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マジックナンバーは「2375」最高効率回転数は2375rpm!セレナe-POWERのエンジン回転数を探る


予想外(!)の大ヒットとなったノートe-POWERに続く日産のシリーズハイブリッド第二弾、それがセレナe-POWERだ。ノートより約500kgも重い7名乗りミニバンを、基本構成が同じ1.2ℓエンジン+モーターのe-POWERユニットがちゃんと走らせられるのだろうか?


e-POWER開発陣にセレナe-POWERへの適用を訊く

モーター駆動が気持ちいいセレナe-POWERは、弱点「静と動のギャップ」をどう克服したか?セレナe-POWERの「ワンペダル」は、ノートe-POWERを越えた!!【ミニバン専用e-POWER 体験試乗】

ノートe-POWERより約500kgも重くなったセレナe-POWER。エンジン、モーターともに出力を上げ、バッテリー容量も増やしたとはいえ、1.2ℓエンジン+モーターというe-POWERの基本は変わらない。これで、ちゃんと走るのだろうか?とやや懐疑的な想いで試乗した。サーキットという限られた環境の下で2名乗車でドライブしたが、力不足は感じなかった。

日産がe-POWERと名付けたシリーズハイブリッドのノートe-POWERは、想像を超える大ヒットとなった。燃費の良さ、アクセルペダルだけで操作できるワンペダル操作も魅力だが、やはり「モーター駆動の気持ちよい走り」が「電欠の不安・充電の面倒なしに」味わえるのがうけたのだと思う。




日産が次にe-POWERを載せたのは、主力ミニバンのセレナだった。コンパクトカーのノートの車重は約1.1トン、セレナは500kgほど重い約1.6トンだ。最初に「セレナにe-POWERが載る」と聞いたとき、エンジンはなんだろう?




モーターは新開発か? と想像したが、登場したセレナe-POWERのパワーユニットは、ノートe-POWERと同じ。1.2ℓ直3エンジン+モーター。これで7人乗りのミニバンをちゃんと走らせることができるのか? 




正確に言えば、ノートe-POWERとセレナe-POWERでは、エンジン出力が7%アップ(58kW→62kW)、バッテリー容量20%アップ(1.5kWh→1.8kWh)、モーター出力25%向上(80kW/254Nm→100kW/320Nm)している。とはいえ、やっぱり同じ型式のエンジンとモーターだ。これでいいのか?


質問に答えてくれたのは、坂田敏男さん(ePower燃費・動力性能担当・主担)だ。

ノートe-POWERのパワーユニット。HR12DE型1.2ℓ直列3気筒DOHCエンジンにEM57モーター。基本はセレナe-POWERも変わらない。セレナe-POWERでは排圧の低減などでエンジンの出力を上げている。

セレナe-POWERのエンジンルーム。もっと排気量の大きなエンジンと高出力のモーター&インバーターを載せたらと外野が言うのは簡単だが、こうして見るとやはりスペースは限られている。

─セレナに積むのだから、もっと大きなエンジンとモーターかと思っていました。


坂田さん:ひとつの理由はやはりなるべく安く提供したい。ノートe-POWERのユニットを使えばそれができる、と。そこが出発点です。コストと燃費、レイアウトを考えて1.2ℓでいくのがよかろう、という結論になりました。




─もっと排気量の大きなエンジンとなるとスペース的にも難しい、と?


坂田さん:4気筒になればそのぶんエンジン長が増します。そして4気筒分のフリクションがでてしまいます。当然計算もしましたが、最後は実走で決めました。




─ノートe-POWERを開発したときに、「次はセレナをやろう」という話が最初からあったのですか? それでノートは最初から1.2ℓエンジンを選んだのですか?


坂田さん:日産にはエクストレイルが搭載する1モーター2クラッチのパラレル・ハイブリッドがあります。サイズ的にはその方が自然ですが……。


─想像以上にe-POWERが受け入れられたから?


坂田さん:そうです。流れが変わりましたね。1モーター2クラッチか、e-POWERか。両方検討したうえで最終的な判断がe-POWERでした。

ノートe-POWERのエンジン回転数  e-POWERの発電用エンジンは高効率の回転数で回す。どうやら「2375rpm」というのがマジックナンバーのようだ。ノートe-POWERは基本的にこの回転数でエンジンは作動したが、セレナe-POWERではもう少し下の回転数を多用するという。

─ノートe-POWERの開発のかたに、エンジンは一番効率の良いところで運転させて発電する。ただし、ドライバーのアクセル操作や負荷で回転数は変わります、と聞きました。セレナはノートより重いのですから、負荷は高いですよね? ということはノートe-POWERより定常で回す回転数は高くなっているのですか?


坂田さん:いえ、通常の走行中の回転数では、逆に下がっている領域があります。ノートでかなり勉強をしまして、低速でエンジンがかかったときのNVが気になるという声があったので、セレナではエンジン回転数を下げています。


─何回転くらいですか?


坂田さん:2375rpmから2000rpmへ下げてます。トータルの発電量が少ないだろうと思われますが、そのぶんは時間軸を延ばすことで補っています。セレナはノートより静粛性への要求が高いですからね。


─高速走行ではやはり回転数が上がる?


坂田さん:基本は2375rpmです。ここがもっとも効率が良いところなので。


─e-POWER って、いまはひとつしかないですよね? このシステムはもっと大きなサイズのクルマにも使えるのでしょうか?


坂田さん:大中小のe-POWERユニットを作っていけば、どのクルマにも使えますよ。

ノートe-POWERと新型リーフ、そしてセレナe-POWERが使う駆動用モーターの型式はEM57型だ。ノートの254Nm/80kWに対して、セレナとリーフは25%アップの320Nm/100kWとなる。

現在は、1.2ℓ直3エンジン+EM57モーターの組み合わせしかないe-POWERのパワーユニットだが、ノート、セレナの2モデルが市場に受け入れられることを確認した日産が、より大きなエンジンとモーターインバーターを組み合わせるe-POWERのパワーユニットを開発するかもしれない(すでにしているのかも)。




ただ、シリーズハイブリッドの弱点として、高速の連続走行がある。ノートe-POWERがデビューした際も、「高速道路を延々と高速巡航するケースでは、エンジン出力をそのままアクスル〜タイヤに伝えた方が効率がいいです」と開発陣から説明を受けた。その基本特性はセレナe-POWERでも変わっていない。




街乗り、郊外路がメインなら、e-POWERの恩恵を受けられるが、普段は高速道路を長く走るケースが多いユーザーは、価格差を考えるとe-POWERでなくコンベのパワーユニットを選んだ方がいいだろう。

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