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初夏を感じる風物詩―空、光、ひとときの命


5月も残り少なくなってきました。お天気の良い日には夏日(25℃)や真夏日(30℃)へと気温が上がるようになって来ましたね。このような初夏の暑さを季語では「薄暑(はくしょ)」と言い、その日差しを「薄暑光(はくしょこう)」と言います。他にも、空からの贈り物や、この季節ならではのひとときの命の光など、言葉と風景を楽しみませんか?

初夏の青空と日差し

初夏の青空と日差し


夏は夜?朝も夕も美しいことを表わす季語

清少納言はかの『枕草子』の中で「春はあけぼの…夏は夜…」を愛でていますね。もちろん納得なのですが、夏は明け方も夕方も捨てたものではなく、夏の季語に「朝焼け」と「夕焼け」があります。どちらも一年中みられるような気がしますが、なぜ夏の季語なのでしょうか?「朝焼け」は日の出前に空が紅く染まる景色ですが、特に夏に多いため夏の季語とされています。春は「春暁(しゅんぎょう)」と言い、「あけぼの」と同義語とされています。一言つけるだけで印象が変わりますね。

朝焼けの海

朝焼けの海

「夕焼け」はというと、季語の世界では夏が基本となって、他の季節に使う際には「春夕焼け」、「秋夕焼け」、「冬夕焼け」とそれぞれの季節を冠にして表わすことで季節感を表わします。夏は1日を通して日差しが強いため、入り日前の西の空をことのほか強く紅く染めているように見えるためか、「焼ける」という熱を感じる言葉がついているためかもしれませんね。また、「朝焼け」の日は天気が下り坂に、「夕焼け」が美しい日は翌日が晴天になるという説があります。今日はどうでしょうか?

夕焼けに染まる空

夕焼けに染まる空


これからが楽しみな夏の光と言えば…

冒頭でふれましたように、この時期の暑さを「薄暑」、日差しを「薄暑光」と言いますが、まだ本格的な暑さではけれど…という気配が「薄」という一言に込められているようですね。夏の光と言うと、外せないのが「虹」と「蛍」ではないでしょうか?「虹」は、大気中に浮遊する無数の水滴のために、光の屈折や反射などによって生じる…空からのサプライズの現象であり、ほんのひとときの贈り物のようですね。見逃してしまうとちょっと悔しく、見つけると幸せな気分になるから不思議ですね。

虹は空の贈り物

虹は空の贈り物

「蛍」の光はこちらから観に行くものです。少し手間と時間を要しますが、孵化した成虫は1週間ほどしか生きられないため、こちらもひとときの命がもたらす初夏の風物詩です。毎年「蛍の夕べ」を開催している三渓園(横浜市)では、本日5月25日(金)~6月3日(日)までの間、園内で孵化した蛍を鑑賞することができます。ライトアップされた三重塔と季節の花菖蒲も一緒に楽しむことができますので、足を運んでみてはいかがでしょうか?蛍がよく見える時間は、19時30分~21時00分の間で雨の日は飛ばずに葉っぱの裏に隠れてしまうなど、天候などの影響で蛍がよく見られない場合があるそうです(三渓園公式ホームページ参照)。

ライトアップと花菖蒲

ライトアップと花菖蒲

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