NISSAN INTELLIGENT MOBILITYを具現化する先端機能であるプロパイロット2.0や、コネクティッドサービスの搭載が注目される新型スカイライン。

先進装備だけでなく新型V6エンジンや電子制御サスを搭載するほか、ステアバイワイヤシステムのブラッシュアップなど、スポーツセダンとしての走りの質を高めるための最新技術も数多く投入されている。



REPORT●安藤 眞(AMDO Makoto)

図版解説●安藤 眞/編集部

キャラクターを反映するディメンション

全長:4810㎜ ホイールベース:2850㎜

全幅:1820㎜ フロントトレッド:1530〜1540㎜
全高:1440㎜ リヤトレッド:1570㎜


ボディ骨格には変更がないが、デザイン変更の影響で全長が20㎜延長されている。国産ライバルのクラウンとの比較ではホイールベースが70㎜短く、輸入車ライバルのBMW3シリーズと同寸というところからもキャラクターが推察できる。

運転のしやすさを高める良好な視界

FR車らしくAピラーが後方に引いてあるため、フロントガラスからの見開き角が広く、視界は良い。ある程度の身長があれば、運転姿勢のままボンネットが3分の2程度まで見渡せるので、車両感覚の把握は容易だ。

大柄な乗員でも余裕を感じる後席

後席の膝元空間は、トヨタ・クラウンと比べるとほぼホイールベースの差分だけ狭いが、180㎝級が前後に快適に座れるだけの空間はある。シートバックも十分な高さがあり、大柄な筆者でも快適だ。

ハイブリッド車を含め十分な広さを確保

トランクリッドのヒンジはパンタグラフ方式。内側に張り出さない一方、開口幅が制約されるという得失がある。写真はハイブリッド車なので、トランクスルーはできない。車格を考えると、イージークローザーは欲しかった。

ホットスタンプ材のほか1.2GPa級をはじめとした高張力鋼板を適所に配置



V37型がデビューした際に話題となったのが、世界で初めてボディ骨格に採用された冷間成形1.2GPa級超高張力鋼板。深い絞り形状にも割れずに対応できるよう、熱処理の工夫で素材の延性を向上させた。

ボディ後部の剛性アップ

キャビンとトランクルームの間に隔壁はなく、トランクスルーのための空間を確保。リヤサスまわりの剛性を向上させるため、外周部の骨格には閉断面がぐるりと回されている。

フロントまわりを効率的に強化

ラジエターコアサポートまわりが強化されているのが特徴的。ボディ剛性には寄与しそうもない部分に見えるが、前後端部は変位量が大きいため、この部分を強化する効果は大きい。

ふたつの仕様を持つV6ツインターボエンジン

新たにラインナップに加わったVR30DDTTエンジン。VQ系と同じいわき工場で生産されるため、ボアピッチはVQ系と共通だが、まったく別のエンジンだ。過給圧違いで、最高出力304㎰と405㎰の2仕様が用意される。

エンジン型式:VR30DDTT

排気量(㏄):2997

種類・気筒数:V型6気筒

弁機構:DOHC24バルブ

ボア×ストローク(㎜):86.0×86.0

圧縮比:10.3

最高出力(kW[㎰]/rpm):224[304]/6400 298[405]/6400

最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):400[40.8]/1600-5200 475[48. 4]/1600-5200

使用燃料:プレミアム

WLTCモード燃費(㎞/ℓ):10.0
新たにラインナップに加わったVR30DDTTエンジン。VQ系と同じいわき工場で生産されるため、ボアピッチはVQ系と共通だが、まったく別のエンジンだ。過給圧違いで、最高出力304㎰と405㎰の2仕様が用意される。

高性能を実現するキーテクノロジーの数々

VR30DDTTに採用された新技術の数々。各項目に寄与率の高いものが、青字で示されている。水冷式インタークーラーは国内向け日産車初。ミラーボアコーティングやエキマニ一体式ヘッドは国内向けV6エンジン初だ。

フリクション低減で燃費性能をアップ

フリクション低減対策によって、常用域の機械抵抗損失を約30%低減。可変容量オイルポンプ(VDOP)によって、オイルポンプの駆動損失は半分になっている。

電動VTCを採用

吸気側の可変バルブタイミング機構(日産名VTC)には、電動式を採用。油圧式より応答性が高く、エンジン始動時から使用 できるのがメリットだ。これを駆使して、掃気や遅閉じミラーサイクル運転を行なう。

シャープなスロットルレスポンスと卓越した加速性能

VR30DDTTが課題としたのが、加速レ スポンスの向上。発進加速時の応答性は、自然吸気のVQ37VHR型とほとんど変わらない。過給効果によって高トルクが持続するため、加速タイムはむしろ速くなっている。

400Rのターボチューニング



400Rグレードのターボチャージャー。黒い配線が付いているものが、コンプレッサーの回転数をダイレクトに読み取るセンサーだ。その上に見えているのが、電動ウェイストゲートバルブのアクチュエーター。

ターボラグの抑制と安定した冷却性

水冷式のインタークーラーが各バンクに配置される。吸気経路の容積が小さくなるため、過給の応答が良くなり、走行風による影響が小さくなるため、登坂など低速高負荷走行でも安定した冷却性能が得られるのがメリットだ。

ハイブリッドはVQ35をキャリーオーバー

ハイブリッドシステムは、VQ35HRエンジンと、トランスミッションのベルハウジングに内蔵されたモーターを組み合わせた「1モーター2クラッチ」システムだ。バッテリーはトランクルームのキャビン寄りに搭載される。

エンジン型式:VQ35HR

排気量(㏄):3498

種類・気筒数:V型6気筒

弁機構:DOHC24バルブ

ボア×ストローク(㎜):95.5×81.4

圧縮比:10.6

最高出力(kW[ps]/rpm):225[306]/6800

最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):350[35.7]/5000

使用燃料:プレミアム

モーター最高出力(kW[ps]):50[68]

モータ最大トルク(N・m[㎏m]):290[29.6]

JC08モード燃費(㎞/ℓ):14.4[2WD]/13.6[4WD]

低排ガス性能と軽量、静粛性の向上



今やトレンドとなりつつあるエキマニ一体式ヘッド。排気経路が短くなるため、ターボの応答性が高まるほか、触媒暖機も早まって排ガス性能も良くなる。高負荷時には排ガスを冷やせるため、燃料冷却も最小限で済む。

耐ノック性とフリクション化。軽量化に貢献

シリンダーの内面は、平滑な中に深い油溝があるのが理想的。ミラーボアコーティングの採用によって、ボア全体に気孔と呼ばれる小さな穴が分散して形成。クロスハッチの代わりに潤滑油を確保しつつ、ボア表面粗さ低減の両立が可能になった。従来のプラズマ溶射と比べても、フリクションは21%低い。

インテリジェント高速道路ルート走行を実現したProPILOT2.0

360度センシングや3D高精度地図データを活用する「プロパイロット2.0」は、高速道路の複数車線をナビゲーションシステムと連動して走行し、同一車線内でハンズオフ走行が可能となる。車線変更の際も軽く手を添えているだけでOK。

いざという時に支援を行なう緊急停止SOSコール

インパネ上部の赤外線カメラが、ドライバーが前方を注視していないと判断すると警報した上で、ドライバーが反応しない場合にシステムが作動。ハザードランプを点灯し、車両が減速〜停止し、自動的に緊急通報センターに接続する。

各種のカメラとセンサーで360度センシング



プロパイロット2.0に使用されるセンサーは、全部で24個。3つのカメラ(トライカム)と5台のレーダーをメインに使用し、超音波センサーとAVM(アラウンドビューモニター)のカメラを補完的に使用する。

3D高精度地図データ



高精度3D地図データには、路面の勾配やカント(左右方向の傾き)、白線の位置などのデータも記録されており、数㎝の精度で走行位置が特定できる。カメラでは捉えきれない遠方の情報を持つことで、曲率や勾配を先読みした滑らかな制御が可能になった。

デザインの魅力と視認性を両立

ディスプレイのグラフィック表現にもリサーチやユーザーテストが繰り返され、直感的に、瞬時に情報を伝えつつ、魅力的な表現のデザインとされている。また、そのコンセプトに基づきHUDとメーターは、それぞれの特性に合わせたデザインが使い分けられている。

自由曲面ミラーで省スペース化

LCD(液晶ディスプレイ)の画像は、ミラーで2回反射させて拡大してからウインドスクリーンに投影される。LCD上の映像をそのまま投影すると虚像に歪みが生じてしまう。そのため、歪をキャンセルするように設計された高精度な曲面形状を有するミラーで虚像を投影することで、高画質を実現している。

日産国内初の7インチディスプレイ

従来採用されていた5インチディスプレイからアクティブエリアが大幅に拡大されたことで、プロパイロット2.0の機能に対応した複数車線の表示を実現。的確に周囲の状況を捉えていることをドライバーに伝え、安心感を提供する。

薄型映写部の採用で搭載性を向上

もともと予定のなかったインスツルメントパネルにHUDを搭載するため、光源を横に配置したサイドエッジ方式を新開発。特殊な表面形状をもたせた導光板に横からLED光を入射させ、導光板内部の反射・屈折により光をLCDへ立ち上げる方式により薄型化を実施している。

直接視界と表示の一致

メーターパネル中央の7インチ液晶ディスプレイには、ヘッドアップディスプレイより詳しい情報が表示される。これによってシステムの稼働状態をドライバーに詳しく伝え、安心感を持ってもらうのが目的だ。プロパイロット2.0は、複数の車線のほか、車両の種類も3種類(二輪車・乗用車・大型車両)を識別しており、それぞれに応じたモデルがディスプレイに表示される。グラフィックは実際の視界との乖離が少なくなるよう、透視図法によって遠近感が把握できるように配慮されている。

表示色の変更でハンズオフの可否を伝える

ハンズオフ走行の可否は、表示色と手のマークの有無で識別できるようになっている。「色のシミュレーター」というアプリを使用すると、色弱の人でも見分けられる色調であることがわかる(青色付近の識別が困難なT型は手のマークで識別が必要)。

ダイレクトアダプティブステアリング

V37型に最初から搭載されているダイレクトアダプティブステアリング(DAS)。いわゆる「ステアバイワイヤ」で、 失陥した場合に備えてステアリングシャフトは付いているが、 通常時はステアリングホイールとラックギヤが機械的に連 結しておらず、ステアリングホイールの回転角を元にモー ターがラックギヤを動かし、タイヤの切れ角を制御している。

状況に応じて減衰力を連続的に可変

「400R」に標準装備されるインテリジェント・ダイナミック・サスペンション(IDS)。減衰力を100 分の1秒単位でリアルタイム制御する。可変幅は非常に広く、操縦安定性と乗り心地を両立させることができる。

操舵角とタイヤ角を独立制御

機械的につながっている従来型システムでは、タイヤ角の動きと操舵力は相互に影響しあってしまうが、DASならばタイヤ角の動きと操舵力を独立して制御できる。例えば、操舵時の車両応答の遅れを補うようタイヤを動かしつつ、その影響による操舵力の変動を抑えることが可能。

DAとIDSを連動

DASの操舵情報をIDSにも送ることで、高応答なフィードフォワード制御も行なう。操舵時にロールレートを予測して減衰力を高めることができるため、必要な減衰力を遅れなく発生させることができる。

DASの意のままハンドリング

機械式に接続されているステアリング系では、ジョイントやギヤのガタ、シャフトの弾性などで遅れが生じる。DASなら操舵に対する応答遅れを適切に制御ができるため、ドライバーが意図したラインを忠実にトレースできる。

減衰力を緻密に制御し車体の挙動を安定

IDSは操安性だけでなく、乗り心地の向上にも大きく寄与。車輪の上下動から車体挙動、ばね下振動を推測して減衰力を制御するため、フラットな乗り心地が実現できる。

車輪速センサーをストロークセンサーとして利用



IDSがユニークなのは、車体姿勢制御に加速度センサーではなく車輪速の回転変動を利用しているところ。前後サスはアンチダイブやアンチスクォート特性を持たせるため、車体に対してわずかに前後しながらストロークする。加えて車輪速センサーはホイールに対してワインドアップ角変化を生じ、このふたつが車輪速の回転変動となって現れる。車速検知の面からは「ノイズ」と思われていたが、車輪速変動速度とストローク速度が比例関係にあることに気付いた瞬間、ノイズが「有用なデータ」となった。

多目的にクルマとつながる「Nissan Connectサービス」

スカイラインに搭載された「NissanConnectサービス」はナビの地図データの自動更新やSOSコール、ドライブ制限アラートなどの新機能を追加。ナビシステムとスマホアプリの連携を強化した次世代システムと言える。

自室〜目的地をシームレス案内

「ドアtoドアナビ」は、乗車前に目的地や経路を検索した情報をスマホからカーナビに送信することで乗車後にすぐ出発できるほか、車を降りた場所から最終目的地までスマホがシームレスに道案内をしてくれる。

docomo in Car Connect

NTTドコモの有料オプション契約をすることで、車内で容量無制限のWi-Fiが利用可能。長時間の移動中などに、ストリーミング音楽や映画なども楽しめる。利用料金は1日、1ヵ月、1年と利用シーンに応じて選択することができる。

OTA自動地図更新

車両に搭載された通信機により、自車位置があるエリアの最新地図データを自動で検出、その場で更新できる。これによりデータ更新のためにディーラーへ出向くことなく、手軽にアップデートが可能となる。

どんな場面でも見やすい高画質・高精度ディスプレイ

ディスプレイは解像度が2.5倍になっているのに加え、コントラストも1.8倍に向上。パネル表面には、光の干渉を利用して反射率を抑えるARコーティングが施されているのに加え、日差しが当たりやすい上段のディスプレイには液晶とタッチパネルの間に樹脂を充填することで乱反射を抑えて明るい環境での見やすさを向上させている。

ドライブ制限アラート機能

家族が運転しているクルマの「エリア」「時刻」「上限スピード」をアプリで設定することができ、それらを超えた場合にスマホに通知を行なってくれる。免許取りたてや高齢の家族の運転時に状況を確認することができる。

情報提供元:MotorFan
記事名:「 新世代への嚆矢となる新技術