starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

ノキアンタイヤHAKKAPELIITTA R2 series:北欧発のウィンタータイヤが日本に上陸


雪国で開発された冬用タイヤ。いかにも氷雪路に万能な印象を受ける。しかし極寒のかの地では雪質も路面状況も日本とは異なるはず。遠い遠いフィンランドで考案されたウィンタータイヤは、果たして高温多湿の日本の雪質に合っているのだろうか。


PHOTO:市 健治(Kenji ICHI)

Nokian Tyres(ノキアンタイヤ)は、フィンランド・ノキア町を拠点とする、世界最北に位置するタイヤメーカーだ。1898年に創業、1932年に自動車用タイヤの製造を開始し、その2年後の1934年に世界初のウィンタータイヤを発表している。




そのノキアンタイヤがウィンタータイヤにおいて2017年シーズンより日本市場へ上陸するに先立ち、試乗会が催された。北欧で鍛えられたウィンタータイヤと聞けばさぞや雪道に強いのだろうと想像するが、冷静に考えてみるとかの地の雪質は極低温下のパウダー状で、日本の多湿で重い雪とはまったく異なるイメージ。当然タイヤに求められる性能も違うはずで、果たしてノキアンタイヤの製品が日本の走行シーンに合うのかがもっぱらの興味である。




当日は、同社の新製品・ハッカペリッタR2シリーズを装着した試乗車で雪の残る試乗会エリアまで自走した。用意されたのはFWDのトヨタ・プリウスとAWDのトヨタRAV4およびBMW・X1の3台。トヨタの2台は現地でのレンタカー調達、BMWはノキアンタイヤを取り扱う阿部商会の手配車である。




トヨタ・RAV4──ハッカペリッタR2 SUV(225/65R17:220/220kPa指定)


 車両重量1520kg(前900/後620kg)


トヨタ・プリウス──ハッカペリッタR2(195/65R15:230/220kPa指定)


 車両重量1350kg(前830/後520kg)


BMW・X1──ハッカペリッタR2(225/50R17:220/260kPa指定)


 車両重量1690kg(前860/後830kg)

踏面中央に刻まれる数字は「セーフティインジケーター」。数字の4が消える程度は雪マークが消える摩耗度で、ウィンタータイヤとしての使用を控える目安になる。

それぞれ拠点から試乗会エリアとなった北海道・江別市郊外付近までは高速道路で移動。除雪が完全になされている状況であり、ほぼドライ路面での振る舞いは驚いたことにウィンタータイヤらしくない印象だった。




一般的にウィンタータイヤは、氷雪路で確実にグリップさせるためトレッド面ブロック部に細かい溝(サイプ)を施しているのだが、いっぽうで空気の共鳴部を増やすことからノイズの発生を招いてしまう。もちろん一体構造に比べて細かいサイプが刻んであればブロック剛性が低下する懸念も生じる。




ところがハッカペリッタR2は、どのような回転数でも目立った周波数の発生──つまり著しいロードノイズが認められないのだ。異音がないなら剛性はどうかと、少々速めの操舵操作によるレーンチェンジや気持ち強めの制動を試してみても違和感は覚えず、腰砕け感がない。各社はサイプの刻み方を三次元形状にすることで剛性確保に努めていて、ハッカペリッタR2も同様の手段なのか、相当のトレッド剛性が確保できているようである。

そうすると、俄然氷雪路での振る舞いに興味が湧いてくる。意地悪に、冒頭の「低湿度氷雪路が得意な高速型ウィンタータイヤ」なのではないかと邪推するわけである。会場付近には雪が残っているものの、すでに気温も高くなり始めていることもあってやはり水分が多めの印象。タイヤに掻かれて路面が露出している箇所も少なくなく、しかし陽のあたらないところは逆にミラー状態まで磨かれている。雪道走行に慣れていない当方としてはあまりありがたくないシチュエーションであり、邪推した性質にも厳しそうな条件である。




ところが......ミラーバーンでの急ブレーキ、水たまりからベシャ雪にさしかかる場所での加速、ドライと氷雪路が交互に続く日向でのコーナリング、行き止まりで踏み固めのない積雪勾配路での加減速──あれはどうだこれならいかがかと一日中走り回っていろいろ試してみるが、ABS/ESCの介入は最小限、ぜんぜん音を上げない。とどめは最後に試したAWD仕様のBMW、悔しいが国産のRAV4に比べて盤石のシャシ性能を有していることもあり、一切不安を覚えないのだ。




とくに印象に残ったのがドライ〜スノー/ウェットの切り替わりのスムースさ。概してドライグリップとウェットグリップは両立させにくく、それは主にゴムの温度によるところが大きい。ドライ面では発熱しやすく、そうするとゴムは柔らかくなって路面の凹凸に追従しやすくなるのは想像しやすい。対してスノー/ウェットではゴムの温度は低く、ゴムの置かれている状況はドライとは反対。そのような状況下でもいかにしなやかさを保ちグリップを確保するかということについて、タイヤメーカー各社は素材(コンパウンド)と形状(ブロックやサイプ)で知恵を絞っている。




だからドライと、スノー/ウェットが頻繁に切り替わるような今回の除雪済みの郊外路などは、タイヤにとっていちばん悩ましい走行シーン。これまた意地悪に、雪上をさんざん走り回って冷えまくった状況にしておいて、ドライ路状で急ブレーキ!──とか急ハンドル!──とか、あるいはその逆のシチュエーションとか──散々試してみたのだが、ヒヤリとすることは全然なく肩すかし。試しに比較用に貸し出されていた、装着からすっかり時間が経ってしまったウィンタータイヤを履いた同じくプリウスで試してみると、あららららという状態に陥る。やはりタイヤの性能が優れているのだ。

欧州で1000人以上を対象にアンケートをとると、「ウィンタータイヤといえばノキアンタイヤ」と答える層が41%にものぼり、「実際にウィンタータイヤを買うならノキアンタイヤ」と答える人は28%を数えるという。認知から購買に至る際に数字が下がるのは、このタイヤがプレミアム商品と捉えられているから。さんざんいろんな道で試してきた当方にとっては、納得の結論である。




世界一難しいウィンタータイヤ市場ともささやかれる日本においても、これまで述べたようなハッカペリッタR2/R2 SUVの性能に触れた方々からならば、きっと同様の回答結果が得られることだろう。ノキアンタイヤ、お勧めの逸品である。




http://www.nokiantyres.jp/

    Loading...
    アクセスランキング
    starthome_osusumegame_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.