桃の節句もすぎ、ようやく春を身近に感じられる陽気になってきましたね。桃の節句が女児の健やかな成長を願うお祝いであったように、女性のお守りとして長い間親しまれてきた宝石に珊瑚(サンゴ、coral pink)があります。今日3月5日は「サンゴの日」です。珊瑚がどのように親しまれてきたのか、その色彩がもつメッセージとは?

珊瑚のつまみかんざし

珊瑚のつまみかんざし


赤珊瑚からエンジェルピンクへ

一般的に、珊瑚色というと中間色のコーラルピンク(coral pink)を連想しますが、実際に磨いて珊瑚珠となった時には色彩の濃淡があります。主に地中海では、古くから濃い赤の珊瑚が採取され世界中へと広まりました。そのため古来、珊瑚はその色彩から「魔除け・厄除け」として知られてきました。日本では、赤い珊瑚を「胡渡り品」(胡渡りの「胡」はペルシアなど聖域の国の意味)と言い、櫛(くし)などの装飾品として珍重されていました。幕府の禁漁により、江戸時代まで輸入品の濃い赤色の珊瑚が使われていたのですが、明治以降日本近海での漁がはじまると、特徴的なムラのない淡い色は「エンジェルピンク(天使の肌)」と呼ばれ、世界的にも高い評価がついたと言われています(「大人のジュエリー ルールとコーディネート」より)。珊瑚は今でも櫛やかんざし、根付などの和装の装飾品に多く用いられているほか、指輪やブローチなどジュエリーとしても魅力的な存在であり、化粧品の色彩としても好まれています。

エンジェルピンクの花

エンジェルピンクの花


珊瑚の「色」が持つ意味とは?

珊瑚色は正式には「珊瑚珠色」と言い、色彩学的には「黄みのあざやかな赤」と呼びます。実際の珊瑚珠には、白っぽいもの、中間色、濃い赤の三種類があります。日本近海(小笠原列島や五島列島、奄美、沖縄、宮古島周辺)で採取されるものには中間色が多くあり、世界的にも高い評価を得たのですが、色彩にはメッセージがあることをご存知でしょうか?色彩心理学やカラーセラピーなどの分野で珊瑚色が持つ意味を紐解いてみると、一つには珊瑚事体がきれいな海水の中でないと育たないということから、珊瑚色(の人)は、周囲の環境に敏感であるという説があります。そのため、美意識に適うものに囲まれていたいと願い、美的センスを生かす分野での活躍が期待できます(「色の暗号」より)。また、キーワードに「博愛、共感、自然を愛する、支え合う」(「オーラソーマ 選んだ色があなたを映す」より)など、珊瑚という生命体の特徴を受け継いでいることがわかりますね。珊瑚の日に、珊瑚と人のかかわり方とその特徴を知ることで珊瑚への興味がわいてくださったら幸いです。また、現在池袋のサンシャイン水族館では珊瑚のイベントが開催中です。より深く珊瑚を知りたい方はぜひ、リンクからイベントをチェックしてみてはいかがでしょうか。


参考文献

・「大人のジュエリー ルールとコーディネート」ジュエリーコーディネート研究会監修
・「日本の伝統色」 長崎盛輝著
・「色の暗号」 泉 智子著
・「オーラソーマ 選んだ色があなたを映す」 澤 恵著