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「知って得する季語」──五感で楽しむ涼(生活編)


7月も後半に入り、暦のうえでは二十四節気の「大暑(7月23日)」を迎えました。大暑は、一年で最も暑い時季とされ、昨年の記録的暑さは忘れることができません。とはいえ、寒ければ暑さが恋しく、また逆もあり、これから迎える残暑にも心して臨みたいですね。

さて、夏の歳時記の大半を占める「涼」の季語は、暑さがあるからこそ感じる“涼しさ”を表した言葉の数々です。特に生活の季語に涼はたくさんあります。

そこで、今回は五感(見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触る)のなかの、特に(嗅ぐ、触る)を中心に調べてみました。


汗と切っても切れない「涼」の季語

夏はとにかく暑い季節。梅雨が明けると一気に暑さのピークを迎え、大暑・極暑(ごくしょ)・炎暑(えんしょ)・溽暑(じょくしょ)と暑さの段階を表す季語もあるほどです。それに伴うのが汗ですね。もちろんクーラーは現代の必需品ですが、汗との関わりは避けて通れないのが夏なのではないでしょうか。

今回は汗に関する日常の季語をご紹介。汗と涼の関係も興味深いですよ。

○これぞ日常「ハンカチ」

なーんだ、ハンカチなんて当たり前!と思いがちですが、ハンカチの別名は「汗拭い(あせぬぐい)」。文字通り汗を拭う布のこと。特に夏に外で働く人のタオルや手ぬぐいは必須アイテム。また、しっかりアイロンをかけた真っ白なハンカチ、刺繍やレースを縁取ったハンカチなどは清楚で涼しげなのでは?

○言われてみれば確かに「アロハシャツ」

アロハシャツはハワイ生まれのシャツ。1950年代に日本で大ブームになりました。襟や袖が大きく開いていて、汗をかいても生地に肌がまとわりつかず、汗による不快感をふせぐ工夫がされています。日本の甚平、浴衣も作りが一緒ですね。ほかにも、開襟シャツやサマードレス、ショートパンツなども、汗対策の夏服の仲間。

○紳士淑女も「日傘」の時代

日傘は日差しを避ける小物ですが、少しでも汗をかかないための淑女のたしなみ。高級な日傘は白や黒の布張りで作られ、「白日傘」「黒日傘」と上品な呼び名があります。近年増えてきた日傘をさす男性を「日傘男子」と呼ぶそうです。

○ラグより素敵「花茣蓙(ござ)」

夏を涼しく過ごせるよう模様替えをする人が多いのではないでしょうか。籐製や花柄に織られた茣蓙(ござ)などは体感的にも涼しい生活の知恵ですね。一般的にはラグと呼ばれていますが、夏ならではの「花茣蓙」という呼び名も素敵です。

ここからは五感の“嗅ぐ”。予想はつきますか?

○たしなみとしての「香水」

汗の臭いや体臭を消すために用いられたのが香水です。天然の花の香料を使用した香水は14世紀後半に開発されたそうです。もちろん、オーデコロン、オードトワレも。ふわっと香るところに、奥ゆかしさと上品な夏の涼味を感じることができますね。

○幸せの香り「天瓜粉(てんかふん)」

ベビーパウダーのこと。昔は黄カラスウリという植物の根から作られたことから、このような漢字に。別名は「汗しらず」。汗っかきの赤ちゃんにお風呂上りなどにつけると、さらさらした気持ちよさがありますね。

○ちょっと妖艶「髪洗う」

夏は、髪も汗やほこりで汚れがち。そこで髪を洗ってさっぱりすることからできた季語。今は朝も夜もいつでも髪を洗うことができますが、むかしの女性は男性よりも髪を洗う頻度が少なかったそうです。夏の夜に髪を洗い、石鹸の香りをまとう女性の姿は涼やかであり、艶っぽさも感じます。

(参照:俳句歳時記(春~新年) 角川学芸出版 角川文庫/入門歳時記 大野林火・著 角川学芸出版/広辞苑)


些細な日常も夏の美学

夏ならではの生活の季語の一部をご紹介しましたが、ほんの些細な日常が意味を持ち、夏らしさと涼しさを感じることができるのも季語の面白さですね。

──言葉や漢字の成り立ちを知ることは、日常生活に膨らみを持たせてくれるはず。

季語の中には、昔の風習や生活様式も多く含まれていますが、クーラーが普及し、多くが集合住宅に住む現代の生活とはだいぶかけ離れてきています。けれども、髪を洗ったり、お気に入りの香水をつけたり、そのなかに涼しさを見出すことができる感性は失いたくないですね。

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