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「下町ロケット」に登場する無人農業ロボットとは──自動運転を実用化したクボタ「アグリロボトラクタ」の技術とその未来を探る


「下町ロケット・ヤタガラス」に登場する無人農業ロボット。学内でひとを検知して自動停止したり、あらかじめ入力したプログラムに沿って農耕作業をこなしたり、高精度でルートをトレースしたり……その技術に驚かれた方も多いだろう。クルマの自動運転・自律走行は実用化に向かっている段階だが、実は農業機械の分野では、すでに自動運転機能を搭載したモデルが市販されている。ここではクルマ業界では知られていない自動運転農機と、その技術についてご紹介しよう。


TEXT:川島礼二郎(KAWASHIMA Reijiro) 写真提供:株式会社クボタ

 すでに自動運転機能を搭載した乗り物が日本で市販されている。それが日本最大の農業機械メーカー"クボタ"が2017年6月から試験販売を開始した「アグリロボトラクタ」である。




 ご存知の通り、日本農業は就農人口の減少と就農者の高齢化、さらには農業のグローバル化の影響を受けて、未曾有の危機に晒されている。一方で農地の集約化による大規模化が進んでおり、短時間で農作業を効率良く、かつ正確にできる農業機械が求められている。そこで"クボタ"は2016年、田植え作業において直進時の自動操舵走行が可能なGPS農機を発売していた。


 ここでご紹介する「アグリロボトラクタ」は、そのGPS農機より更に高度化した自社開発のRTK-GPSユニット(IMU一体型)やオートステアリング、安全装置を搭載して、農作業の高効率化や高精度化、省人化、さらには軽労化を図り、日本農業の活性化を目指すものである。




「アグリロボトラクタ」最大の特徴は、無人機1台による自動運転作業が可能であること。付属のリモコンからの遠隔指示により作業開始、停止の操作が可能。圃場周辺から作業者が監視しながら、トラクタに乗らぬ状態で作業できる。GPSが高度化されたことで、高精度な作業が可能となった。


 作業者1人で無人機と有人機を使用した2台協調運転作業も可能。前方の無人機を後方の有人機に乗車した作業者が監視しながら自動運転作業を行うことで、2台協調作業ができる。また、直進時のハンドル操作が不要な自動操舵機能を装備しているので、あぜ塗りや肥料散布などで高精度な直進作業が可能である。




 農業機械が走行するのは基本的には私有地内であるが、もちろん安全面での配慮は欠かせない。そこで多様な安全装置を装備している。レーザースキャナ、超音波ソナーを装備し、圃場への侵入者や障害物に近づくと自動で停止する。また「アグリロボトラクタ」がリモコン、RTK-GPS基地局から一定以上離れたり、設定された作業経路を大きくはずれると自動で停止する。さらに4台のカメラを搭載し、有人機に装備されている監視モニターまたはタブレット端末(別売)でトラクタ周囲を監視し、常時安全確認が可能とされている。




 続いて、自動運転と関連する主な装備を紹介しよう。

GPSユニット(移動局):GPS受信機、基地局と通信する無線機、トラクタの姿勢を計測するIMU(慣性計測装置)の3つが一体となったオールワンユニット。

GPSユニット(基地局):RTK(Real Time Kinematic)測位によるGPSの補正情報を基地局からトラクタ側の移動局に送信することで、精度の高い、数センチ単位の作業が可能とする。

 遠隔操作が可能なリモコンで監視者からの遠隔指示で自動走行の開始、一旦停止、停止が可能。タッチ操作が可能な7インチのターミナルモニタを備え、自動走行に必要な各種設定(ほ場のマッピングや経路選択、車速やエンジン回転数など)をモニタ1台で設定できる。




 続いて、安全装備の一部をご紹介しよう。





レーザースキャナ

超音波ソナー

 レーザースキャナと超音波ソナーを無人機の各所に装備し、レーザーや超音波により、物体との距離を計測。無人機の周囲で人や障害物を検知した場合、自動走行を停止する。





 周囲確認カメラ:無人機のキャビン上部に4個のカメラを装備。前方および後方の映像、4つのカメラで生成した俯瞰映像を有人機の監視モニタまたはタブレット端末(別売)に送信する。




「アグリロボトラクタ」は試験販売の段階であり、実際に購入した農家の声を今後の開発に活かしていく。また2018年12月からは、作業者が乗車して稲と麦の収穫作業の自動運転が可能な「アグリロボコンバイン」の発売を予定している。


 クボタの自動運転技術に今後も注目して行きたい。

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