自然災害や複雑な物流環境、紛争等による苛酷な環境における課題解決に取り組んでいるゼネラルモーターズ(GM)は、合衆国陸軍協会(AUSA)が2017年10月9日~11日に開催した年次総会と展示会において、自動運転技術を組み込んだ水素燃料電池プラットフォーム「SURUS(サイレント・ユーティリティー・ローバー・ユニバーサル・スーパーストラクチャー)」を公開した。「SURUS」は、商業用途の他、軍事利用での活用も期待されてる。

Mが開発した「SURUS」は、Silent Utility Rover Universal Structureの略語で、最新の水素燃料電池システムや自動運転車、トラックのシャシーコンポーネントを活用することにより、性能を落とさずにゼロエミッションの推進を実現している。物流の負荷を最小限にとどめ、危険にさらされるような状況を減らすことができる。



「SURUS」がもたらすメリットには、動作音が静かで臭いも発しないといった点や、オフロードの走破性に優れていること、さまざまな地形に対応できること、大きなトルクを瞬時に発揮できること、出力性能が高いこと、発生するのは水であるということ、そして燃料の充填時間が短いといったことなどが挙げられる。



燃料電池技術は、GMがゼロエミッション戦略を展開していく上での重要な要素だ。この技術により、積載重量の大きい車両の更なる性能向上や距離拡大が可能となる。「SURUS」は、商用車両の基盤として設計されたもので、単一のパワーユニットが共通のシャシーに組み込まれている。「SURUS」プラットフォームは軍事環境に対する十分な適応性も備えており、フレキシブルなエネルギーリソースやさまざまな地形に対応する優位性、さらには物流における多くの課題を解決することが可能だ。

Mは、「SURUS」を以下のような複数の分野で応用することを検討している。

 · ユーティリティトラック

 · モバイルおよび緊急用のバックアップ電源

 · フレキシブルなカーゴデリバリーシステム

 · 商業輸送

 · シボレーコロラドZH2 を改良した軽トラックおよび中型トラック(米国陸軍戦車・車両研究開発技術センター〈TARDEC〉のガイドラインに基づいて評価がなされるとともに、各基地でのテストを実施中)

未来の軍事専用技術

「SURUS」は、高度な自動運転車両を実現させるとともに、検知予測不能な場所での俊敏な走りを可能にする。また先導、後続で複数の車両を走らせれば、マンパワーを削減することもできる。さらに、システムの発熱量と動作音が小さいことから、将来の潜在的な軍事用途として相手に発見されにくくリスクを低減する、といったメリットも備えている。TARDECは、商業利用を目的とした「SURUS」のコンセプトについてGMと議論を重ね、燃料電池の将来的な軍事利用の可能性を評価するため、今後さらに協力の幅を広げようとしている。



GMのグローバル・フューエル・ビジネスのエグゼキュティブ・ディレクターのチャーリー・フリースは、

「ハイウェイやオフロードなどの環境下で、燃料電池技術がどのような役割を果たすようになるのかは『SURUS』にかかっており、GMは、これまでになかった優れた性能を発揮するゼロエミッションシステムを導入することで、多岐にわたる複雑な問題の解決策をあらゆるお客様に提供する役割を担います」

と述べている。





「SURUS」プラットフォームは、燃料電池技術、高電圧バッテリーと電気駆動システム、自動運転技術、そして車両生産におけるGMの豊富な経験が活かされている。

「SURUS」プラットフォームによる特徴:

 · 進化した2基の電気駆動ユニット

 · 4輪ステアリング

 · リチウムイオンバッテリーシステム

 · Gen 2 燃料電池システム

 · 400マイル以上の航続距離を実現させる水素貯蔵システム

 · 推進力を生み出す先進のエレクトロニクス

 · GMのトラックシャシーコンポーネント

 · 業界をリードする先進的なサスペンション

ハイドロテック・テクノロジーとは

米陸軍がテストしてきたシボレーコロラドZH2

商用プラットフォームの「SURUS」は、50年以上にわたるGMの燃料電池技術の研究と開発から生まれたものだ。拡張性と適合性に優れた技術であり、商業の分野だけでなく軍事の領域においても、陸・海・空それぞれの方面に応用することができる。

2017年4月以来、陸軍は水素自動車の軍事利用が可能であるかを判断するため、商用のシボレーコロラドZH2を国内の基地においてテストしてきた。オフロードでのテストでは、パワーの発生能力、臭い、静粛性と発熱量、トルクの大きさ、航続距離、そして副生される水の利用についての評価が行なわれている。



軍事テストの結果、シボレーコロラドZH2は現在の軍用車両と比較して音による非検出距離を90%短縮した。これは、シボレーコロラドZH2が今までに比べ10倍近づくことができることを意味する。

ディーゼルを上回るパワーを発揮することやアイドリングノイズが小さいこと、さらには燃料消費量が少ないことなども指揮官によって確認されている。テストは2018年の春まで継続される予定だ。

このパートナーシップはGMの電気自動車戦略にとって、今もなお重要な位置を占めている。昨年米国海軍は、燃料電池で動力を生み出すGM製の無人潜水艇(UUV)を、テスト目的で披露した。このUUVには、コロラドZH2と共通の燃料電池テクノロジーが採用されている。

情報提供元:MotorFan
記事名:「 GMのSURUSってなんだ? 水素燃料電池技術による自動運転車両の軍用プラットフォーム