、今回はあえてMAZDA2でロングドライブへでかけたわけだ。



 もうご存知の通り、MAZDA2は2019年にデミオから改名したマツダのエントリーモデルである。ワールドワイドではずっとMAZDA2だったから、グローバルで名前を統一したわけだ。現行MAZDA2のデビューは2014年だから、丸5年が経過している。今回、デミオからMAZDA2に改名するタイミングでさまざまな改良を受けた。

 デビュー当初は1.3ℓ直4DOHCのガソリン(SKYACTIV-G1.3)と1.5ℓ直4ディーゼルターボ(SKYACTIV-D1.5)だったが、ガソリンエンジンは途中で1.5ℓのSKYACTIV-G1.5に載せ替えられている。

 今回の試乗車は、SKYACTIV-G1.5を搭載する上級モデルの15S Lパッケージだ。

全長×全幅×全高:4065mm×1695mm×1525mm(シャークフィンがなければ1500mm) ホイールベース:2570mm

最小回転半径は4.7m トレッドF1495mm/R1480mm
車重:1070kg 前軸軸重690kg 後軸軸重380kg


 11月30日土曜日、朝6時過ぎに東名高速用賀料金所を通過すれば、週末の下り渋滞には嵌るまいと思った目論見は甘かった。いつものように町田IC付近で渋滞に巻き込まれた。ここで、全車速追従機能付きのMRCC(マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール)をONにする。全車速追従なのはいいのだが、パーキングブレーキが機械式なため、停止するとMRCCは即座に解除されてしまう。停止するたびにONにするのは、やや煩わしい。

コンバイナー式のHUDを装備しているのはいい。ただし、全車速追従式のACCは停止すると解除になってしまう

トランスミッションはCVTではなくマツダ自製の6速AT。6AT 1速:3.529 2速:2.025 3速:1.348 4速:1.000 5速:0.742 6速:0.594 後退:2.994 最終減速比:4.060

 エンジンは、110ps/141Nmだから特段パワフルなわけではない。が、このクラスの日本車では珍しくCVTではなく6速ATであることと、オルガン式のアクセルペダルのチューニング(踏み応え)が絶妙なこともあって、力不足は感じない。というより、加速感にメリハリがあって気持ちがいい。車重が1070kgと比較的軽量なことも効いているのだろう。

エンジン 形式:1.5ℓ直列4気筒DOHC 型式:SKYACTIV-G1.5 PE-VPS 排気量:1496cc ボア×ストローク:74.5mm×85.8mm 圧縮比:12.0 最高出力:110ps(81kW)/6000pm 最大トルク:141Nm/4000rpm 燃料供給:筒内燃料直接噴射(DI) 燃料:無鉛レギュラー 燃料タンク:44ℓ

ご興味ないと思いますが、これがエンジンカバー
裏側はこうなっている


エンジンカバーを外すとこう見える

 100km/h巡航時のエンジン回転数は約2050rpm。110km/hで約2300rpmだ。このクラスとしては静粛性が高いので、高速巡航時の車内は静か。ストレスは少ない。



 MAZDA2に改名される前のデミオでもロングドライブに出かけたことがあることを思い出した。その時はディーゼルエンジン搭載モデルだったが、800kmを一気に走っても疲れなかった印象がある。今回のMAZDA2でもその印象は変わらなかった。というより、さらに磨きがかかっていた。

インテリアのしつらえは、なかなか上質だ。シートは合成皮革とファブリックのコンビ

後席はこのサイズゆえ、広々というわけにいかない
運転席は電動で前後スライド、シート全体の高さ、背もたれ角度の調整ができる運転席6Wayパワーシートを採用


 その理由は、シートにある。マツダはMAZDA3導入時に新しいシートの考え方を盛んにPRしていた。人間中心の考え方で骨盤を立てて座らせるシートだ。MAZDA2のシートも、この考えに則って新たに開発されたものだ。これがいい。色合いも素晴らしいが合成皮革とファブリックのコンビ表皮もお尻が滑らなくていい。シート自体は小ぶりだが、それでも一度ポジションを決めたら姿勢を修正することなくドライブできる。これはいい。

運転席に175cmのドライバー乗って、後席に175cmの人が乗ると、膝周りに余裕はない

 もうひとつは、NVH性能が向上したから、だろう。静かなクルマは疲れにくい。むろん、絶対的に高価なモデルではないからいわゆる高級車並とはいかないが、クラス平均は大きく上回る静粛性を持っている。

今回は、マイケル・ジャクソンの『Off The Wall』(1979年リリースのアルバム)をかけてみた。音質は上々。マイケルの天才性がよく聴き取れる

 最近のマツダ車はオーディオの音がいい。きっとMAZDA2もいいに違いない、と思って、CDを何枚か持ってクルマに乗った。オーディオの音質は、このクラスの標準オーディオよりかなりよかった。これもMAZDA3からの設計思想が入っているのかと思って、あとで訊いてみたが、オーディオそのものには変更はないそうだ。つまり、NVH性能が上がった分、オーディオがクリアに聴こえるようになったということだろう。

これがJAMSTECの地球深部探査船「ちきゅう」である。全長210m

こちらがそのムック『JAMSTEC最前線』

 さて、清水港に到着すると、巨大な櫓が見えた。これが地球深部探査船「ちきゅう」である。全長210mというのは、やはり巨大で見るものを圧倒する。



 清水港のすぐ東側には有名な「三保の松原」がある。せっかくなので、撮影を兼ねて早朝に出かけてみた。富士山がこんなに美しく見える場所は他にはあるまい、と思うほど美しい風景のなかでMAZDA2をじっくり見てみた。



 相変わらず、スタイルはかっこいい。2014年のジュネーブ・モーターショーで、コンセプトモデルの「跳(HAZUMI)」がお披露目されたときのことを思い出した。「デミオがこんなにかっこいいなら、アルファ(ロメオ)いらずだな」と、アルファロメオ・Mitoと比べたことを思い出した。

 デザインはまだ賞味期限内だ。



 インテリアの質感も高い。コンバイナー式HUD(ヘッドアップディスプレイ)など装備も充実している。これなら、大型車からのダウンサイザーでも充分満足できるだろうと思って価格表を見たら、車両価格は209万円。試乗車はオプションを入れると220万円にもなろうという価格だった。

三保の松原付近で撮影。富士山の美しいこと!MAZDA2もよく似合っている

 さて、清水港での仕事を終え、日曜日の夕方に清水ICから東名高速に乗った。これももう渋滞覚悟である。御殿場の先から交通集中と事故による渋滞が発生。これは、と思って御殿場ICで高速道路を降りて一般道で大井松田ICを目指すことにした。空いた郊外路をMAZDA2はすいすい走る。高速道路よりも市街地よりも、郊外路が気持ちいい。燃費計を見ていても、郊外路をスーッと走っている時が一番いいような気がした。

400km以上走っても航続可能距離が315km以上残っていた。

 とっぷりと日が暮れて、ここで試したかったのは、アダプティブLEDヘッドライト(AHL)だ。左右で20分割されたLEDで先行車、対向車を幻惑することなくハイビームで高い夜間視認性を発揮するAHLをMAZDA2は装備している。これは、郊外に出ると非常に便利だ。今後、AHLはどんどん採用が広まっていく装備だが、マツダのエントリーモデルのMAZDA2にはすでに装備されている、というのは素晴らしい。



 さて、2日間で415.5km走ってみた。高速、渋滞、都内市街地、郊外路のミックスだが、もっとも割合が大きかったのは高速道路だ。

 燃費は、17.9km/ℓだった。



 モード燃費が

燃費:WLTCモード燃費 19.0km/ℓ

 市街地モード 15.2km/ℓ

 郊外モード 19.4km/ℓ

 高速道路モード 20.9km/ℓ



だから、WLTCモード燃費の94.2%と高い達成率となった。

 なかなかの好燃費だ。だがMAZDA2には、SKYACTIV-D1.5のディーゼルがある。ディーゼルのXD LパッケージFF(AT)245万8500円

このガソリンの15S LパッケージFF(AT)が209万円だから価格差は36万8000円もある。



 デミオのSKYACTIV-D1.5のディーゼルで800km一気に走った時の燃費が20.9km/ℓだった。



 同じ条件ではないから直接比較は難しいが、レギュラーガソリンと軽油の価格差を考えると、燃料代でディーゼルとの価格差を埋めるのは容易ではない。MAZDA2を選ぶならガソリン仕様がいいのではないかという結論になった。

デミオ・ディーゼルを800km一気乗りしたときの燃費
このスペースにスマホが収まるといいのだが・・・写真はiPhone11

 415.5km走ったところでの結論は、MAZDA2、いいクルマだった。ということになる。

 安いクルマが欲しい。安いクルマには小さいのしかなかった・・・というクルマ選びの先にMAZDA2はない。

 小さくて上質、安全装備も燃費もいいクルマが欲しい、となればMAZDA2は俄然ショッピングリストにあがってくる。

 昔から、「小さな高級車」は多くのメーカーがトライして、なかなか成功しないコンセプトだ。古くはバンデ・プラ・プリンセス、ルノー5バカラなどが「小さな高級車」を志向した。ダウンサイジングターボのおかげで、「排気量信仰」はだいぶ崩れたが、「ボディサイズ信仰」は強固だ。高級車=大きい、小さい=安いクルマという図式は変わらずにある。

 MAZDA2は、高級車では無論ない。上質なコンパクトカー、というのが目指すポジションだろう。予算が限られるから止むを得ず小さいクルマを選ぶのではなく、自分にあったサイズで上質なクルマを探している人には、なかなか気になるモデルに仕上がっている。



 弱点は? といえば、それはマツダ・コネクトだ。起動はお世辞にも速いとは言えないし、経路計算も遅い。また渋滞情報を入れて計算してくれないのか、到着予定時間が信用ならない。これはMAZDA3から入った、マツダ・コネクト2.0が搭載されるのを待つしかない。

トランクは深くて必要十分な大きさ(だと思う)

 MAZDA2、いいクルマだ。とはいえ、ライバルがいる。トヨタはヴィッツ改めヤリスに、ホンダもフィットをフルモデルチェンジする。新型モデルの価格が現行モデルと大差ないなら、MAZDA2の価格はライバルよりやや高めだ。しかも、デビューは5年前だ。



 そしてなによりMAZDA2の上級モデルとほぼ同じ価格で、MAZDA3の1.5ℓモデル(15Sが221万1369円)が買えてしまうので。これは悩ましい。MAZDA2の立ち位置は、なかなか難しいところにあるが、気になる人は一回試乗する価値はあり、である。

MAZDA 2 15S Lパッケージ

全長×全幅×全高:4065mm×1695mm×1525mm(シャークフィンがなければ1500mm)

ホイールベース:2570mm

車重:1070kg

サスペンション:Fマクファーソンストラット式Rトーションビーム式

駆動方式:FF

エンジン

形式:1.5ℓ直列4気筒DOHC

型式:SKYACTIV-G1.5 PE-VPS

排気量:1496cc

ボア×ストローク:74.5mm×85.8mm

圧縮比:12.0

最高出力:110ps(81kW)/6000pm

最大トルク:141Nm/4000rpm

燃料供給:筒内燃料直接噴射(DI)

燃料:無鉛レギュラー

燃料タンク:44ℓ

燃費:WLTCモード燃費 19.0km/ℓ

 市街地モード 15.2km/ℓ

 郊外モード 19.4km/ℓ

 高速道路モード 20.9km/ℓ

トランスミッション:6速AT

車両本体価格:209万円

試乗車はオプション込みで220万円

情報提供元:MotorFan
記事名:「 マツダ MAZDA2 1.5ℓガソリンモデルで400km走って燃費は? 乗り味は? 乗り心地は? MAZDA2を選ぶ理由は?