FCAジャパン(フィアット-クライスラー・オートモービルズ・ジャパン)のセールスが好調だという。そのなかでもジープブランドの勢いがいい。つまり、ジープ・ラングラーである。ジープ・ラングラーがヒットする理由を、GKNドライブラインのテストコースで試乗して考えてみた。

現行JL型は大ヒットモデル

FCAのオールラインアップ試乗会

 どうやら日本人は「ジープ」が好きらしい。9月30日にGKNドライブラインのプル—ビンググランドで開催されたFCAジャパンのフルライン試乗会の冒頭、FCJのポンタス・ヘグスロトム社長は、FCAジャパンの業績が好調であること。特にジープ・ブランドがそれを牽引してしること。そしてジープ・ラングラーは2019年9月単体で800台を超えるセールスを記録し、今年は年間で5000台を超える見込みだという。



 なんと、日本は北米以外でもっともジープ・ラングラーが売れるマーケットだというのだ。



 どうりで都内でもジープ・ラングラーをよく見かけるはずだ。

 

 個人的に、どうもジープに縁がなくて歴代、どのジープもちゃんと運転したことがなかった。かねてより興味があったので、今回は数ある試乗車のなかから特にジープ・ラングラーを選んでドライブさせてもらった。試乗コースが一般公道でないことは最初にお断りしておく。



 かねてより興味があった理由は、「おそらくほとんど荒れ地へ行かないのに、どうして都内にはこんなにジープラ・ラングラー(とメルセデス・ベンツGクラス)が多いのか?という疑問があったからだ。



 ご縁がなかったこともあって、ジープ・ラングラーについてはほとんど知識がなかった。なので、少し調べてみた。

 現行ジープ・ラングラーは2917年のLAショーで発表されたJL型だ。

ここ四半世紀というところで見てみると

2代目TJ型が1996-2006年

3代目JK型が2007ー2017年

現行4代目JL型が2018年ー

ということになる。



 北米でのセールスデータを調べてみた。

 現行JL型は北米でも大ヒットを記録している。2018年には24万台!も売れた。2019年も9月までで17.6万台が売れている。

 その北米の次のマーケットが日本(で5000台)というのは、いろんな意味で驚きだ。



 オフロードを走るクルマのことを「ジープ型」と言うように、ジープは日本人の心の奥底にしっかりポジションを築いている。だから売れ続ける。しかも現行のJL型は評判がいいときている。

ジープ・ラングラー アンリミテッド ルビコン

全長×全幅×全高:4870mm×1895mm×1850mm

ホイールベース:3010mm

車重:2050kg

サスペンション:F/Rリジッド/コイル

駆動方式:パートタイム4WD/オンデマンド4WD(選択式)

エンジン

形式:3.6ℓV型6気筒DOHC

型式:G

排気量:3604cc

ボア×ストローク:96.0×83.0mm

最高出力:284ps(209kW)/6400pm

最大トルク:347Nm/4100rpm

燃料:レギュラー

燃料タンク:81ℓ

燃費:JC08モード 9.0km/ℓ

トランスミッション:8速AT

車両本体価格:600万円

 とはいえ、ボディサイズが大きすぎるだろ?と思ってスペック表を見ると

全長×全幅×全高:4870mm×1895mm×1850mm

ホイールベース:3010mm

 とある。全高以外はとくにばかでかいというわけではない。筆者のガレージ(都内の狭小住宅)には高さの問題で入らないが、想像していたよりは大きくない。



 きっと燃費が恐ろしく悪いのだろうと思ってエンジンスペックを見ると

2.0ℓ直4ターボがJC08モード燃費で11.5km/ℓ

3.6ℓV6DOHCが同じく9.0km/ℓ

 と極悪な燃費でもない。訊くと、2.0ℓターボなら高速道路を淡々と走ると11.0km/ℓくらいはいくという。どちらも都内の市街地を走れば7-9km/ℓくらいだという。まぁ許容範囲(!)だ。



 トランミッションは、現在最高(と個人的に思っている)ZF製8速ATの8HPだ。

記憶が確かなら、ZFからライセンスを受けてクライスラーの工場で製造しているもののはずだ。

こんな岩場も楽々と走破できた

 というわけで、ほとんど初めてジープ・ラングラーのハンドルを握った。

 まずはインストラクターが荒れ地(車輪が1輪浮いてしまいそうな岩場)を走り,50%の勾配(約26.3度 スキー場のゲレンデを想像してほしい)を上り下りするところを見せてもらった。とてもじゃないが、あんな岩場走れないよ、と思った。



 で、ジープ・ラングラー アンリミテッド・ルビコンである。

 これが、すごい。4Lモードにして、さらに電子制御式フロントスウェイバーディスコネクトシステムをON。これは、4x4ローモード(4LO)で時速29km/h以下で走行中、スウェイバー(スタビライザー)を外すことができるシステムだそうだ。オフロード走行時、フロントスウェイバーのロッ クを解除することでサスペンションストロークが最大25%拡大できる、と説明された。ルビコンにだけ装備している機構で、この効果は絶大だった。

 初めてジープ・ラングラーに載った筆者でもまったく不安になることなく、岩場を乗り越え、絶壁を上り、降りることができた。

こういうシーンがものすごく似合う

水深35cmなどまったく問題としない

 草が生い茂り路面の悪い路面を走らせてもらったが、ジープ・ラングラーならなんの不安もない。

 高速道路を140km/hで走りたい(もちろん交通違反だが)とか、箱根のワインディンを気持ちよくスポーツ走行したい、というようなニーズには応えられないだろうが、それ以外はおそらく(多少燃費が悪い)オーナーになってしまえば、さして問題にならないのかもしれない。



 小回り性も先代JK型が最小回転半径7.1m(!)だったのが、現行型になって6.2mまで縮まった。燃費だって先代の5速ATの7.5km/ℓから9.0km/ℓに向上している。現行型の2.0ℓを選べば、11.5km/ℓにもなる。



 なんだか、いいところずくめじゃないか。

 そしてなにより、高いオフロードの走破性を持つライバル、メルセデス・ベンツGクラスに対して、圧倒的にプライタグが軽いことも人気の秘密だと思う。



 メルセデス・ベンツGクラスのもっともプライスタグの安いモデル、G350dが1192万円に対して、アンリミテッド・ルビコン(RUBICON)は600万円! 半分の値段が手に入るのだ!



 そりゃ、売れるわけだ。

 

 しかも、都市部に住んでいても、いつ自然災害に遭うかわからない時代になると、「いざというとき」走りきれる性能を秘めたクルマに目が向くのはある意味当然なのかもしれない。



 ゲリラ豪雨で都内のアンダーパスが浸水する。普通のクルマなら30cmの水位があったら渡りきれない。それをジープ・ラングラーなら、最大76.2cmまでいけるという。今回の試乗でも35cmの水位の水たまりを走行したが、もちろんまったく問題ない。



 ジープ・ラングラーを、もし自分が手に入れたとしても、おそらくこの比類なき走破性を発揮する機会は一度もないまま過ごすことになると思う。それでも、「いざというとき、どこへでもどこまでも行ける性能を持つクルマに乗っている」という実感がほしい、という人たちの気持ちも理解できる。



 幌を外して、青空を仰ぎながらのんびり走っても、きっとジープ・ラングラーは気持ちがいいだろう。



 短い試乗だったが、ジープ・ラングラーが売れている理由、欲しい気持ちが、ちょっとわかった。(自分にはまったく似合わないけど)ジープ・ラングラー、アリです。

こんな場所なら、ラングラーだ

ジープ・ラングラー アンリミテッドの渡河性能は、水深70cmでもいけるそうだ

情報提供元:MotorFan
記事名:「 ジープ・ラングラーが売れる理由がちょっとわかった 大ヒット中の現行JL型を選ぶ理由は、燃費か価格か