オープンカーのオーナーたちがみんな屋根を開け放って走っていそうなほど、突き抜けるような青空のある日。買い物をしていた筆者は、とある駐車場で見慣れないクルマを発見しました。地を這うような低い車高、イギリス車を思わせる小柄で丸みのあるクラシカルなスタイリング、特徴的なフロントのグリル、ホイールアーチいっぱいに収まった20インチのミシュラン・パイロットスポーツがただならぬ雰囲気を漂わせています。「これが、あのWiesmann(以下、ヴィーズマン)か!」今まで写真でしか見たことのなかった、筆者にとって初めてのヴィーズマンとの邂逅でした。

かつて存在したスポーツカーメーカー、Wiesmann(ヴィーズマン)

Wiesmann(ヴィーズマン)
▲愛嬌のあるフロントマスク

以前、カレントライフでもご紹介したことのあるヴィーズマン。1988年にデュメルンという、人口4万6千人ほどの小さな町で生まれたメーカーです。デュメルンのあるノルトライン=ヴェストファーレン州は、ドイツで最も西に位置する州で、州内には日本人にも馴染みの深いデュッセルドルフやケルン、ドルトムント、ボンなどの街があります。ヴィーズマンは2014年に倒産、メーカーとしての歴史に幕を下ろしました。その間に生産されたクルマの総数は、わずか1600台あまりと言われています。

ヴィーズマンは、マーティン・ヴィーズマンとフリートヘルム・ヴィーズマンのふたりの兄弟によって創業されました。カーディーラーを営んでいた両親の元で育ったふたりは、古典的なスポーツカーに影響を受け、自分たちのクルマを作るために立ち上がります。

Wiesmann(ヴィーズマン)
▲うって変わって迫力満点のリア

かつてのクラシックカーに見られたような、オーナーの価値観や美意識によって全てをオーダーメイドで仕立てるクルマ作り。そのためには、当然ながら全てをハンドメイドで作らなければなりません。そのため、大量生産は望めませんが、その他大勢と一線を画するクルマを作り上げたいヴィーズマン兄弟にとって、生産数は大きな問題ではありませんでした。

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