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平成バイク日記 ホンダ・ジョルカブ


スクーターの乗りやすさに加え、ギアチェンジによる操る楽しさと、乗る楽しさを兼ね備えた「ホンダ ジョルカブ」。女性に人気のスクーター「ジョルノ」をベースに、スーパーカブに採用の横型OHC単気筒49ccエンジンを搭載するという、これまでになかったユニークなモデルだ。ジョルノとカブ(2車)をコラボさせるという、これまでにない稀有なモデルを、細部まで隈なくチェックしてみよう。


REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)


PHOTO●月刊モトチャンプより

1999年(平成11年)発売 ホンダ ジョルカブ

ジョルカブ(モンツァレッド)

ジョルカブ(シャスタホワイト)

ジョルカブ(シャスタホワイト)

2001年には新色の「べガブラックメタリック」を追加。

スクーターの「ジョルノ」にカブ用エンジンを載せちゃった!クラッチ操作を省き、左足でギアシフトする「ジョルカブ」

スーパーカブと同じ、4速ロータリー式ギアチェンジを採用。走行中は4速からニュートラルにシフトチェンジしないけれど、停止中はつま先側のペダルを踏めば、ニュートラルに入る安心でスマートな方式。

 1999年(平成11年)発売の「ジョルカブ」は、オシャレなスタイリングで若い世代に好評の「ジョルノ」のボディをベースに、「スーパーカブ」のエンジンをリファインして搭載することで、ギア操作による楽しい走りを具現化した、これまでになかった新感覚のスクーター。




「ジョルカブ」とは、ファッショナブルスクーター「ジョルノ」の車体と、「スーパーカブ」のエンジンを組み合わせたことによって生まれた名前。


当時女性に人気だったジョルノのボディがベースで、ジョルカブも全般的に女性に支持されたモデルだったが……。一部ではやや事情が異なっていた。




  1999年(平成11年)当時は、モンキーやゴリラのカスタムが再ブレイクしていた頃。「ジョルノにカブ系の横型エンジンを積んだモデルが発売される!」と聞いた筆者を含むモンキーカスタマーたちは、「ジョルカブにカブ系の横型エンジンだとぉ~!!」「そこまでやるかー!」と、“ホンダのハチャメチャさ(良い意味で)”や、“ホンダの遊び心”に驚きを隠せなかった。




 また、「モンキー用エンジンパーツは使用できるの?」「ロングスイングアームは装着できる?」等々、ジョルカブの“カスタムベースとしての可能性”を、こと細かく探っていた。




 結果的にジョルカブは、モンキーやゴリラの人気に押され、カスタムベースとしての人気はイマイチだったが、ストリートでは「ギア付きのユニークなスクーター」として、若い女の子を中心に支持された。




 下記の各部詳細を読めば一目瞭然だが、ジョルカブは「ジョルノをベースに、“ちょこっと工夫して”カブのエンジンを載せましたよ~」というテキトーな仕事はしていない。




 カブ用エンジンを搭載するにあたり、スイングアーム周りを専用設計するなど、“ホンダならでは”の「そこまでやるかー!」という徹底したこだわりが盛り込まれている。スクーターでもなく、カブでもない、まさしくジョルカブ! という確固としたコンセプトの元に作り込まれているのがポイントだ。

 ジョルカブのボディのベースになった「ジョルノ」。写真は2ストエンジン搭載の最終モデルとなった1998年モデル。当時の発売価格は、ジョルカブと同じ18万9000円(税抜)。なお、ジョルノは1999年から4スト化された。

1分で分かる!ジョルカブのポイントをチェック

新設計のジョルカブ専用フレームにセットされた、カブ系の横型エンジン。

 エンジンは、ロングセラーモデル「スーパーカブ」の空冷4ストローク49ccを搭載。




 発売当時は、スクーターNo.1の低燃費110km/L (30km/h定地走行テスト値)を実現するとともに、キャブレターのセッティングなどを見直すことで、国内新排出ガス規制に適合。4ストロークならではの粘り強く、滑らかな出力特性と優れた静粛性を獲得している。

 スーパーカブにも採用の、クラッチ操作を必要としない自動遠心式4速リターンミッションの採用で、既存のオートマチック・スクーターでは得られない、自ら積極的に操る楽しさを実現。

 バネ下重量の軽減に寄与するこの方式は、路面からの衝撃をソフトに吸収し、軽快な走り味を実現するとともに、ジョルカブのデザインのアクセントになっているのがポイント。

・ハーフタイプのヘルメットが収納できるメットインスペース。


・低燃費とあいまって、長い航続距離が可能な4.2Lの燃料タンク。


・ニュートラルと4速状態を表示するポジショニングランプをメーターパネル上部に採用。

スーパーカブには採用されていない、ジョルカブのシート下スペース(メットイン)。
シート下にエアクリーナーボックスがあるため、メットインスペースは小さめだが、半キャップ&小物程度なら収納可能。


スピードメーターの左上にはニュートラル、右上にはトップギア(4速)を示すポジショニングランプを配置。
スピードメーター内には燃料計も採用。オドメーターにオイルの交換時期を知らせる着色数字を採用するなど、メンテナンス性にも配慮。


スーパーカブと同じく、ガソリン給油口はシート下に配置。
大容量サイレンサーを備えたブラックアウトされたマフラー。


ジョルカブの細部を徹底チェック!【エンジン編】

ジョルカブとスーパーカブ50のエンジン比較

 パワーユニットには、ロングセラーモデル「スーパーカブ」に搭載し、小型・軽量で高い信頼性と耐久性を発揮する、空冷4ストロークOHC2バルブ単気筒49ccエンジンを採用。


 ジョルカブも基本諸元を変更することなく、ピストン、リングの細部仕様を変更。また、キャブレターのセッティング、部品精度などを見直すことによって、特別な排出ガス浄化システムを付加することなく、国内の新排出ガス規制に適合させている。




 このエンジンの採用によって、スクーターとしては驚くほどの低燃費「110km/リッター(30km/h 定地走行テスト値)」を達成するとともに、4ストロークならではの粘り強くて滑らかな出力特性と、静粛性を実現している。




 このジョルカブのエンジンには、ブローバイガス(未燃焼ガス)の還元方式にシールド式を採用。クランクケースからエアクリーナーに戻し、再燃焼させているのが特徴である。


 エンジンの冷却は、レッグシールドの前方からエアを導入し、フロアーパネルのトンネル部を通過して、空冷エンジンのシリンダーヘッドを冷却する方式としている。


 エンジン始動方式は、キック式とセルフスターター式の併用。セルフスターター式のスターターモーターは、セル付きのスーパーカブ(エンジンの上方に設置)とは異なり、エンジンの下部前方にレイアウト。これによって生み出されたスペースに、適切なエアクリーナーの配置とラゲッジボックスのメットインスペースを確保済み。

 ジョルカブは、エンジンの上部にセルモーターが出っ張っているセル付きスーパーカブとは異なり、セルモーターをエンジン下部に設置。つまり、スーパーカブ、また、モンキーとはクランクケースが異なるのが特徴だ。




 ただし、シリンダーヘッドやシリンダーなどの「腰上」は共通。カウルとのクリアランスも十分なので、社外のモンキー用ボアアップキットを使ってチューニングすることも可能。

ジョルカブの細部を徹底チェック!【ギアチェンジ編】

 チェンジペダルは、エンジンケース左側のスターターモーターホールドケースから、ピボットをホルダーを介して取り付ける構造。エンジン側に組み付けることによって、変速時のダイレクト感が得られ、チェンジフィーリングを向上させている。




 チェンジパターンは、スーパーカブと同様の4速リターン式とし、停車時のみロータリー式となるチェンジ機構としている。

ジョルカブの細部を徹底チェック!【車体&フレーム編】

 車体構成は、基本骨格をジョルノから踏襲。フレームは、サイドフレームにΦ34×t2.0のハイテンション鋼管を採用したアンダーボーンピボットレスフレームを採用。具体的には、“カブのエンジンでスクーター並の振動レベル”を求め、高剛性としなやかな乗り心地の両立を図っている。




 ジョルカブのために新開発された「平行リンクエンジンマウント」は、φ28mmの管ブッシュを8箇所に採用。スーパーカブのエンジンの振動特性に合わせ、狭いスペースの中でエンジン振動を吸収する構造としている。

 エンジンとスイングアームは、ピボットプレートを介しボルトで連結し、2本サスペンションによって支えている。これによって、ユニットスイングを採用したモデルと比較して、バネ下重量の軽減を実現。フレームの幅は、スーパーカブのエンジンケース外側を通すため、ベースモデルのジョルノより80mm以上の幅広に設定。また、ステップフロア足置き部の真下を通し、フロアの剛性感の向上と振動の軽減を図っているのが特徴だ。

 ホイールベースは、ジョルノと同サイズとし、ライディングポジションも同等に設計。ジョルノはエンジンの変更に伴い、ラゲッジボックス前側下部に新設計の1.4リットル大容量エアクリーナーボックスを配置し、吸気音の低減を図るとともに、出力特性の最適化実施。




 排気系は、シャリーのマフラーの外板と内部構造を一部流用して採用。出力特性の最適化と、排気騒音の低減を図っているのがポイントだ。



ジョルカブの細部を徹底チェック!【足周り編】

 ジョルカブでは、スクーターとして初めて、モーターサイクルの一般的な仕様であるスイングアーム式リアサスペンションを採用し、高い揺動性と軽量なバネ下重量によってソフトな乗り心地性を実現。スイングアームには2本のクッションユニットを装着し、静粛性の高いエンジンにマッチした高質な走りを獲得している。




 リヤの足周りには、アルミダイキャスト製のハブと鋼板製のリムを組み合わせたコムキャストホイールを採用。また、ハブにホイールダンパーを装備することによって、ソフトな加減速のフィーリングを実現している。

 駆動系には、チェーンドライブ方式をスクーターとして初めて採用。自動遠心クラッチ4速リターン変速機とあいまって、エンジンのトルクを確実にリアホイールに伝達している。




 フロントには路面の衝撃をソフトに吸収し、高い乗り心地性を発揮する「トレーリングリンク式サスペンション」を採用。前後とも、ストリートでの扱いやすさをトコトン吟味した足周りに仕上げている。

ジョルカブの細部を徹底チェック!【スタイリング編】

 デザインは、人気のジョルノスタイルを継承。また、スーパーカブのパワーユニットを強調するために、フロアートンネル部分にシースルー感覚のメッシュを採用。




 チェーンドライブ、2本サスペンション、スイングアームなどをスクーターのボディカバーで覆うことで、新しい感覚を演出している。

●1999年の主なヒット曲


・A・RA・SHI/嵐


・First Love/宇多田 ヒカル


・フラワー/KinKi Kids


・Winter again/GLAY


・本能/椎名 林檎


・あの紙ヒコーキくもり空わって/19


・だんご3兄弟/速水 けんたろう、茂森 あゆみ


・LOVEマシーン/モーニング娘。




●1999年の主な出来事


・コギャル文化が変質し、ヤマンバと呼ばれるファッションが出現


・全日本プロレス社長のジャイアント馬場が死去


・西武の大物ルーキー・松坂大輔投手が日本ハム戦でプロ初登板を果たしプロ初勝利


・神奈川県横浜市のよこはま動物園ズーラシアが開園


・槇原敬之を覚せい剤取締法違反で逮捕


・桶川ストーカー殺人事件発生
■主要諸元


通称名:ジョルカブ


車名・型式:ホンダ BA-AF53


全長×全幅×全高(m):1.660×0.630×1.015


軸距(m):1.180


最低地上高(m):0.110


シート高(m):0.720


車両重量(kg):79


乾燥重量(kg):75


乗車定員(人):1


最小回転半径(m):1.8


エンジン型式:AF53E(空冷・4ストロークOHC・単気筒)


総排気量(cm 3 ):49


内径×行程(mm):39.0×41.4


圧縮比:10.0


最高出力(PS/rpm):3.9/7,000


最大トルク(kgm/rpm):0.41/5,500


燃料消費率(km/L):110.0(30km/h定地走行テスト値)


キャブレター型式:PB3H


始動方式:キック式、セルフ式併設


点火方式:CDI式マグネット点火


潤滑方式:圧送飛沫併用式


燃料タンク容量(L):4.2


クラッチ形式:湿式多板コイル・スプリング


変速機形式:常時噛合式4段リターン


変速比:


 1速 3.181


 2速 1.705


 3速 1.238


 4速 0.958


減速比(1次/2次):4.058/2.357


キャスター(度)/トレール(mm):26°30′/67


タイヤサイズ:


 前 80/100-10 46J


 後 80/100-10 46J


ブレーキ形式:


 前 機械式リーディングトレーリング


 後 機械式リーディングトレーリング


懸架方式:


 前 ボトム・リンク式


 後 スイング・アーム式


フレーム形式:アンダボーン


価格(当時):18万9000円(税抜)
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