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SKYACTIV-Xか可変圧縮比か。シリーズハイブリッド専用の高効率エンジン実現に向けて 畑村耕一「2019年パワートレーン開発への提言」⑥


マツダでミラーサイクル・エンジン開発を主導したエンジン博士の畑村耕一博士(エンジンコンサルタント、畑村エンジン開発事務所主宰)が、2019年のスタートにあたり、「2018年パワートレーン重大ニュース」を寄稿してくださった。昨年年頭にも、「2017年のパワートレーン重大ニュース」を掲載したが、再びパワートレーンの現在と未来について、プロの見方を聞いてみよう。7回シリーズの第6回をお届けする。テーマはシリーズハイブリッド専用の高効率エンジンだ。




TEXT◎畑村耕一(HATAMURA Koichi)

シリーズハイブリッド専用の高効率エンジン実現に向けて

 ますます厳しくなる燃費規制に対してエンジンの熱効率を向上させる技術が、世界中の自動車関連企業で実用化または開発されている。そのなかで特に注目されているのが、今年デビューする予定のSKYACTIV-Xだ。世界初のHCCIエンジンとなるわけだが、技術の詳細については「2017年パワートレーンの重大ニュース③」で紹介しているので参照されたい。


『SKYACTIV-X(スカイアクティブX) どうしてマツダだけがHCCIを実用化できるようになったか』畑村耕一「2017年パワートレーンの重大ニュース」③ 

 筆者もHCCIエンジンの研究開発を6年間にわたり千葉大学とH社と共同で実施した。最終的に目標を達成したが、実用化開発には進めなかった。研究開始当初はマイルドハイブリッドを想定して部分負荷燃費の向上を目指したが、6年後の研究開発終了時には、H社がストロングハイブリッドを量産開始して、部分負荷燃費より最高熱効率点が重視されるようになったのが一つの原因である。HCCIは高負荷運転ができないので、最高効率点の熱効率はミラー(アトキンソン)サイクルと同じレベルにとどまって、部分負荷の熱効率の良さはストロングハイブリッドには生かされないのだ。当然シリーズハイブリッドに使っても苦労の割に効果は期待できない。




 排ガス規制のWLTC、RDEの採用にともなって、従来の低負荷ではなく高負荷の排気ガスと燃費の向上が求められる。そのため、ガソリンエンジンではSKYACTIV-Gが始めた容積比(幾何学的圧縮比)の増加が重要になってくる。容積比増加はノッキングとの戦いであり、ミラーサイクルの採用が増加している。アウディ・VWはミラーサイクルのトルク低下の短所を補うためにライトサイジング(行き過ぎたダウンサイジングを是正するアップサイジング)を導入している。大きな全開トルクを求めないシリーズハイブリッド専用エンジンにはミラーサイクルが最適だ。



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